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打ち上げ

 

 打ち上げはコンサート会場から程近い都内の小さなイタリアンを貸し切りにして行われた。


「ああああ私、もっとかわいい恰好をしてくれば良かったです。」


 やる気満々だった野中さんが急にお店の前で狼狽し始めた。

 野中さんはかわいいロングのワンピースで、一般人として参加するのには十分な格好だと思ったが。


「えええ、野中さんここまで来て・・・。大丈夫ですよ。」


 武藤先生が慌ててなだめる。そういう武藤先生はどっから持ってきたのか細身のジャケットを羽織っており、見た目は完全にモデルのようだった。


「野中さんはかわいいから、そのままで十分だよ。」


 私がそう言ったが


「そんな、KANA3001モードの新川先生に言われても、説得力がないですよー。」


 野中さんははあああと狼狽していた。


「これからかわいいかわいいアイドルさんと一緒なのに・・・」


 しかしいつまでも店の前では騒げないので、ドアの開いたタイミングで野中さんと武藤先生とで中に入る。



 すでに会場内はメンバーとスタッフが勢ぞろいしていた。ビュッフェスタイルのようで、すでに色鮮やかなサラダやカプレーゼやキッシュなどがテーブルに並んでいる。


 須藤がちょいちょいと我々を呼んで席を確保したので、さりげなく須藤の近くに座る。



 飲み物が配り終えると牧野マネージャーが立ち上がった。


「打ち上げを開始します、まず最初に上原専務からのご挨拶です。」


「今日は皆様のおかげで、無事に誕生祭を終えることができました。ありがとうございました。お疲れだと思うからこのまま乾杯にしましょう。」


 未成年のアイドルの誕生祭なので、全員乾杯用のドリンクとしてノンアルコールのシャンパンがグラスに注がれた。


「乾杯」


 乾杯して食事がは始まるとすぐに和やかな空気になった。


 私は食事は軽くでいいと思ったので、乾杯のドリンクをゆっくり飲みながら、前菜とサラダを皿にとってそれを手にテーブルに着く。

 須藤の隣にダンス講師のMARIAさんも来て、ステージでのダンスの話でしばらく盛り上がった。


「KANAちゃん歌うなんて反則!!。」

 とMARINAさんは爆笑していた。すでにビールを何杯かのんで、酔っぱらっていたらしい。


 武藤先生はいつのまにかメイクさんと一緒に飲み始めていたし、野中さんは音響さんと音響バランスについて異常に盛り上がっていた。


「ステージででたケーキののこりですけど、皆さんもいかがですか?。」


 マネージャーがケーキを取り分けて皆に配り始めた。


「わあ、ケーキ、おいしそう。」


「ステージじゃほとんど食べられなかったよね。嬉しい!!」


 もう一度、誕生日のケーキが食べられることを喜ぶ、10代の食欲をうらやましくもほほえましく思った。

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