歌は苦手(リリア視点)
1ヵ月書き続けられました。来週火曜日までは予定登録してあります。下書きがあっても、仕事もあり、その合間の作業でとても大変です。毎日UPしている作家さんは本当に大変なのだな、と思いました。読んでいただき、ありがとうございます。
リリアは歌にはあまり力を入れていない。モデルに力を入れているのはわかる、でもグループだから、歌もダンスも最低限の努力は欲しい、決して歌が下手なわけではないのだ。
ただ・・・メンバーにはリリアがアイドル活動を快く思っておらず、練習していない、手を抜いているのが分かってしまう。
それがメンバーの潜在的な不満だった。
彼女は、楽屋でもアイドルグループをこれからのステップだと思っていると言い、実際に態度に表していた。『プラス Plus』は経験者を集めているので、メンバーはある程度の割り切りを持って活動しているが、それでも今は活動に集中して欲しい、と思うのは当然だろう。
リリアは牧野マネージャーにはいい返事をするので、マネージャーから好かれていた。そのためメンバーからマネージャーへの要求はリリアから上げると簡単に通るため、そこでメンバーは気持ちのバランスをとっている。
早くおわらないかな、とリリアは見えないようにため息をついた。
ばからしい。
どうして、歌の練習とかしないといけないのだろう。
まあダンスはやれば、上手くなるのはわかるけど、歌は練習したからうまく歌えるようになるとは思えない。
練習が面倒だから、少し遅めに入ったのにあまり意味がなかったことに正直がっかりしていた。
「リリアさん、私が担当です、よろしくね。」
声がかかったのでそちらを見ると、黒いパーカーを着た、小柄な女性が微笑んでいる。さっきバックコーラスで歌っていた人だった。歌に興味がない自分でも、この人の歌声には引き付けられた。
「はい。・・・よろしくお願いします。」
「じゃあ、リリアさんのパートから練習しましょうか。」
新曲のソロパートはささやくような歌いだしでキーが高く、切なげな歌い方になっている。レコーディングでは上手く歌えたところを編集してつないでいるので問題ないが、実際のライブでは音が不安定になりやすい。
まともに歌えていないのは自分にとってもすごく・・・すごくみじめな気分になるし、ライブの後のSNSでもアンチなコメントが上がってくるので、余計に歌の仕事をやりたくなくなる。
歌っている私を、彼女はじっと見ていて、何か考えているようだった。
「やっぱり、リリアさんの歌は・・・。」
上手くない、と言いたいのだろうか。もうそんなこと、何回も思っているし、言われてる。教えようがないとでも言われるのだろう。
しかし彼女が言った言葉は私の想像とは異なっていた。
「この歌、キーが、リリアさんの声にあっていないよね、歌いにくいよね。せっかくの歌声の良さが生かされないよね。」
リリアさん、孤高の感じで好きです。




