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そうだ、息子に会いに行こう。  作者: 氷上人鳥
6/12

弱者の在り方

 シェパードは壁の上の村人に言われた通り、村の反対側まで壁沿いに進み、目標である次の街道に入ろうとしたその時だった。


「何じゃ?」


 突然、空から大量の矢が降って来た。


「おおぉぉお!」


 次々と屋根に穴が空き、中の肉や外で健気に走る猪が矢まみれになっていく。

 やがて車は完全に破壊され、猪も動かなくなってしまった。


「何が起こったんじゃ一体……」


 不思議な事に、外に放り出されたシェパード本人はなぜか無傷だった。

 周囲を見渡すと、村の壁の上で大勢の人達が弓を構えていた。すべて例外無くこちらを狙っている。


「悪いな爺さん、この村に近付く奴は必ず殺す決まりなんだ。運が悪かったと思って、大人しく死んでくれ」


「なぜそんな決まりがあるんじゃ?」


「村の存続の為だよ。さして強くない俺達(この村)が生き残るには、常に殺られる前に殺るしか無いんだ」


「ふむ、そうか……致し方あるまい。ならせめて、こちらも生きる為に抵抗させてもらうぞい」


「撃てぇぇぇ!」


 降り注ぐ矢を腕で弾きながらシェパードは壁に肉薄すると、壁を支える柱に拳を叩き込んだ。


 ベキッ!


 柱にひびが入り、やがてゆっくり傾いていく。もちろん柱に支えられていた壁も崩れ落ち始める。


「壁が崩れるぞ、みんな降りろ!」


 その指示も空しく、壁の上にいた者達は全て、あえなく壁と運命を共にした。

 最終的には、一繋がりだった事が災いし、村を取り囲む壁は連鎖的に全壊した。



「俺達を、どうするつもりですか?」


 ここは村の中央。

 生き残った(攻撃に参加しなかった)村人達全員が集められ、シェパードと対峙している。

 最初に道案内をしてくれた男が、代表として話をする事になった。


「そうじゃな。ワシを攻撃してきた戦力は壊滅したようじゃし、これ以上何かするつもりは無いが……」


「移動手段や物資が必要なら、好きに持って行って下さい。壁も自衛能力も失った以上、どうせ俺達は間もなく死に絶えるでしょうから」


「では好きにさせてもらおう。それよりひとつ、聞きたい事があるんじゃ」


「何ですか?」


「お前さん達は、何故そこまでして生き続ける事にこだわるのじゃ?」


「……生きる事に理由が必要ですか? 俺達は目的があるから生きてるんじゃない。ただ生き続け、未来を子に引き継ぐ、それこそを目的にしているんです。生きていく事が当たり前であるあなたには、理解できないのでしょうけど」


「ふむ、そんなものか」


「それだけですか?」


「そうじゃな。では行くとしよう」


 馬車一揃いとそれに積めるだけの食糧をもらい、シェパードは滅びの宿命が待つ村を後にした。

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