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そうだ、息子に会いに行こう。  作者: 氷上人鳥
7/12

博物館

 そろそろ日が傾き始めた頃。

 途中に少々事故はあったが、シェパードは今日の目的地である街にたどり着いた。

 今日はここで一泊し、明日首都へ向けて出発する予定である。


「ようこそ、旅の人。今時馬とは珍しい」


 街の入り口にずっと立っている男が話しかけて来た。


「これしかおらんかったでな。ところで、お前さんは?」


「俺はこの街の警備をしつつ、来訪者への案内を請け負ってるんだ。やっぱり爺さんも、今やってる博物館が目当てかい?」


「博物館? 何の事じゃ?」


「そうか知らなかったのか。この街の外れにでっかい屋敷があるんだが、そこの主が期間限定で屋敷の一部を解放して、博物館を開いてるんだ」


「ほぅ。で、何を出しとるんじゃ?」


「近年目覚ましい活躍をしている、今の国家錬金術師達の事だ。これまでの功績や、公開が許されている情報などがまとめて展示されているんだ」


「錬金術師、とな」


「今から行けばまだ間に合うとは思うけど、明日ゆっくり見に行ってみたらどうかな」


「ありがとう、良い話が聞けた」


「お役に立てて何よりだ。良い旅を」


 その後街の中に入ったシェパードは考えた末、今日博物館に立ち寄り、明日予定通り出発する事にした。

 本来予定に無かった場所だが、元々この街で一泊する予定だった事と、まだ時間と体力に余裕がある事から、今日の内なら計画に支障は無いと判断してだった。

 それに、実際に会う前に息子(シュナウザー)の事をもう少し知っておくのも良い、と思ったのもある。


「ここじゃな」


 街の至る所に案内板が立っていたため、博物館へは容易にたどり着いた。

 自由解放されている館内に入ると、なるほど博物館らしい様々な展示が、所狭しと並べられていた。


「ふむふむ、そうじゃったのか……」


 そもそもシェパードは、錬金術師と言う職業がどのようなものかすら、ろくに理解していなかったのだ。

 それは、一般人にとっては魔法とも呼べるような、世界の真理を逆手に取る職業だった。異なる世界では科学と呼ばれる領分である。


「しかし、具体的に何をやってるかは分からんのぅ」


 一般向けの展示物のはずだが、やけに専門用語が多く、読解はできなかった。

 諦めて先に進むと、次は現在活動中の国家錬金術師達それぞれの紹介がされていた。


「ほう、これが息子か……」


 最近の物と思われる肖像画なども飾られており、詳細は不明だがやはり首都のどこかに研究所があるらしい。

 そうして展示物を眺めていると……


「全員動くな! ここは我々が占拠した」


 きな臭い台詞を吐く集団が、一斉に雪崩れ込んで来た。

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