19話:猫娘襲来
ドンドンドンッ!
「……」
ドンドンドンドンドンドンッ!
「……うるせぇ」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!
「うるっせぇえええええ!! 何時だと思ってんだ!?」
「んにゃあああ!?」
バンッ! と玄関を開けると、そこには申し訳なさそうなクロムとサラ、それに猫獣人の女がいた。
「どうせそこの女が発端だろうがなんの用だ? 俺はまだ眠いんだぞ」
ジッ、と猫娘を見る。白い髪に猫耳……なんかこいつ見た事あんな。
「ひぇっ……あ、あたしはシフォン! ここのギルドのボスはあんたって聞いたから決闘しにきた! 私が勝ったらあたしがここのボスになるにゃ!」
あ、こいつ原作キャラじゃん。
「……威勢が良くてもクロムの背中に隠れてたんじゃ格好つかねぇぞ」
「あの、クロムさん。睨み付けてます……」
サラが俺の顔に手を伸ばし、眉間の皺を伸ばすように広げる。
「……ハァ、わかった」
「にゃ……!」
「でも眠いから昼からな。朝から来んな」
バンッ! と玄関を閉めて鍵をかける。
「出てこぉぉおい!」
「嫌だってんだろ」
「あ、あのぅ……」
「ん?」
声がして下を向くとサラがいた。
あー、閉める時近くにいたから一緒に入っちゃったのか。
「好きにしてて良いから昼になったら起こしてくれ」
頭を一撫でしてベッドに戻った。
「あー……めんどくせぇ」
「あはは……」
あれから昼になってからサラに起こされた。
一瞬自分のとは違った匂いがしたが、多分サラの匂いだな。起こす時に近くにいたからだろ。
「やっと来た! 勝負ッ!」
「先に飯」
いきなり飛び蹴りをかましてきた。それを足首を掴んでポイ捨てする。
「料理長〜、肉ー」
「たまにはサラダも食べなきゃだめですよ?」
「……じゃあサラダも。そういやアマネは?」
「今日は1人でクエストに行くと言っていましたよ。鍛錬ついでだとか」
「努力家だねぇ」
まあ俺としては仲間が強くなるのは大歓迎だから良いが。
「早くあたしと戦ってぇ〜!」
シフォンが肩を掴んで揺らしてくる。その度に薄い胸が当たる。
天真爛漫、元気っ子。原作であればサラの次である、NTRれキャラNo.2に当たる。白髪猫耳元気無知キャラといった『オタク、こういうの好きなんでしょ?』なキャラだ。好きだが???
ちなみに胸はヒロインになるキャラの中で1番小さい。サラも小さいだろって?成長したら普通に巨乳になる。
にしても思ったよりも早いな。来るのは夏だったと思うんだが……
「まいど〜」
「サンキュ」
シフォンはさっき自分でも言っていたがギルドを転々としていて、そのギルドの1番強いやつ。つまりボスを倒せば自分がボスという非常に獣人族らしいキャラだ。
ステータスも言うだけあって高く。原作のゼニスと同じく2級であり、ゼニスと戦って引き分けている。だがバカだ。
原作の簡単な流れを言うと、街に来て最初に出会ったクロムをボッコボコにする。弱い癖に諦めず立ち上がるクロムにシフォンは驚きと共に将来性を見出して一緒に冒険する事になる。
まあ、その後はゼニスと戦って引き分けた後、互いを認め合って終わり──とはいかない。当たり前だろ。これNTRエロゲだぞ。
次はベッドの上で勝負だと言うゼニスによくわかってないのに了承したシフォンは勝負というなのただのセックスで一瞬で負けてしまい、強い雄をわからされてゼニスに媚びる雌となってしまうという見事な即落ち二コマを見せてくれる。
それだけじゃない。シフォンは人を疑うって事を知らないし、ちょっと優しくされただけで絆される。見てろ。
「ほれ、肉1切れやるよ」
「あっ」
「おー! ゼニスはいいやつだにゃ!」
肉を1切れフォークに刺して差し出してやると喜んで食べた。
このバカさがどれだけヤバイかと言うと、街の中でマップ移動で暗転したと思ったらシフォンがパーティから抜けていて、探してみれば睡眠薬で眠らされて犯されてたり、奴隷商のオークションに全裸で首輪を付けて出品させられているスチルを見る事ができる。
つまり、暗転している間に悪いやつに睡眠薬入りの飯とか食わされてコロッといって誘拐されているって事だ。
………………お前マジでふざけんなよ。初見の時バグを疑ったんだからな。クソが。
「あ、あの、ゼニスさん。私も1口、貰いたいんですけど……」
「ん? おー、いいぞ」
「えっと、あ、あーん……」
こっちを向き顔を赤らめると、目をぎゅっと瞑って口を小さく開く。なるほど、食べさせてほしいと。俺も中々好感度が上がってきたんじゃねぇか? このままいい感じに好感度を上げて近所の兄貴分くらいになりてぇもんだ。
「ほらよ」
「あむっ」
「どうだ?」
「……おいひぃでふ」
俯くと小さな口をもごもごを動かす。
「にゃー! 決闘〜!」
「ほれ、肉」
「はぐはぐ」
ちょろいぜ。
そんなこんなで騒がしいシフォンに肉を食わせながら飯を食った。




