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夢日記 #1 恐竜と市松人形

作者: しじみん

 これは今朝体験した不思議な夢の話。


高校のグラウンドで試合をしている。なぜかコーチがピッチャーで、両親がスタンドで観戦していた。その日は3チームで総当りをする予定で、1、3試合目だった。3番サードでスタメンだったが、どうせスタメンじゃないだろう、と高を括り室内練習場で練習をしていたため試合開始に間に合わず、1裏の守備から出た。1表はノーアウト二三塁のチャンスで俺の打順だったが、俺がその場にいなかったので代打を出されていて無得点だった。なぜ裏の守備から出れたのかは分からない。


 守備に着いていると、サードベース横、俺の目の前に体長3~4m程のティラノサウルスのような、大きな恐竜が口を閉じて唾液を沢山垂らしているのだ。ポタポタと落ちる雫がグラウンドを濡らしている。しかし、俺しか認識できておらず、周りには見えていないようだった。逆に恐竜は絶えずこちらを向いており、目が合ってしまう。肩に脚を置かれたり、2回ほど咆哮したりしていた。グルグルと絶えず喉を鳴らしており本当に怖かった。


 場面飛んで試合終わり、当然満足にプレーすることができず、グラウンド整備のトンボをとりに行っている時にそこにいた2人の先輩に相談した。「恐竜がずっと居たんです。何か知りませんか?あれはなんなんですか。」すると、「あーあれはそこから出てくんだよ。」さも当然かのようにすぐそこを指さした。用具置き場になっている倉庫の中だった。なぜ知っているのか?驚きもしないのか?試合中は見えていたのか?疑問は尽きなかったが、何も質問することは出来なかった。


 場面が変わって、大きな旅館のようなところに移った。それまでの登場人物は全員いた。各々自由に過ごしていたが、合宿に来ているような印象だった。ロビーのようなところのソファに座っている。右側が廊下で、左側は大きく広がっており、横に数人座っていて大きな古時計があった。


 場面がそこに移ってから、尚のこと先程の恐怖を強く感じていた。Googleでもない、なんというか、ガラケー時代を彷彿とさせるような検索フォームで必死にあの恐竜はなんだったのか調べる。「○○(高校名)グラウンド 呪い」「○○(高校名) グラウンド 恐竜 いわく」何もヒットしない。確かに自分の眼には映っていた恐竜、先輩たちが当然のように知っていたこと。ネットでは何の情報も出てこないこと。それらがさらに恐怖を募らせた。


 いつの間にか旅館は消灯時刻を迎えており、うっすらとした非常口の緑の明かりだけが辺りを照らしていた。その頃には恐怖はピークに達しており、軽い過呼吸のような状態だった。

 先の見えない暗い廊下や、どこまで広がっているか分からない目の前の暗がりがさらに恐怖を演出していた。


 近くに友達の女の子がいて、話を聞いてくれていた。完全に身体は恐怖に包まれていた。文字通りその感覚があったのだ。あまりの恐ろしさから何も言わずに抱きついた。こちらは座っており、向こうは立っており、女の子のお腹に顔が触れるような状態だ。「恐竜が、みんな、知ってて、見えてなくて、なんで、俺だけ。」単語を繋ぎ合わせるように必死で言葉を紡ぐ。いつも通りに喋ることが出来ない。その子は「わかる、だけど見えていないの。怖いよね、ごめんね、、」と肩をさすってくれていた。


 その頃には恐竜そのものよりも、一種の呪いにかかってしまったような、その状況に対する恐怖感が強かった。なんで自分だけ。そう思っていた。


 余談だが、なぜか市松人形のイメージが消えない。出てきた訳では無いが、先の見えない廊下の、曲がり角の影のところに、うっすらと緑に照らされた市松人形がこちらを見ているような気がしてならなかった。幸い、曲がり角は座っていたソファから右後方であったため目にする事はなかったが、どうしてもそのイメージを拭うことは出来なかった。


 夢の中で自由に動ける、いわゆる明晰夢を見られるはずの俺が見た不思議な夢の話。

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