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枝豆帆走るピューレ

 遂に、作者は新たな次元へ

 「ふぁ」

 気怠い体を叩き起こして、銀髪の少女・あわりは起床する。軽く身支度を済ませ、義理の両親に朝の挨拶をする。

 「おお、あわりか。今日も早いんだな。いつものところに行くのか?」

 病院で院長を務めている義父が声をかける。

 「ええ、お兄様のところへ」

 義父は、事情を知っているのですんなり納得して、

 「気をつけていくんだぞ。あわりは可愛いんだから、不審者に襲われでもしたら大変だ」

 ふっ、と微笑みながら、

 「大丈夫です。護身術で相手を何もさせずに昏倒させてやります」

 うんうん、と義父はうなづきながら、

 「いざとなったら、私たちを頼りなさい。いつも病院にいるあの子も力になってくれるだろう」

 「では、行ってきます」

 私は玄関の扉を開けた。


 ◇


 三千三十二、三千三十三、三千三十——。しおんは、朝の日課に精を出す。ちなみに、朝の六時だ。腹筋、背筋、腕立て伏せを済ませておく。シャワーを浴びて、朝のテレビ番組をつけながら、めぼしいものを探していると。

 ピンポーン、とインターホンが鳴る。玄関に出ると、

 「どうも、隣に引っ越しました。メラリアン・チエドウラと申します。今後ともよろしくお願いします」

 「はあ、どうもご丁寧に」

 何故か刀削麺を渡されて、去っていった。なんだったんだろう、と思っていると。

 「お兄様、おはようございます。えっと? どうかされましたか?」

 あまりに呆けていたので、あわりに心配されてしまった。

 「だ、大丈夫だよ。なんか刀削麺貰ったから、一緒に食べようか」

 あわりは困惑した様子で、

 「そうですか。では、私がタレを作りますので、お兄様は麺を茹でてください」

 謎のお隣さんに困惑しながら、朝食を済ませた。


 ◇


 「はい、というわけで今回のテーマは枝豆です」

 いつものようにわたしが説明していく。

 「わかりました。では、いってきますね」

 んーと、あっ、伝えなきゃいけないことがあったんだ。

 「あわりちゃん、こっちおいで」

 宿題を取り出していたあわりが、くるっとこちらを向く。

 「どうしました?」

 あわりの胸に顔をぐりぐりしながら、

 「ついに出来たんだよ。あわりちゃん用の転移装置!」

 あわりも顔をぱあっと明るくさせて、

 「本当ですか! やったー!!」

 今までの、おとなしかった様子が嘘のようにルリハとはしゃいでいる。

 「ということは、ルリハさん! 今からでも、兄について行けますか?」

 「うん! 行けるよ! じゃあ支度するから待ってて」

 いやぁ、徹夜した甲斐があった。


 ◇


 ルリハが奥に引っ込んだ後、あわりに

 「よかったな」

 あわりの頭を撫でる。銀の髪がさらさらと流れる。

 「はい! これでお兄様と冒険できます!」

 笑顔を見せながら、想いを馳せているようだった。

 「…………こうきたら、こうやって…………」

 そんな妹の様子を見ながら、少し家にいる弟妹たちがどうなっているのか、と思った。でも、優秀な弟妹たちの心配など無用だろうが。あわりを見ているとそんな想像が過ぎる。あの子達も、本当は————。


 そんな思考に浸る自分は、あわりの目がこちらに向いている事など知る由も無かった。


 ◆


 まったく、お兄様の意気地なし。ふん、と鼻息を荒くしながら泡莅は、いや流離の旅人・ダイスとして活動している。背はいつもと同じくらいの身長だ。髪は、亜麻色、目はずんだ色。

 ちなみに、殆どの人が小四ぐらいの身長だ。平均身長が総じて低い。たまに、背の大きい人に会っても小さなおっさんとしか思えない。私のこの体は、他の人より少し高いので、少し優越感に浸れる。

 お兄様とはまだ合流していない。ここに来てまだ数ヶ月だ。この国は他国と比べて比較的に広いらしいので、もう少しかかるかもしれない。こんなに苛立ってるのも、お兄様に会えないせいだ! と喚いてもしょうがないので、心の中でお兄様の文句を言う。

 全く、気づいてる癖に気づいてないふりをするだなんて! さっさと家族に会って、話し合えばいいのに! ああ、側から見るとこんなに苛立つものなのですね。しょうがない面もあるとは思いますが。


 あんな事があったとはいえ、意図せずとも、もうあれだけ強くなったのだからしがらみに捉われずに自由に動けばいいのに。と、不毛な思考を続けていた。


 「そこのボロの、ちょっと待ちな」

 「なに、いま忙しいんだけど」

 いつもより虫の居所が悪い。さっさと去れ! と心で念じていると、

 「ここを通りたければ、通行料を払いな」

 ちっ、そういうことか。どうやら考えながら歩いたせいで治安の悪い地域まで来てしまったらしい。

 「はらよ」

 小銭の入った袋を投げつける。

 「おおきに」

 とそのまま去ろうとすると、

 へへへ、と男たちが私を囲む。

「何か?」

 「おめえ、随分気前が良いみてえだな」

 男が私の襤褸を掴もうとする。さっと距離をとると、その勢いでフードが捲れ上がる。

 「——哭き緋瑪——」

 「おお、べっぴんじゃ——。ふげぇ!」

 ゆらゆらと動揺している男たちに向けて、金棒を振る。安心しろ、峰打ちだから。

 「ひぇ、ゆる——たばぁ!」

 最後の一人も叩き伏せる。

 「おにいさまぁ、いづこにいるのですかぁ」

 金棒をしまい旅を続ける。


 ◇


 今、あっしは商売をしておりやす。ラドロ、と申します。数週間前、漂流したところを憲兵に連れてかれ、牢にぶち込まれたところをあれやワイロやしてなんとか出ようとしました。

 しかし、今は何故か将軍と宰相の謁見、その目前まで話をこぎついてしまいやしたが何故でしょう? 赤いカーペットの上を歩いて、この先に国王が居そうな玉座の間らしい扉を開けるとそこには、縦一メートル八十センチ、横一メートル二十センチの枝豆の鞘がそこに居た。もう一度言おう。巨大な枝豆の鞘が玉座に鎮座していた。

 「よく来た、商人よ」

 枝豆の鞘から声がする。武人のような重低音が響く。

 『其方に幾つか聞きたい事がある』

 今度は聞き取りやすいハッキリとした声。余りの事態に、手を挙げた。

 「どうした?」

 自分が手を挙げたことに疑問に思ったらしい。

 「あの、失礼かもしれやせんが。一つ質問が」

 「申してみよ」

 「はい、貴方様たちは将軍様と宰相様で? あと、玉座に座っているということは国王様も一緒で?」

 〈ん? 朕もいるぞ!〉

 三人目の声、二人に比べて若く、幼いイメージのある少年の声が枝豆の鞘からする。

 「おお、すまない。外国の客人を迎える事は少なくてな」

 『わたくしが、説明しましょう』


 ◇


 十五年前、国王様は子供を授かった。しかし、その王子様には、身体に見合わない巨大な力を宿していた。故に、寿命も間もない。王子を助ける為、将軍と私が命以外の全てを賭けて封印魔法で王子様の力を他に散らすように枝豆に収まり王子の体を成長するまで御守りする天命に、身命を賭しているのだ。そろそろ王子も十五歳。体も出来上がる頃合いであろう。その時まで、この老体に鞭を打っているのが現状だ。


 ◇


 「今、王子が王座に就いてるということは」

 『ああ、前国王は数年前にご崩御なされた』

 ふむ、この国ではおそらく将軍と宰相が実権を握っているのだろう。ならば、

 「そうでしたか、もしやあっしに聞きたいことというのは」

 『無論、外の世界の情勢だ』

 そうだろう、とうなづく。

 この世界は地面がない。海に流れる筏を足場にしているのだ。なので、他国とは連絡を定期的に行えないのだろう。いちいち筏が流されるので、場所がどんどん変わっていく。そして、王子の戴冠式をする為に、後続の憂いを断ちたいのだ。

 「そうですね、取り敢えずあっしが知ってることと、他のあてを使いやすが。勿論、」

 『ああ、報酬は前払いで払おう』

 「へへ、おうきに」

 また一つ、あっしの商売が始まった。


 ◆


 さて、この国に暫く居座るとして、後はどう動こうか。


 取り敢えず、前払いの報酬について確認するか。

 一つは、商売の許可。商人にとっての命。

 二つ目は、商業組合とのパイプ。これは、一つ目の付随みたいなものだ。

 まあ、これだけ揃っていれば、少しの間の滞在の負担してくれれば万々歳だが。

 三つ目の妹の捜索協力も漕ぎつけた。これで見つかると良いのだが。

 最悪、伝言を頼ませてもらおう。


 思考を打ち切り、商売についてシュミレートしていく。


 ◇


 おにいさまぁ、イカダを漕ぎながら、ズンダー ズンだー ずんだぁー? と進んでいく。

 嗚呼、幻聴まで聴こえて来ました。

 おにいさまぁー! ズンダァー おにいさまぁー!! クロずんだー! と目の前に見える国に向けて舵を切る。


 ◆


 気付いたら、他国についていたようです。

 目に隈を貼り付けながら宿を探す。少し高いくらいが防犯に良いそうですね。出来るだけ良さそうな宿を探す。ふむふむ、要心御用達の宿とな。ここで良いや、と中に入り、部屋を貰ってすぐに寝る。すゃぁ。


 朝です。気怠い体を湯船に浸かりながらほぐします。取り敢えず、今日から街の様子を見て、用心棒でも受け持ちましょうか。身支度をして、街を巡るため、お兄様と合流するために歩みを進める。

 ただタイトルをノリで決めた。反省も後悔もしない。

 作者は、ただ、話を書きたかっただけなんだ(錯乱)

 あ、メリークリスマス、健康にお気をつけて

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