どうしたらいい?
今日はもともと、林田さんの歌を録音するために、予約患者数は少なくしておいた。林田さんが呼吸機能検査が終わって戻ってくるまでに、他の予約の患者さんを診察した。最後の患者さんの処方が入力し終わると、検査が終わり戻ってきたと寺田さんが教えてくれた。
電子カルテにに呼吸機能検査のデータが入力されたのを確認し、林田さんを呼び入れてもらう。
林田さんは部屋に入ると、すぐに診察室の椅子に座った。
「呼吸機能検査は上手くできましたか?」
「思ったより、呼吸機能検査は大変でした、でも、上手くできたと思います。」
先ほど心の内を話せたためか、林田さんは振り切れたようなすっきした表情だった。
「検査結果をみると、肺活量は正常で問題ないですね。肺活量、%VCは年齢平均の103%と正常です。一秒量、これは気管支喘息などがあると低下するのですが、正常範囲です。残気量も正常範囲内で、気管支喘息などの気道の病気も考えにくいですね。」
林田さんは結果を聞いて頷いた。
その後、声のトーンをおとして
「さっきのこと・・・先生、私はどうしたらいいでしょうか。」
私はカルテを打つ手をとめて、彼女の正面をむいた。
「私に考えがあります、まかせて下さいね。」
私が穏やかな笑顔を向けると、林田さんはほっとしたようだった。
「・・・ただ、メンバーやマネージャーやスタッフに、症状が出たときの状況を確認することになると思います。・・・もちろん、ステージ中の状況です。」
「先生が、メンバーに直接聴くんですか?。」
「ボーカルトレーナーの須藤先生にご協力をお願いしようと思っています。よろしいですか?」
私の微笑みに、林田さんは困ったような、不思議そうな表情をしていたが、最後は分かりました、と同意してくれた。
そして私は念のためといいながら、
「林田さんは、花粉症があるのではないですか?。」
「え・・・あ。はい、2月になると目がかゆくなって、鼻水がでます・・・。やっぱり耳鼻科の先生にはわかりますか?。」
彼女は鼻を抑えながら、まだ症状ないけど・・・とびっくりしたように話す。
その時驚いていたのは林田さんだけではなかった。
「問診票には、記載いただけましたか?。」
隣にいた寺田さんがそう言いながら電子カルテで問診票を確認する。取り込まれた問診票には花粉症の既往はかかれていない。
「花粉症って、病気なんですか?。」
林田さんがびっくりしたように聞いたことに、今度は寺田さんが驚き呆れるように、
「花粉症・・・つまりアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎はりっぱな病気ですよ。既往症は何かありますかと聞かれたら書いてくださいね。」
言葉遣いこそ丁寧ではあったが、診察室がぴりりとしたのを感じた。美人な看護師さんが怒ると怖いのはなぜだろう?。
はあいと林田さんは小さくお返事した。
それから私は、次回受診の前に貧血が改善したか調べるため採血検査をすることと、前回採血時に保存しておいた血液で花粉症の検査を追加することを説明して、今日の診察は終了した。
読んでいただきありがとうございました。




