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KANAからの連絡(須藤視点)

ちょっと時系列戻ります。

 リハーサルの数日前。


 ボーカルトレーナーの須藤はその日は1日中オフだった。ちょっと遅めに起きて、ゆっくり買い物をした後、17時過ぎから、公園に隣接したオープンカフェでまったりと休日を味わっていた。19時が過ぎて、寒くなってきたのでそろそろ帰ろうと会計をしていると、携帯にメッセ―ジが入った。


 KANAだ。


 “電話していい?”

 とあったので、すぐに折り返しをかけた。


「もしもし、KANA、電話で話そうなんで、珍しいね、何かあったの?。」


 公園の街灯下の、人が座っていないベンチに歩きながら電話で話を続けた。


「須藤にお願いがあって、林田さんのことなんだけど・・・。」


 林田さんのことだったら、と話を聞き始めたが、その内容が、『プラス plus』のリハーサルに潜入する方法がないか、との話に驚いて、危うく公園内の段差で転びそうになった。


「症状の原因を調べるために、実際にグループ全体で歌っている様子を観察していの、・・・できれば私がいるってわからない状態で素の状態を見たいから、コーラスか何かに紛れられればいいんだけど、なんとかならない?」


 いやあ、なんとかならないって・・・言われても・・・。


「もしもし、須藤、聞いている?。」

「・・・聞こえています!。今、びっくりして、答えられなかっただけ。」


 私は天を仰いだ。空には満点の星。


「KANA、ずいぶんと無茶な、というか無謀な計画じゃない、それ・・・普通に、林田さんの主治医です、と言って、ステージ見学すればいいと思うけど。」


「部外者が入ると、ありのままの状態がみれないじゃない?。だから、須藤に頼んでいるのよ。」


 いやいや、私自身も業界が一緒とはいえ、部外者になりますが・・・。


「・・・いつも私が誘ってもライブに来ないし、歌わないっていうKANAが・・。」


 そもそも自分は『プラス plus』を直接教えているわけではない。事務所に知り合いはいるが、事務所とは契約関係を結んでいるわけでない。


 確かに、臨時でステージの歌バランスを見に行くことはあったので、手段がないわけではない。そういえば、林田さんのボイトレを引き受けたときに、事務所の上原専務から、一度はグループ全体の歌を見てもらえないか?と言われたことはあった。その時は、社交辞令で断っていたが・・・。


 そこに連絡すればなんとかステージに入り込めるかもしれない。

 方法がないわけではない。



「・・・分かった。林田さんのためでしょう?何とかする。・・・じゃあ、曲送るから、KANAも練習しておいてね。これから、スケジュール調節するから、時間かかるかもしれないよ」

新川先生は慎重ですが、KANA3001は大胆です。

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