楽屋の雑談(ゆきの視点)
2日おきの投稿となります。
リハーサルが終り、休憩のため、楽屋に戻ってきた。
倉庫みたいに狭い楽屋に押し込められることも多いが、今日はステージ裏の楽屋だったので、十分に広いスペースがあった。
『プラス plus』のメンバーは、今までになかった歌のトレーニングに心地良い充実感を覚えていた。同時に緊張していたのか、まずはみんなソファに座り込んだ。
楽屋にはコーヒーや紅茶のティーパック、冷えたデトックスウォーターが置いてあり、中央のテーブルの上にはファンからの差し入れの有名パティシエのクッキーやチョコレートの小菓子がテーブルの上に並べられていた。
「もういいよね 甘いの飲んでも。」
さながよろよろと立ち上がって、ホットコーヒーに砂糖を入れて飲み始める。パイクッキーを口に運ぶ。甘いものが入ったさなは、元気を取り戻したようだった。
さなは一息ついてからゆきのを見て、
「須藤先生にボイストレーニング教わって、すごい緊張した。ゆきのはあの緊張感のなかで練習してるんだね。」
私もテーブルの上のアイスボックスクッキーを食べるところだった。口に入れる予定だったクッキーを離して、
「始めは緊張したけど・・・。今は大丈夫。須藤先生は、テンポが速いのでついていくの大変だけど、怒られるわけじゃないし、歌が上手になるし。」
「いいなあ、私も個別で教わりたいよ・・・。まあ、今日は良かった。ボーカルトレーニングしてもらえて本当に良かった。」
さなはコーヒーをのみながら、微笑む。
「私も今日は勉強になった。もっといろいろ出来るんだなあって。また教えてもらいたいね。」
まほが独り言のようにつぶやいたので、ゆきのは
「今まで、グループで教わったことって、なかったものね。」
と微笑みながら、食べようとしていたクッキーを口にした。
私もいつもの飲むわ・・・と言って、リリアも冷蔵庫にあった、果物が冷やされたデトックスウォーターを飲み始めた。
「今まで、ボーカルレッスンなんかやっても、なにも変わらないと思っていたけど、悪くないね。」
リリアはそっけない感じでそういった。
トレーニング嫌いのリリアのその言葉に、他のメンバーは意外そうに目線を交叉させたが、
「バックコーラスですごい歌上手い人がいたけど、リリアその人に教わっていたけど、教わった後、その・・・すごく良かった。良かったよ。」
ゆきのが声をかけるとリリアはふふふと美しく笑って
「実力よ。・・・と言いたいところだけど、まあ教わらなかったら歌えなかったわね。」
さながふふふと笑って、まほも笑った。つられてゆきの、そしてリリアも笑った。グループ全員の気持ちが一つになった気がした。
「やばい、リリア惚れ直すわ!!。」
「そうでしょう。」
さなとリリアが盛り上がっていると、 ふいに、ドアをノックする音が聞こえた。
「須藤です、入ってもいい?。」
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