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誰かは分からない

ゆきのさんの明るさを取り戻したいです。

「なんか、喉を通らなくなってきて、違和感がでてきて・・・。半分くらい食べていたので、そこで食べるのをやめました。」


 そこまで一気に説明すると、林田さんはふうとため息をついた。


「ステージで感じる、違和感と似ていたんですね。」


 私の言葉に、林田さんはうなづく。


「今までも・・・声が出なくなる前は休憩時間後で、飲み物を飲んでから声が出なくなることに気が付いたんです。」


「ステージ中の休憩時に、水分摂取した後と言うことですね。」


「先生が前回、どんな時に症状が出たのか、詳しく聞いてくれたから、私も何かきっかけがあったのかなって考えて、そういえば毎回声が出なくなるのは、休憩の後ステージに出た時だったり、ダンスをした時だと気が付いたんです。」


「そこに何か・・・毒が入っていたと考えているのですね。」


 林田さんはゆっくり頷いた。それを私がうけて、次の質問をするまでには・・・しばらく沈黙が必要だった。


「休憩中に飲むものはなんですか?」

「ペットボトルに入った水やお茶です。名前書いて休憩室に置いておきます。休憩時間が長いときは新しいのが配られることもありますし、暖かい飲み物や差し入れのジュースなどもあります。」


「飲んで、味がおかしかったことはありましたか?。」

 林田さんは首を傾げた後に左右に振った。



「誰が・・・毒だとしたら誰が入れたと思いますか?。」


 私の質問に、林田さんの表情が曇る。


「分かりません。メンバーとも仲は悪くないし。マネージャーの牧野さんもきつい人だけど、本当はやさしいです。そもそも、私の飲み物や食べ物に何か入れられたような、異常を感じたことはないんですが・・・。」


 やはりきつい人だったのか・・と思いながらも、泣きそうになる彼女に慌てて声をかける。


「他に、体調を崩したメンバーはいなかったの?」

「はい・・・。食事会で、喉がおかしくなったのは私だけでした。」


「・・・そうですか。」


 しばらくの沈黙の後、林田さんはため息をついた。

「私の思い過ごしだと思っています・・・。でも原因がわからないから、なにか入れられたのかなって、疑心暗鬼になって・・・。でも・・・。」


 そこでまた、林田さんは押し黙った。私は十分に間をおいて、そしてゆっくりと話しかけた。


「仲間を疑いたくないんですよね。」

「はい・・・。」


 その時、ぱたぱたと音がしてドアが3回ノックされた。


「呼吸機能検査の準備ができましたのでお迎えに来ましたぁ。」


 野中さんが来たので、検査をお願いする。


 林田さんは振り返りながら


「あのう・・・。」


「医師は守秘義務がありますから、同意なく第三者に話をしません。」


 その言葉に彼女は無言でうなずいた。野中さんに案内してもらい、吸機能検査室にむかってもらう。

読んでいただきありがとうございます。

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