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余吟抄  作者: 森川めだか
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モンキーナイト

モンキーナイト

       


 僕のベトナム旅行は散々な日々だった。

父とニューヨークに行ったのは19歳の時で、一人で北海道に行ったのは20歳の時だから、21歳の時だ。

最初のツアーのガイドは女の人だったが、身内に不幸があったとかで途中交代した。

急遽、現地ガイドとして雇われたのがグァンさんだった。

グァンさんはやたらとなぜか僕にばかり話しかけた。

日本の俳優の誰それに似てるとか言っていたが、忘れた。

母が蛇を首に巻いた。

僕は写真で撮った。

メコン河を渡った。

最初と最後以外は自由行動だった。

グァンさんのたどたどしい日本語もみそっ歯も愛嬌だ。

怪しい僕ら以外に客のいない小さなレストランで出されたベトナムの白ワインは焼酎みたいだった。


何かの記念なのか花火が上がった。

お母さんと少しの間はぐれたが、大丈夫だった。

母は日本で買えば30円くらいの物を観光マニュアルに従って値切っていた。

僕だけ蛙を食べた。

母は辛くて酸っぱいのが好きなので、今でもそのことをよく喋る。


最後の夜に、ツアー客全員で食事した。

音楽がかかると、グァンさん一人だけが踊り出て、タンゴを踊った。

僕らは呆然と眺めるしかなかった。

汗をかいても、グァンさんは一人で踊り続けた。

僕は踊りには詳しくないけど、確かあれはタンゴだったと思う。

グァンさんはどこで覚えたのか、上手に踊った。

一人でタンゴを踊り続けるグァンさんは金色だった。


空港までのタクシーで僕は何も話さなかった。

それで母と険悪な雰囲気になった。

母は帰りの飛行機でデパスで眠りこけた。

父が迎えに来た。


就職ガイダンスで話す機会があった。

「二人で」と言ったら、彼女とと誤解された。

僕はあえて否定しなかった。

それは僕がみそっ歯だからだ。


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