バックコーラス
そして照明がステージを照らして、新しい衣装に着替えた『プラス plus』のメンバーがゆっくりと立ち上がる。
ラスト前の1曲はアレンジをアコースティックに編曲した『雨そして花と華』だった。
ゆっくりとしたピアノのアコースティックアレンジで、バックコーラスの歌いどころも決まっている。できるだけ、『プラス plus』を引き立たせるように歌う。
ただ、下手に遠慮すると、舞台のライブ感を損ないかねないので、バランスが重要だ。
始めの間奏にバックコーラスのソロが入るのだが、『プラス plus』のメンバーが左右にはけて、バックコーラスが目立つような演出になっていた。
須藤が指示したであろうこの演出は、たぶんバックコーラス・・・私を目立たせるためだ。
LaLaLa~と私が歌いだすと、
観客の視線が一瞬私に集まったのがわかった。
いい。この感覚。会場と一体になったような高揚感に包まれる。
しかし今日は『プラス plus』の誕生祭だ。私のパートが終わると『プラス plus』のメンバーにスポットがあたり、それぞれがいつもよりゆっくりとダンスをした。
振り返った林田さんと目が合い、恐ろしく美しいほほえみを私に向けて見せた。私の歌を誕生会で聞きたいという林田さんの希望が今回出演のきっかけになっている。
このダンスフォーメーションの演出は須藤と林田さんが相談して決めたものだろう。
2度目の間奏部分でも同じような演出が入り、観客からわあと大きな歓声が入る。
少なくとも観客からの声援を聴くと、歌い方としては間違ってはいないのだろう。
いよいよラストの1曲『君に会えたから』になる。
今回は警備の都合上、アンコールは受けない予定なので、本当にこれがラストの一曲だ。
『君に会えたから』の間奏は東城卓人がアレンジして、バックコーラスが引き立つ曲になっていた。
みんな、他のグループに渡した歌を自分の都合でアレンジ変えすぎだ。私のためにアレンジしないで欲しい。グループのためにやってほしい。
須藤にそう言ったが、ふふふっと笑ってあしらわれた。私が歌いやすいのは確かなのだが・・・。
そう思いながら、私の声に合うように編曲されていているR&B調のコーラスを歌う。その間、観客の声援が止まり音楽に集中しているのが分かる。
この他人の集中が自分にわかるという感覚は、ステージでしか感じることができない。激しい快楽にような感覚。
やはりステージはいい。
私の歌の最後にかぶるように、さなさんのソロパートが始まり、他の3人が勢いよくダンスを始める。
観客席からわあぁぁと声援が聞こえてきて、誕生会の最後はダンスと歌で終了した。
熱気が浮遊するように移ろっていく。
そして今日の私の出演は終わった。




