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焼肉デート??(武藤視点)

 店には予約がなくてもスムーズに入ることができた。すでに21時を過ぎていたが、営業時間は26時までとなっていたので、時間的には問題ないだろう。


 案内された席は1階の半個室で、店の賑わいは伝わってくるが、隣の話し声は聞き取れない、落ち着いて食事ができそうな席だった。炭火に網がのり、上に排気用のローターが付いていて、火加減も自動で調節ができた。掘り炬燵になっていて、足が暖かい。


「私が運転するから、武藤君は飲んでね。」


 新川先生はウーロン茶を、自分は生ビールを頼んだ。軽い緊張を表に出さないよう、注意はしたが、新川先生は自然体でにこにことメニューを眺めていた。


「好きなの頼んで、私は少し食べればいいから。」


 会計は私が持つよ、と言われたが、確実に自分の方が多く食べることは分かっていたため、割り勘にしてくださいと3回お願いしてやっと納得してもらえた。


 飲み物とサラダが来たので、軽く乾杯をした。


「この店、良く来るんですか?。」

「いいえ、初めてよ。」

 ・・・そういえば出るときに、携帯で調べた電話番号をカーナビに入力していたのを思い出した。


 特上ネギタン塩は薄くてレモンとネギが効いていて、なかなかおいしい。

「新川先生もどうですか?。」

「じゃあ、一枚。」


 形のいい唇に箸が運ばれていった。


「おいしい。」


 ぱあ、と新川先生は微笑んだ。なかなか病院では見られない表情だった。外から見れば、仲の良い恋人同士にみえるのだろうか・・・と考えつつ、もう一枚新川先生に勧める。


「ありがとう。」

 新川先生はゆっくりと味わうように口の中に肉を運んでいく。


「この一枚で大丈夫だから、あとは武藤君食べていいよ。」

「ええっ、新川先生・・・、もっと食べませんか。」


 卓上には特上ロースと壺カルビが並んでいた。もっとも、新川先生は食べないだろうと思ったので、それぞれ1人前ずつ頼んで、あとはホルモンの盛り合わせが来るだけだった。


「私、少食だから。」

「・・・知っていますよ。だから、新川先生が、食事に誘ってくれるなんて、以外でした。」


 新川先生からは返事はない、アンニュイに微笑んでいた。


 大きめに切られた特上ロースと、壺カルビを少しずつ焼いていく。

 目線で肉を勧めると、


「じゃあ、一枚ずつ、頂くね。」


 新川先生はゆっくりと食べていく。それを眺めつつ、自分は自分のペ―スで肉を焼いて食べることにした。

 グラスを片付けに来た店員さんに


「すいません、ライス下さい。」

 と声をかけると、


「あ。私、冷麺ください。」

 新川先生もオーダーするとは思わず、振り返った。


「すみません、自分だけ頼もうとして。」


 新川先生はもう食べないだろう、と思っていたので特に確認せずに、ごはんものを頼んでしまった。ここは頼まないと思っても聞くべきだった。


「いいのよ。冷麺、全部は食べられないから、少し武藤君も食べてもらってもいい?。」

「・・・もちろんです。」


 職場では絶対しないような、甘えたような言い方に、なんだかいい気分になってビールが進んでしまう。


「シェアさせていただきますよ。冷麺好きなんですか?」


「時々しか食べないけど・・・好きよ。おいしいよね。」


食事のシーンをメインにしたなろう小説が多いのは、食事のシーンは色が思い浮かぶからですね。

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