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診断がつけば

前回更新時間を間違えて7時にしてしまいました。7月7日7時と無意識にそろえてしまったようです。今日から6時に更新します。

 

「私、声かけてきますね。」


 寺田さんは林田さんとマネージャーに薬と次回予約の確認をし、会計に案内しながら適切なフォローをしてくれた。


 私がカルテを書き終えたタイミングで、寺田さんが診察室に戻ってきた。


「・・・良かったですね、林田さんもマネージャーさんも。原因がわかって。」


「まあ、医師としてはもう少し早く、問診だけで気が付くべきだったかもしれないけどね。」


 私はそう言いながら、自嘲気味に笑った私に、寺田さんはそんなことないですよ、と言いながら、


「オーラル・アラジ―・シンドロームは知っていますが、林田さんの症状からは、私は考えつかなかったですね。」


「気が付けて良かったと思うよ。」


「私、初めはてっきりメンタルだと思い込んでました。」


 寺田さんは反省反省と言いながら、自己注射の指導内容をカルテ記載していた。ふと思い立つように、私に声をかけてきた。


「後から考えればわかることでも、そこに気が付けるかどうかは別ですよ。さすが、ボーカルドクター新川先生です。」


 寺田さんの褒め言葉はありがたく受け取ろう。


 私はミネラルウオーターを飲んで、ほっと溜息をついた。




 それからしばらくは、林田さんに定期的に通院してもらった。


「調子はどうですか?。」


 林田さんはアイドルオーラ前回の笑顔で


「その後は特に変わったことはないです。果物食べられないのはちょっとつらいけど・・・慣れました。」


「先月のコンサートも何も異常はなかったですか?。」


「はい、無事に歌えました。・・・あっ、そうだった。」


 と言いながら、林田さんはカバンの中から白い封筒を取り出した。


「もしよければ、ライブのチケットなんですけど、先生来ていただけませんか?」


 私は少しだけ躊躇った。基本的にはライブやコンサートの招待は、病院の方針として断っていた。利益供与になることと、これを受けていると誘われたすべてのライブに行かないといけなくなるからだった。招待のように見えて、なし崩し的に往診治療のような状態になってしまうこともあるためだった。


 勿論、ライブやコンサートを見ることが診断・治療の一環の場合や、往診として治療を正式に依頼された場合は別だったが。


「5月は私の誕生祭なので、ぜひKANA・・・いえ新川先生に来ていただきたいと、須藤先生がおしゃっていたので。」


「・・・須藤先生が?。」

 先週会ったときは、特に何も言っていなかったが・・・。


 不思議そうにしている私に、林田さんは微笑みながら話しかけてきた。


「新曲は東条さんが作ってくれた曲で、すごくいい感じです。新川先生にもぜひ、聞いてもらいたいです。」


 ・・・なるほど、そういうことか。


「須藤先生からの招待、ということにします。それであれば、ライブに行けます。」


 私は白い封筒に入ったチケットを受け取った。


「先生にも楽しんでもらえるようなライブにします。マネージャーにも伝えておきますね。」


 失礼します、と言って林田さんは退室した。大人っぽい挨拶をするようになったなあと思いながら、彼女を見送った。


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