MARINAさんとKANA
メンバーが楽屋に戻った後に、ステージ上でダンストレーナーのMARINAは須藤に話しかけてきた。
須藤は以前にもMARINAさんと組んで仕事をしたことがあり、顔見知りではあった。ただ今回は突然、こちらからリハーサルに強引に入ってきた形になっているので、MARINAがそれをどう思っているのか気になっていた。
「今日はダンストレーニングをメインで行こうと思っていたんですが、須藤先生に入ってもらって、めちゃくちゃ歌の勉強になりました。」
須藤はMARINAの話を社交辞令の可能性があると考え、慎重に対応して・・・まずは詫びることとした。
「急に割り込んだ形になってしまって、・・・申し訳ない。」
MARINAは自分のレッスン時間を削られて、本当はいら立っているかもしれない。そう須藤が思っていると察したのか、
「あ、本当に気にしないで下さい。須藤先生の気持ちが『プラス plus』に向いてくれてうれしかったんです。滅多にボイトレを受けない須藤先生が自ら来てくれるなんて、すごいですよ。」
KANAが望んだことだ、と言えずに須藤は申し訳なさそうに微笑んだ。
MARINAは気にせずに話し続けた。
「いいグループだと思うんです。でも最近、伸び悩んでいて。ダンスで引き上げるのに限界を感じていたので、歌のレベルが上げられたのは本当に良かったと思います。」
「MARINA先生、お久しぶりです。」
須藤の背後から、MARINAにバックコーラスの女性が声をかけてきた。MARINAは数回瞬きをして、コーラスの顔を見つめた。
「えっ、もしかして、KANA?。」
急にKANAが発言したことに、今日はばれないように潜り込むのではなかったの?と須藤はびっくりしたが、
「KANAにあえたの、いつ以来だろう、元気にしてた?・・・業界に戻ってきたの?」
MARINAは嬉しそうにKANAに抱き着いて、”本物?本物?”とはしゃいでいた。
「そうか、さっきの歌・・・KANAなら納得できる!!。」
須藤は、MARINAがKANAに向ける視線が、自分と同じものを感じてそれ以上何も言わずに静観することとした。
「今日は、ゆきのさんの体調を見るために須藤さんに頼み込んで、リハーサルに入らせてもらったんです。」
「ゆきのさんの体調?KANAが?・・・どういうこと?」
そこでKANAは自分が今、医師として働いていること、ゆきのさんの体調不良の診断治療をしていることを伝えると、MARINAは驚いて、えええと悲鳴のような声を上げた。その声にスタッフも何人かこちらを振り返るほどだった。
「そうかあ、KANAはお医者さんになれるくらい頭が良かったんだね・・・。そうだよね、英語も読み書きできてたし、すごいなあって思っていたの。」
MARINAさんが感心したように言った言葉に、須藤は
驚くのはそこか?!
と心の中で突っ込みを入れていた。KANAは、頭良くないですよ・・・と言いながら、しばらく音信が途絶えていたことをMARINAに詫びた。そして、ゆきのさんから状況を伝えていいと許可を得ていると話したうえで、現在の状況を説明した。もちろん、毒のことは話していない。
「もし良ければ『プラス plus』の普段の様子や印象を教えてください。」
なんとか更新できて良かったです。




