須藤のおかげで
「どう?リハーサルに入って、何かわかったことあった?。」
一度私は須藤の楽屋に戻った。
顔を隠すために着ていたパーカーを脱いで、ミネラルウォーターを飲み休憩した。
「せっかくリハーサルに参加したけど、ゆきのも異常なかったし、 ステージの前後で変わったことも特に何もなかったし、収穫なしだったかな?」
須藤の問いかけに私は、
「そうね、林田さん、特に症状出なかったものね。」
「何も分からなかったわね。まあ、私としては『プラス Plus』のボイトレもできて、すごくいい感じだったし・・・、KANAの歌声も聴けたし良かったけど。」
また須藤はうっとりとした顔をした。
「それは・・・ありがとう。」
私が苦笑していることに、須藤は気が付かなかったかもしれない。私はもう一口ミネラルウォーターを飲んで、須藤を見た。
「今日はね・・・須藤が、林田さんを助けたのだと思うよ。」
と伝えてにっこりと笑った。
「・・・・え?私が?。」
須藤は意味が分からず、私を見た。
「どういう意味?。私、歌のコーチしかしてないわよ。」
「そうね、須藤はコーチとして正しいことをしたのよ・・・。」
私はもう一度パーカーを羽織った。
「そろそろ『プラス plus』の楽屋に行ってもいい?」
「え、まあいいけど・・。」
部屋をでて、メンバーのいる楽屋に向かって、一緒にステージ裏を歩く。
「ステージ衣装、ここで着替えるんだね・・。」
舞台袖にはハンガーに衣装がかけられていた。フワッとした生地が重なったスカートのついたワンピースで、ターンの時にひらひらしてダンスに映える衣装だった。
その横にさっき飲まなかったスポーツドリンクや、果物のたくさん入ったデトックスウォーターが、飲まれずに置いてあった。
「大変だよね、アイドルは、歌だけじゃだめだし。」
私はダンスは最低限しか出来ないので、おどれる人はすごいと思う。歌がうまいだけでは、芸能界を生き抜いていけない。何かに秀でているか、バランスが取れているか、それが時代とあっているか、など様々な要素が絡んで人気を作り上げる。
その厳しさはよくわかっていた。
私が衣装を見ていると、須藤が待ちきれないように聞いてくる。
「さっき言っていた、私がゆきのさんを助けたって、何のこと?」
私ははまっすぐ須藤を見ながら
「まだ、確信はないけど、ゆきのさんの体調不良の原因をつかんだと思う。」
ストックが残り少なくなったため、2日おきの更新にします。申し訳ありません。




