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最悪に備える

 

「・・・ビワにはアレルギーはなかったですよね。」


 牧野マネージャーが慌てて林田さんのところに駆け寄ってきた。


 私は林田さんの手首に手をあて脈をとる、特に頻脈はない。血圧も低下していないようだ。


「ビワはバラ科の植物なので、桃やりんごにオーラルアラジーシンドロームのある人は同じ症状がでる可能性があります。」


 林田さんには無理に話さないようにしてもらって、予防的に処方していた抗ヒスタミン薬を追加で飲んでもらう。


「それじゃ・・・何を食べたらいいのか分からないですよね。」


 牧野マネージャーが悲鳴のような声を上げる。


「私・・・ビワ食べたの、初めてかも・・。」


 林田さんが小さな声でつぶやいた。須藤がそれを聞いて、


「私も15年以上前にひいおばあちゃんの家で食べたのが最後だな。最近食べたことないかもしれない。」


「私も食べたことないかも・・・。」


 さなも須藤に同意した。


「今、そういう話をしている場合ですか?。」


 牧野マネージャーが悲鳴のような声を上げる。


「これは重要な情報です。給食とか、飲食店でで初めて食べてアレルギーがわかることがありますからね。」


 いつの間にか近くに来ていた武藤先生が、牧野マネージャーを落ち着かせるようにゆっくり説明してくれた。


 マネージャーは武藤先生にまかせて、林田さんの経過を見る。

 約15分経過したところで、


「大丈夫?」


 と話かけると


「とりあえず・・・口の中がかゆかったのはだいぶ取れてきました。」


「あのう・・・。救急病院にかからなくていいんでしょうか?。」


 上原専務が聞いてきたので


「オーラルアラジーはほとんどが口腔内の違和感、ピリピリ感なので、呼吸困難やショック状態にならなければ、経過を見てください。」


「久しぶりにひどかったです。サラダ取り分けるときに、嫌な予感がしたので、ドレッシングほとんどかけなかったんですが。」


 林田さんはもう大丈夫と椅子から立ち上がった。



「申し訳ありませんでした。」


 シェフが林田さんに謝罪しにやってくた。林田さんは気にしないでください、と言いながら、


「私もびわにアレルギーがあると知らなかったので仕方がないです。」


 私はシェフに伝えた。


「食物アレルギーは、始めて食べたもので出ることもあり、完全に防ぐことは難しいので、最悪の事態に備えてエピネフリンの自己注射を持ち歩くように指導しています。」

すみません、次がラストになると思います。

パソコンが壊れて、セットアップに時間がかかってしまい、最終回は9日(日曜日)に更新します。


一部書き直しています。(新川先生はゆきのさんのことを林田さんと呼び、ゆきのさんとは言わない設定でした。)

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