喉頭ファイバー
作者、現役の医師なのですが、耳鼻科医ではないため、ファイバーの記載が若干ざっとしてます。取材したい・・・。
「ファイバー準備、お願いします。」
私がふりかえると、すでにスタンバイを済ませて微笑んでいる看護師の田島さんと目があった。
喉頭ファイバー(内視鏡)の説明をするため、マネージャーと林田さんに診察室に入ってもらって、説明し同意書にサインをもらう。
「隣のブースに移りますので、ご案内します。ファイバーで声帯を見ますので、麻酔しますね。」
田島さんが林田さんを喉頭ファイバー用のブースに誘導する。
基本的にはファイバーで声帯を診察するときは患者さんだけの入室となるため、同意書にサインしてもらった後は、マネージャーには待合室で待機していただく。
私はファイバーに備えて、白衣を脱いでスクラブのみになった。マスクをつけた後、手洗いをしてから手袋を装着して、検査前のファイバーの動作確認をしていく。何事もルーチンをきちんとこなしていくことで、ミスを減らすことができる。
ふいに、ファイバー用の診察椅子に座り、咽頭麻酔を待っていた彼女が、私に声をかけてきた。
「先生は、須藤先生にボーカルトレーニングを受けているんですよね。」
「え、ええ。・・・須藤先生から聞いたの?。」
一瞬、素の自分がでそうになるが、すぐに医師の自分にもどる。
「私、症状をうまく表現できなくて、どこに受診しても異常がないといわれて、・・・もう病院に行きたくないって言ったら、ボーカルトレーナーの須藤先生が先生のことを紹介してくれて、いい先生がいるよって。」
私は否定も肯定もせず、頷いて話を効きながら麻酔のスプレーを準備していく。しかし、その後の林田さんの言葉に少なからず衝撃を受ける。
「新川先生は医師としても優れているけど、歌がすごい上手いのよ、って、須藤先生が言っていました。ボーカルドクターの新川先生になら、きっと原因を見つけてもらえるよって。」
林田さんの言葉に私はにっこりと微笑んだが、
須藤・・・はぁぁぁ、何をばらしているんだ!
と心の中で毒づいた。
その林田さんの言葉を微笑んではぐらかしながら、
「はい、検査のために麻酔しますから、お話ししないで下さいね。」
診察台に乗った彼女に鼻から麻酔をかける。
十分に麻酔が効いてからファイバーを挿入し喉頭、声帯を確認する。声帯はきれいでポリープなどはなかった。声を出してもらっても動きの左右差も認めず、声帯をしっかり閉じることができていた。
「・・・声帯には大きな異常はないですね。」
続いて喉頭ストロボスコープで声帯振動をスローモーションで観察する。
喉頭ストロボスコープは、高速の点滅光により声帯振動や粘膜波動をスローモーションで観察しすることができるため、声帯の振動の異常を調べることができる。声帯ポリープなどが声帯の間にはさまり閉鎖しにくくなっていないか、声帯の一部が固くなっていたり、左右差がないか、それによる不規則振動がないか、などを詳しく検査することができまる。
・・・異常はない・・・。声帯に異常は感じられない・・・。
きれいなアイドルの鼻にファイバーって、実際に見たらつらい光景。