20話:バーサーカー一族かよ
飯を食い終わって、ようやく話す事にした。
「まあ、決闘するってのはいいけどよ。勝ったらなにが貰えんだよ」
「貰うって、なにを?」
よくわかんないとばかりにシフォンが首を傾げる。
おい、マジかよ。そんな事も決めてなかったのか。
「……なぁ、一応聞きたいんだが今までどうやって決闘してたんだ?」
「??? あ、わかった! あたしが負けたらって事?」
「バカ娘が……」
頭痛くなってきたな……
「今まではあたしが負けたらツガイ? っていうのになるって言えばしてくれた!」
ツガイ、つがい、番い。……夫婦って意味か?
「お前それの意味わかって言ってんのか?」
そう言うと首をぶんぶんと横に振った。マジか……
「とーちゃんとかーちゃんが言ってた! あたしを倒すくらい強い雄とツガイになって強い子を作れって!」
「バーサーカー一族かよ」
だいぶヤバイ一族じゃねぇか。
「ちょおっと待ってくれよ。その話、俺も混ぜちゃくれないかい?」
「あ?」
「んにゃ?」
横から入ってきた声にそちらを向くと、ムサいおっさんがいた。
……やべ、誰だろ。知らねぇ人来ちゃった。こそこそと近くにいたボガールの傍に寄る。こいついっつもギルドで酒飲んでんな。
「おい、おいボガール。あいつ誰?」
「んー? おー、あいつか。最近北の方から来たやつだな。名前はなんつったっけなぁ……え〜……」
「ザイラムだ!」
「おー! それだそれだ! だってよ」
「へぇ、北からねぇ?」
北は環境も厳しけりゃ生息するモンスターも手強いって聞くが。正直、このザイラムって男に狩れそうには見えない。となれば逃げてきたって所か。
「で、混ぜて欲しいだっけ? どういう事だ?」
「俺が先にそこの女と決闘する」
「つってるけど?」
「え〜、お前ボスより弱そうだにゃあ」
「だってよ。ザイラム、お前何級?」
「……3級だ。だが、俺は北から来たんだぞ!こっちなら2級相当だって言ってもいいんだぞ!」
「きっ、北から来た……! ぷふっ!」
「なっ、なにがおかしい!?」
「あー、そいつはほっとけ」
オヤジギャグで笑っているボガールを放っておく。お前さっき自分で似たような事言った時は大丈夫だったじゃん。
「んで、シフォン。お前どうする?」
「んー……まあ、いいけ……どっ!」
言い切る瞬間にトンッと前に飛び出してザイラムの顔に足の爪先を突きつける。
それを受けたザイラムは一歩も動けずに冷や汗をかいていた。
「んにゃー、やっぱり無し。これが止められないなら用はないにゃー」
さっき俺にしてきた飛び蹴りよりも遅い。が、それにすら反応出来なかったザイラムは眼中に無いらしい。
「くっ、こ、のっ……!」
苛立ちを隠そうともせずシフォンとなぜか俺を睨み付けて仲間を引き連れてギルドから出て行った。
後々面倒な事にならなきゃいいけど。
「ふっふーん! 弱いクセに出てくるから恥かくんだにゃー! にゃーはっはっはっはっ!」
無い胸を張りながら高笑いをする。
まあ、分かりやす過ぎるくらいにはかませ犬だったからな。
「じゃ、次はあんたの番」
「あー……じゃあ、訓練所行くぞ」
めんどくせぇなぁ。でも仲間になりゃ心強いんだよな。後はツラが良いのと猫耳が可愛い。
横目で身体を見る。鍛え上げられた身体は引き締められている。それでいて柔軟さを兼ね備えているからどこからでもあの蹴りを出せるだろう。
……趣味的な話をするなら小柄なもんだから俺が抱いたらすっぽりと収まりそうだ。おっと、この抱いたらは抱っこって意味だぞ。でもまあ、性的な意味でも良い身体ではあるだろうが。
俺の目に気付いたか、本能的なものかは分からないがシフォンが身震いする。
「な、なんだか変な感じがした気が……?」
「気のせいだろ。それよりも決闘すんだろ?」
「!! そう! 決闘だにゃ!」
ぴょんぴょんと俺の周りを飛び跳ねながら訓練所へと向かった。




