ありがとう
「KANA食べてないじゃない、少しは食べなよ。」
MARINAさんがお母さんのように、私にキッシュとローストビーフを勧めてきた。
「自分の分は取り分けてありますよ。」
私は自分で取り分けていたサラダを言い訳のように食べ始めた。
「おいしいです。」
「でしょ。このお店は私のお気に入りなんだから、店長さんとも今は仲良しで、よく来るのよ。」
カラフルな野菜とジューシーなドレッシングのサラダだ。このドレッシングは何を使っているのだろう。そんなことを考えているときに、
「新川先生。今日は無理を聞いて頂いてありがとうございました。」
林田さんがあいさつに来た。その後ろには『プラス plus』のメンバーもいた。
「まさか、ゆきのが受診しているお医者さんがあのKANA3001だったなんて、びっくりです。衝撃でした。女医で歌手ってすごくないですか。サインください。」
いつの間にか、さなが手帳とペンを持って隣に迫ってきていた。
「・・・もう今はほとんど活動していないから。」
私は仕事で使う、大人の微笑みでかわそうとしたが
「そんな、何言っているんですか、この前の新曲の投稿見ましたよ。私もう歌覚えました。」
さなの目は前に須藤を見ていた時と同じように、きらきらと輝き、私をロックオンした感じになっていた。そんなさなを抑えるようにリリアさん会話に入ってきた。
「KANAさん、先日は教えていただき、ありがとうございました。」
「あの時は名前も言わずに、言いたいこと言ってごめんなさいね。」
「そんなことないです。わ、私、まだまだ頑張れるんだって分かりました。」
リリアさんが噛むのはキャラではない。
「そうだよ、リリアはKANAさんに教えてもらったんだよね。それから・・・すごく良くなったよね。」
会話に割り込んできたさなに、まほが釘を刺すよに会話に入ってきた。
「KANAさん、ゆきののことも、リリアのこともありがとうございます。さな、そんなにぐいぐい前に行くと、KANAさんも引いているよ。」
私は苦笑して
「まほさん、大丈夫よ。ありがとう。」
私の声をきいて、まほさんはすこし照れたように顔を赤くした。
「・・・私こそ、ありがとうございます。ゆきのが元気になって良かったです。」
最後は言葉にならなかった。まほの瞳から大粒の涙が零れ落ちたから。
サブタイトルからエピローグをとりました。エピローグが延々と続いてしまったので、改めてエピローグを最後に記載します。




