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声を分析すること

短めです。サブタイトルがどうにも付けられません。

 野中さんが林田さんの検査をしている間に、問診票とメモに目を通しながら、先ほど確認した病状をまとめて、カルテに記載する。林田さんの病歴と、看護師の田島さんが参考資料として事前準備し渡してくれた『プラス plus』の年表とが重なる。


 ある程度病歴がまとまったので、事前のアンケート、Voice Handicap Index:VHI(患者が自分自身の音声障害を心理社会的にどのようにとらえているかを機能、身体および感情面から評価する指標)、Voice-Related Quality of Life :V-RQOL(声の機能的側面と感情的側面に関する検査)の結果を慎重に確認する。VHIは19点で少し高い程度だったが、 V-RQOLがやけに低くて、 声の障害が日常生活に影響を与えているのがわかった。



VHIとV-ROOLの結果と解釈をカルテに記載していると、遠くからパタパタと音がし、そして診察室のドアが開いた。音響分析と音声機能検査の結果を持ってきてくれたのだが。野中さんがさっきより元気がないのが気になった。


「どうだった?」

「林田さんには特に問題は見られなかったですー。今日は喉の調子はいいそうです。」


 わたしはレポートを読み込んで、

「確かに、正常範囲だね、ありがとう。」

 私は笑顔で野中さんのお礼を伝えたが、野中さんはなぜかしゅーんとしていた。


「・・どうしたの野中さん、何かあった?」

「・・・はい、私、またやらかしてしまいました・・・。」


 野中さんが音響分析と音声機能検査の後に、落ち込んでいるのは今回に始まったことではない。

私は微笑みを浮かべて、やさしく野中さんに話しかけた。


「また、患者さん(クライアント)に熱く語りすぎてしまったのね・・・。野中さんは音響分析大好きだものね。」

「はあ・・・。わかってくれるの新川先生だけです。」


 気が付くと、診察室の中にいた田島さんは、野中さんの後ろで苦笑していた。慰めるように、

「野中さんが音響分析を語っていると、愛を感じますよ・・。」

 と田島さんが声をかけると野中さんは


「はい、素晴らしい検査ですよ!。」

 また語りだしそうになる野中さんを、田島さんが必死に止めていた。


「発声リハビリとかあったら、また呼んでくださいねー。」

 野中さんは、次の検査の用意がありますのでと言って、またパタパタと部屋をでていった。



 田島さんは

「ナースシューズを履いているのに、なぜあんなにぱたぱたしちゃうかなあ?。」

 と独り言をつぶやいていた。



短いので、まめにUPします。

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