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第三半話

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 フルダイブVR技術の変遷は急速であった。超大手企業、GoodleとAmezonが手を組み共同開発をしたことからその技術の礎は2つの企業のものになった。

 かのように思われた。


 若き天才脳科学者、在原恵は26歳にして、その技術の土台を完成させた。フルダイブVRの研究は人間の夢がどのようにして見られているのかを徹底して調べた。

 従来では、脳から生じる電気的活動、つまり脳波を頭上皮質、蝶形骨底、脳表などの様々な部位に置いた電極で読み取ることしかできなかった。だが、その脳内を巡る電子を操作する技術が確立した。使いこなせるものはいなかったが。


 在原恵が着目したのは睡眠時脳波だった。睡眠時の脳波は、入眠時、軽睡眠機、中度睡眠機、レム期などに分かれる。ここで在原恵は「夢を見ている場合に発生する脳波と微細な電子の移動」を発見。更に、夢を覚えている人間と覚えていない人間の際を確かめるべく、200人の被験者を集め、2年の歳月をかけ、調査を進めた。 

 呼吸曲線、心電図、筋電図、眼電図。様々な医療機器を利用した研究には膨大な資金がかかった。最初は「そんなの成功しない」と言われていた研究も、実態が掴めてくるうちに協力者が次第に増えて行った。

 科学者が魔法やオカルトを信じないように、夢の操作方法など誰も興味を持たなかったが、理解の範疇内に来ることがありえる状況になってくると、貪欲に実験と観測を繰り返した。科学者とは元来そういう生き物なのだ。


 しかし、研究は詰まった。VR世界での出来事を覚えていることが出来なかったのだ。そこで在原恵は自身の能力を生かし、その能力発動時の脳波を観測することにした。

 在原恵の能力。それは「明晰夢」であった。明晰夢とは、はっきりと夢を自覚し、それを操作でき、熟練した使い手ならば、夢を操作して空を飛んだり、完全に現実かのように記憶を保持できる。実際、明晰夢中にも勉強をすることで東京大学に合格した者が歴史上に実在する。

 そして分かったのが「間」であった。「眠り」と「覚醒」の間に脳の状態を留めることに成功した。明晰夢を見るには「自分は寝ていない」と信じ込むなどの練習が必要であったが、この「間」に留める技術によってそれが必要なくなり、どんな人間でも明晰夢を見られるようになった。

 ちなみに明晰夢はかなり浅い眠りなので、これを長時間行ったからと言って脳の状態は回復しないし、夜に眠れなくなったりもしない。


 そこからの発展は目覚ましかった。どんな人間でも見ることのできる明晰夢を開発し、その脳波をオンライン上で共有することができるようになった。

 先程、明晰夢では「空を飛ぶこともできる」と説明した。つまりはその世界にファンタジーを確立することも可能。

 こうして完成したのはフルダイブVRMMOであった。そのころには、在原恵の会社は莫大な資金と、株価の上昇により、富と栄誉を手にした。

 もちろん彼女はノーベル賞を受賞することになった。しかし、その前日、彼女は受理を辞退。そして。


 在原恵は自殺した。


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