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くわしい病歴と診察

サブタイトルがうまくつけられません

 林田さんの話は言いよどんだり、話が戻ったりはあったが、なんども自分の中で反芻していたのか、時系列も整っていて分かりやすかった。



 初めて異変を感じたのは約1年前、イベントでアンコールの曲を歌出だした時に、喉の違和感、声が出にくいことに気が付いた。

 野外イベントで、真冬に薄い透け感のある衣装で数分間、舞台袖に待機した後のアンコールだったため、ほかのメンバーもそもそも寒すぎて歌えず動けず、の状態だったので声が出なくなったことは誰にも気が付かれなかった。アンコールの前までは普通に歌えていたため、自分の中では寒さによる喉の不調と考えて、メンバーやスタッフには体調不良を伝えなかった。


 2回目はその1か月後、大型ショッピングモールのイベント中、トークを挟んでから最後の1曲を歌う前に喉がつまるような感じになって、声が出しにくくなった。 

 声が出ないわけではない。ただ、いつものような伸びのある声は出ない。最後の1曲は、マイクの調子が悪かったことにして、音声が入らないことをアピールし、イベントは終了した。その日は会場の規模に不釣り合いなくらいたくさんの観客が集まって、会場もライトの影響でかなり暑くなっていた。そこにダンスミュージックが続いて、それで気分が悪くなったために歌えなくなったと思ったという。


 3回目は6月のイベント。野外ステージでかなり蒸し暑い会場だった。トークが中心のイベントで歌は最後に2曲歌うのみだった。歌に向けて衣装を着替えてステージに出た後に、声が出にくくなってきた。喉が詰まるような感じがありダンスとともに息苦しい感じも出てきたが、何とか歌い切った。その後の握手会は体調不良で欠席したという。


 その後も何度かイベントやコンサートでは声が出なくなったが、1曲だけ歌う場合など、短いときには症状がでないため、ラジオやネット配信は問題なくこなせている。

 声が出なくなることが頻発したため、都内の病院をいくつか回ったが、どこでも異常はないといわれたという。秋以降は長いイベント出演が少なめだったため、症状は出ていなかったが、先週水曜日スタジオ練習中、2時間新曲の振り付けをレッスンして15分休憩の後に、アンコールの曲を練習していたところ、久しぶりに声が出なくなる症状がでた。練習中に症状が出たのは初めてだった。



 20分近くかけて、病歴を確認し、メモをとっていく。ひととおり病歴の聴取が終わった後、もう一回追加することがあるか確認したが、


「こんなにしっかり話を聞いてもらったの初めてです。ありがとうございます。」

やや、涙目になっていた。これ以上聞き出せることは今のところはないようだった。



「では、体を診察しますね。」


マネージャーに退席してもらって、身体診察を行う。

「結膜・・・貧血無し、口腔内・・・発赤腫脹なし。」

重度の貧血はなさそうだし、齲歯(虫歯)もない・・・。


ペンライトで可視範囲の喉を観察する。

「扁桃腺は正常。発赤なし」

若年者にありがちな扁桃腺肥大もない。


それから頸部、耳下腺から頸部リンパ節、甲状腺まで流れるように触診していく。林田さんは少し恥ずかしそうに、くすぐったそうにしていた。


「頸部リンパ節、触知せず。甲状腺も・・・触知せず。」

 胸部聴診では、肺雑音や心雑音なく、腹部も柔らかく、圧痛は認めず、足のむくみもなかった。

 皮疹や脱毛も認めなかった・


「身体診察では異常はないと思います。」

読んでいただき、ありがとうございます。

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