いいことがあった一日
須藤と軽めの夕食を食べてから、家に帰ったのは21時過ぎだった。
うがい、手洗いをして、部屋着に着替える。
ソファに横たわり、まずは須藤にお礼のメッセージを入れた。大学から研究関連のメールが来ていたのでまずはそれを処理した。
そのあと患者のSNSを確認をしたが、大きなトラブルや変化はなさそうだった。
最後に『プラス PLUS』のメンバーのSNSを確認していく。林田さんのブログには、どこで撮ったのか雪の空の写真があったが、今日のリハーサルについては触れられてなかった。
須藤が、他にもトレーニングの依頼を抱えているため、イレギュラーにトレーニングに入ったことを知られないように、事務所に申し入れしたからだろう。
さなのSNSの写真に『いいことがあった一日』と書き込んでいたのがぎりぎりの、におわせなのかもしれないが。
ミネラルウォ―タ―を飲みながら化粧を落として、テレビのニュースを見たが、どうにも頭に入ってこない。
普段の医師としての仕事も疲れるが、今日は一日緊張感に包まれていた。10年前はステージが自分の居場所だったが、今は遠く離れたところに自分がいるのを改めて実感した。歌いながら、グループ、スタッフの人間関係を観察していた。Singerとしてではなく、医師としてステージにいたのだから、歌手としても、医師としても、いつもとちがう疲労感があって当然だろう。
体をしっかり休ませてリラックスするため、珍しく湯船に浸かることにした。
お風呂ができるまで、軽くストレッチする。
少しぬるめのお湯で体をほぐしながら、ゆっくりと髪をトリートメントする。その間に防水のタブレット端末から曲を流して今日のバックコーラスの曲をもう一回確認する。
つい自己流に寄ってしまう曲を、原曲を聞いて補正する。
バックコーラスはバランスが重要なのに、調和がとれていなかったことが反省点だった。もし次も出番があるなら、もっと上手に歌えるように練習しておかないと。
お風呂を出てから、30分だけ自宅のスタジオで今度ネットでUPする予定の曲を練習しておく。
彼女たちに練習させて、自分は練習しないのは不誠実だと思った。今日はステージで歌っていたせいか、ものすごく良く声がでた。
とても良く歌えた。
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