炎上の誓い
場面は変わって三日後、正式に秋篠と契約を締結した公孝は、私立秋篠女学院の二軍の練習を見に来ていた。
目立つメンツは二人。
べらんめえ口調で、ダンスが達者な猪苗代元子、もう一人は見事なソプラノの支倉まりあ。
公孝を目ざとく見つけた元子は公孝に挨拶をする。
「よう、おっさん! ファンの見学か? サインしてやんよ!」
公孝はかなーり嫌そうな顔で言った。
「男口調の女の子って僕、怖いよママ!」
見事にしなを作り女口調で、である。
「あらあら、まあまあ! あなたですのね? 社長がおっしゃっていた新グループのプロデューサーは。わたしは支倉まりあです。よろしくお願いしますね?」
そう言ってまりあはこうべをたれて会釈した。
公孝がそれに答える。
「ASJ二軍の資料は全て目を通してある。支倉まりあ。まずもって俺が目を付けたのはお前だ。お前の兄貴は最近、ミスターソックスとかいうアニメでブレイクした支倉シンイチロー先生らしいな? よろしく頼む」
そう言って握手を求め、公孝の手にまりあの手が乗るや否や、元子は無造作に二人の肩を抱き、言った。
「よっしゃぁ! これで三人はズッ友な!」
「えー、嫌でござるよ」
と公孝。続けて、
「あらら? 元子さんはお嫌いで?」
とまりあ。
「別に好きとかじゃなくて、この女からは地雷臭がする。秋篠エンターティメントを爆破するほどのスキャンダルを起こす予感が……」
と公孝は引き気味に言った。
「そんなこと言うなよ、おっさん。スキャンダル上等! この世は売れたもん勝ちだぜ~! 大船に乗った勢いで突き進もうぜ!」
元子はバンバン公孝の肩を叩きながら呑気に言った」
「嫌な予感しかしない! が、お前のダンスは本物だ。どこで習った?」
「盆踊りくらいしかしてないぜ! ダンスは渋谷で踊って金もらってた! すげえだろ? 認めろよ! お前もガツンとやられたろ?」
ガツンと拳骨を公孝の頭に食らわせて元子は言う。
「いてーんだよ! ふ、つ、う、に、あ、い、さ、つ、で、き、ん、の、かっ!」
カッと目から光線を出しながら公孝は言った。光線は普通に部屋の壁を貫通し、見知らぬおっさんのかつらを飛ばす。
「これがあたしのスタイルなの!」
「そうか、スタイルにはうるさいダンディ神居としては、お前の無礼な振る舞いに目を瞑らなければなるまい。とりあえずお前たち、元子とまりあか、二人は合格。俺の新グループ、エターナルアイドルにようこそ。お礼はベッドの上で頼む」
「セクハラだぜ! おっさん! あははっ! あたしが器がでかくて助かったな? 今はそういう冗談も通用しないぜ!」
「悲しい時代に産まれたものだ……」
「よろしくお願いしますね? 公孝さん」
三人は手を握り直し、団結を誓った。
「我ら三人、産まれた日は違えども」
「やるときゃやるぜ! 平城京!」
「死する時は同じ日に、よよよ……」
大笑いの元子、涙ながらのまりあ、仁王立ちの公孝。
これが後の世に言う炎上の誓いである――




