14話:ミルクロード
クロムとサラの昇格クエストが終わり、少し時間が経った。
2人、特にサラは少し落ち着く時間が欲しいだろうと思っていたが、2人して精力的にクエストを受け続けていた。どこかで2人に軽く訓練でもしてやろうかと思っていたが、そんな時間も無いほどに2人はクエストに打ち込んでいた。
模範的な冒険者だとは思うが……いや、やり過ぎじゃねぇ?休養日挟んでねぇし疲れるだろ。
どっかで休ませねぇとと思いつつも頑張っているから無理に休ませるのもと思ってしまう。
「あー……どうすっかなぁ」
「私としてもおふたりには休んで貰いたいですね……」
アマネにも頼んでなんかいい方法でもないかと話し合っていたが、俺自身ゲームでは知っていてもこの世界での2人をまだ知らないからなぁ……。
「お前ら、どうしたんだ?」
「あー? んだよ、ボガールかよ……」
「なんだなんだ、珍しく悩んでいるじゃねぇか」
「主様、聞いてみてもよろしいのでは……」
「あーーー……じゃあ聞くか。クロムとサラを休ませようと思うんだけど、なんかいい方法とかねぇ?」
「ほー、モンスターにゃ百戦錬磨のゼニスさんも若もんの扱いはわかんねぇか」
「じゃあお前はわかんのかよ」
「当たり前よ、任せとけって。あ、でもお前もついてこいよ」
「俺も?」
「お前もいつも来ねぇだろ。たまには来い」
「めんどくせぇ……」
「ここだ」
「……ここって」
「……おい、マジかよ」
男3人でとある店の前までやってきた。ちなみにサラはアマネと一緒に遊びに行った。
看板にはでかでかと『ミルクロード』と書いてあった。
聞いた事あるぞおい、ここってあれだろ。知ってるぞ。
「毎日忙しい、休む時間がないってのは癒しがほしいって事だよな?」
「……んん? いや、ちゃんと時間を作ってくれって話なんだが?」
「はぁ……まあ、ゼニスさんがそう言うのであれば俺も休みますけど……」
「え、マジか。じゃあ普通に飯食いに行こうぜ」
「おいおいおいおいおいおいおいおい、話が違うじゃねぇか」
ボガールが俺らの肩を掴む。
「え〜……?」
「まあお前らも気に入るから、な?」
「……分かったよ。クロムもいいか?」
「う〜ん……まあ、じゃあ」
「よし、行くぞ!」
ボガールが先導して店の扉を開け──
「「「オギャアオギャア!!!」」」
野太い声が耳に響く。……もう帰りたい。
聞いた事あるってここ。授乳を受けれるって有名な所だろ。いいって、もう帰ろうぜ。
「な!? 行こうぜ! な!?」
「あ、あのぉ、一応、行ってみませんか? 断るのも可哀想ですし……」
「……はぁ、わかったよ」
肩を落として店内に入る。
「ようこそ、授乳体験『ミルクロード』へ」
女性がやってきて、お辞儀をする。
服装は保母さんみたいな格好だが、やたらと体の起伏があるな……。意外だな、ここは風俗ではないが風俗っぽい店と聞いていたんだがな。
……それよりこの野郎共の鳴き声をどうにかしてくんねぇか。頭がおかしくなりそうだ。
「3人だが、大丈夫ですかい?」
「ええ、問題ありません。どうぞ」
女性が扉を開けて通された場所には──
「ママァ!」
「オギャア!」
「ばぶぅばぶぅ!!」
「……きっつ」
「これが大人の世界……!」
「違ぇ……!これは絶対によくない大人の世界だ……!」
「でも女の人達の露出が……」
「何言って……マジだ……!!?」
ちゃんと下着の上にエプロンとか付けてるわ。ちゃんとってなんだよ……
「それではこちらへどうぞ〜」