盗賊団
男の指示に従い、シェパードは車の中で待機する事にした。
外ではしばらくの間物音が続いたが、やがてそれもおさまった。
「ふむ、どうなったのか……」
外に出てみて最初に目にしたのは、ボロボロになりもう動かなくなったさっきの男。
「あとはじじぃだけだ。さぁ、持ってる物全部出して両手を挙げな!」
「ずいぶん派手にやったのぅ」
「この世は弱肉強食、強者は弱者の命をどうしても良いんだよ」
「そうか。なら、お前さん達に従った所で、ワシは殺されそうじゃな」
「じゃあどうするってんだ?」
「無論、抵抗させてもらうぞい」
その結果……
「な、何なんだよその強さは!」
「ふむ、口ほどにも無いのぅ」
今ここで生きているのは、シェパードと賊の頭目(と猪)だけだった。
他の盗賊達は、無手の老人によって瞬く間に撲殺されていた。まさに人間離れしたその身体能力は、武装した集団さえも容易に捻り潰した。
「まぁ確かに、最近やけに体がよく動くんじゃ。ワシもまだまだ若い者には負けておらんって事かのぅ?」
「体の調子が良いで済む強さじゃねぇ! 間違いなくてめぇはバケモンだよ」
「今はワシの事はええわい、それよりお前さんの事じゃ。やはりもう二度と悪さができんように、ここで懲らしめておくべきか」
「待ってくれじいさん! もう俺悪い事しねぇから、命だけは助けてくれよ。頼む!」
そう言いながら清々しく土下座する最後の盗賊。
「その言葉を信じる理由は無いのぅ」
対するシェパードは表情ひとつ動かない。
「それに、さっきお前さん言ってたじゃろ? 強者は弱者の命をどうしても良い、ってな」
「なっ!」
その言葉に驚いて顔を上げた次の瞬間、盗賊の頭はひしゃげ、原型を失った。
もちろん、もう二度と動く事は無い。
「ふぅ、これで終わりじゃな。さて……」
シェパードは改めて現状を確認し、途方に暮れる。
進むも退くも道程は長く、あるのは御者を失った猪車のみ。
「そして、体を動かしたら腹が減ったのぅ」
どの問題からどう片付けるか困るシェパードだった。