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練習の成果(ゆきの視点)

「ダンスの後の、入りを気を付ければ、大丈夫だとおもうんだよね。ゆきのさんは。」


 昔ダンスユニットで活躍していたというバックコーラスさんは、切れのある激しいダンスを踊った後も、息を切らさずに歌っていた。

 私も真似てみるが、難しい。歌にダンスを入れると、どうしても息がきれてしまう。あと五分!と声がかかったが、まだつかめずにいた。


「入りに気を付ければいいんですね・・・?。」

「そうそう。」


 私はできているような、できていないような感じではあったが、バックコーラスさんは微笑んで励ましてくれた。なんとなく、コツがつかめるようになったところで、


「集合!。」


 30分の練習の後、須藤先生の合図で各自練習を終わらせて、ステージの中央に集まる。

 まほはきらきらと嬉しそうだったし、さなもよし!としていた。

 リリアが珍しく歌に集中していたのが、隣で練習していても伝わってきた。


「それじゃ、本番の時みたいにダンス入れながら歌ってもらっていい?ライブの時みたいにバックコーラスも入れるから。」


 各自の練習が終わるとすぐに須藤先生から指示がとんだ。スタッフが用意していたようで、すぐに新曲の演奏が始まった。


 今度は須藤先生による全体のボイストレーニングがあるのだろうと思っていたメンバーは、こんなにすぐに?と戸惑いながら、立ち位置を確認し、歌い始める。


 出だしこそ入りが若干ぶれたものの、個別練習のおかげなのか、いつもよりもすごくいい感じに歌えている。他のメンバーも同じように感じたのか、さなと一瞬目があって、うなづきあう。


 このあとは、リリアのソロパートだ。


 ”えっ、上手い・・・。”


 いつもソロパートが不安定な歌いだしになってしまうリリアであるが、安定した歌いだし、リリアのイメージそのものの、大人っぽい歌い方にリリア以外のメンバーの目線が交差する。


 それはメンバーだけではなく、リハに入っていたスタッフもそうだった。振り返ったり、立ち上がったり反応しているのが分かった。リリアの歌が、セクシーで魅力的だった。


 リリアもそれを感じたのか、ステージの姿が自身に満ち溢れていた。


 その後のサビに向かって一気に盛り上がる。全員そろってのサビの部分も、今までに歌っていた時とは比べられないくらい、上手く歌えているのが自分たちでも分かった。その余韻に浸る間もなく、ダンスのソロパートが続く。

 その時にバックコーラスの一人が英語のコーラスパートを歌い出した。ソウルフルでダイナミックな歌声。発音もネイティブを思わせた。リリアの時以上にスタッフがはっとステージに集中する。私も振り付けを無視しそちらに視線を送りたくなるのを必死に抑えた。


 その後の自分のダンスパートで5秒間くらい、舞台に背中を向けたパフォーマンスがあるので、その間バックコーラスの人をつい凝視してしまった。歌っていたのは、リリアのボイトレをしていた黒パーカーの人だ。発声練習ですごいと感じた人だった。


 今もパーカーをかぶっていて顔はわからなかったが、背も高くなく、外国人には見えなかった。さすが、須藤先生が連れてきたコーラスだと思った。その後また正面を向いて、本番の時のようにダンスに集中する。


 私自身は、さっき教わったダンスしながら息切れしない歌い方は、まだ練習が必要のようだった。


 最後までしっかり歌い切った後は、はあはあと息が上がっていた。でも、充実した何かがあった。個人的にも良かったと思うけれど、何よりグループとして、同じ気持ちになれたことは初めてだったかもしれないとゆきなは思った。

自分で体得することも重要ですが、正しいやり方を教わることも重要です。

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