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18話:訓練の成果?

 




「『レイ』!」


 あれから2時間くらい続けてようやく形になった。

 途中でめんどくさくなって光魔法の教本を買いに行ったりしたが、成果が出たから良しとしよう。……ちゃんと為になるんだな。タイトルが『ゴブリンでも使える初級光魔法』でちゃんと章が進むごとにゴブリンが光魔法が使えるようになっていったから、そりゃあ使えるようになるとは思うが……。

 ちなみに最後にはゴブリンはゴブリンメイジに進化して講師に襲いかかっていたが普通に返り討ちにされていた。現実は非常である。

 さっきサラが使っていたのは初級光魔法『レイ』光が相手を撃ち抜く魔法だ。わかりやすく言えばビームライフル。

 いいなぁ。ああいうのもかっこいい。今更スタイルを変えようとは思わないものの、かっこいいものはかっこいいんだ。


「で、できた……!!」


「だな。頑張ったじゃねぇか」


 くしゃりと頭を撫でる。


「えへへ……ゼニスさんのお陰ですよ」


「んな事ねぇよ。努力の結果だ。誇れっての」


「……じゃあ、はい。頑張りましたっ!」


 ぱっ、と更に眩しい笑顔を見せる。眩しすぎて目ぇ潰れそう……

 さて、そろそろ終わっても良いだろうとクロム達の方を見た。


「そこっ!」


「甘いです。ハッ!」


「へぶぁ──」


 ……元気に吹っ飛ばされて転がっているみたいだな。


「おーおー、見事にボロ雑巾」


「スパルタだ……」


 木剣とはいえ、殴られりゃ相応に痛い。ただまあその甲斐あってかそれなりに見れる動きになってきていた。


「おーい!お前らそろそろ終わるぞー!」


「わかりましたー!」


「は、はい! ……あのっ! ゼニスさん!」


「なんだ?」


「最後に……手合わせお願いします!」


 真っ直ぐな目で俺を見る。ふむ、この短時間でどれくらい成長したかを確認するのもいいか。


「よし、いいぞ。来い」


「!! ハァァー!」


「そりゃ」


「うわらゔぁー!?」


「うわぁ……容赦ないなぁ……」


 突っ込んで来たクロムの剣を手の甲で受け流してアッパーで空高くかち上げた。

 クロムから弾け飛んだ汗が陽の光を浴びて煌めく。


「うーん、今日もいい天気だな」


 どちゃりと音を立ててクロムが地面に落ちた。


「クロム、大丈夫?」


「大丈夫ですか?」


「だい……じょ、ぶ……」


 クロムが倒れたまま手を挙げてサムズアップしようとするが、途中で息絶えたかのように落ちた。


「「あ……」」


「気絶してるだけだ。ほっときゃ起きる。よっと」


 クロムを肩に担ぐ。


「んじゃ、腹減ったし飯食おうぜ」


 酒も抜けちまったし、肉だ肉。それだけじゃ腹に溜まんねぇしパンもだな。





「肉くれー。後パンも」


「私はサラダもお願いします」


「あ、私もお願いします」


「あいよ!」


 クロムも俺と同じでいいやと注文を終えて席につこうとするとライムがやってきた。


「うわー、見事にボロボロっすね〜」


「ちょっとやりすぎちまったかな」


「まー、男の子ですしそのくらいが丁度いいんじゃないっすかね」


「そりゃそうか」


「良かったら目が覚めるまでこっちで預かるっすよ?」


「ん? あー、そうだな。じゃあ任せた」


「1名様ごあんな〜い」


 そう言うと適当な長椅子に座って膝を叩いた。


「ほぉ〜、なるほど?」


 いたずらっ子め。純情少年の心を弄ぶつもりだな? 面白いから許可する。

 クロムを長椅子に寝かせて頭をライムの膝に乗せる。


「じゃ、後任せた」


「はいっす〜」


 少しして飯が来て食い始める。美味ぇ……やっぱ訓練後の飯は格別だ。特になにもしてねぇけど。

 このパンを半分に割ってよォ……肉挟んで食えばステーキバーガーの完成ってもんよ。パンがやや固めなのとソースが無いってのは寂しいもんだがこれはこれで悪くない。


「わ、私もしてみようかな」


 サラがちらちらと俺の方を見て、ステーキバーガーを真似しようとする。


「そのサラダの葉物野菜を挟んでも美味いぞ」


「これを、ですか? やってみます」


 バーガーが完成したが、サラがかぶりつくのを躊躇する。野菜を入れて、分厚くなったからだろうな。


「遠慮せずガブッといけ、ガブッと」


「主様、それはデリカシーがないかと……」


「む……でも美味いもんは美味く食うもんだろうがよ。ほら、いけ!」


「あ、あ〜……んむっ」


 サラが普段あまり開かない口を思いっきり開けてバーガーにかぶりつく。いやまあ、それでも小さいけども。


「っ!!!」


「どうだ。美味いか?」


 こくこくと何度も頷く。


「今度もっと美味ぇの食わせてやるよ」


「ほ〜、そりゃあ良い。俺も食ってみたいもんだ」


「げっ、料理長……」


「お前はいつになったらその面白い調理法を教えてくれるんだぁ? えぇ?」


「ま、また今度って事で……」


「またか……いつか絶対に教えろよ!」


「わぁったって!」


 しっしっ、と手で追い払う。前に1度料理している所を見られてから何度も聞いてきやがる。教えてもいいが、単純にめんどくさいが勝つ。

 ため息を吐いて、そろそろクロムが起きないかと見ると──


「……へぇ?」


 ライムが見た事のないような穏やかな顔でクロムの頭を撫でていた。

 へぇ〜? あのライムがねぇ? ふ〜ん?

 揶揄っても良かったが、そのままの方が面白そうだと放置する事にした。

 その後、クロムが起きてギルド内に絶叫が響く事となった。





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