再診
読んでいただき、ありがとうございます。
水曜日の再診日には林田さんと事務所の人が一緒に来院した。
受付スタッフがマネージャーは?と確認すると、他のメンバーの撮影で今日はこれないので、事務所の経理のスタッフが車で送ってきたということだった。
「新川先生、いいですか?マネージャーは来ていないそうです。」
看護師の田島さんが申し訳なさそうに確認してくる。
「一人で来させる事務所よりましだと思うよ。マネージャーじゃなくてもちゃんと大人が送迎しているのだから、責任をはたしてるよ。」
田島さんはそうですね、といい、診察前の問診とバイタルをカルテに急いで入力してくれた。
カルテを開いて、今日伝える内容をさっと確認してから、林田さんを診察室へ呼び込む。
すぐ近くで待っていたのか、林田さんが緊張した面持ちで診察室の中に入ってくるまでに、3秒もかからなかった。事務所のスタッフは診察室の外で待っているようだった。
「こんにちは。林田さん。」
林田さんは前回入ってきたときと同じように緊張した空気があった。林田さんが椅子に座るのを待ってから、
「この1週間は何か変わったことはありましたか?。」
私の質問に林田さんは少しいいよどむように答えた。
「この1週間はイベントもコンサートもなかったので・・・。」
何か濁すようなそんな言い方に少し違和感を覚え、再度確認したが何もなかったと返答があった。それ以上は問い詰めず、ゆっくりと前回受診時の採血結果について説明をした。
「軽い貧血があります。このぐらいだと、自分では自覚できない程度だけど、疲れやすかったり、ダンスの後、息ぎれすることがあるかもしれません。体の中で保存されている鉄が少ないので、鉄剤を処方しますね。後は、肝臓、腎臓は異常はありませんでした。」
「貧血の原因て、なんですか?」
「若い女性は生理の影響で、定期的に血液が失われます。鉄分があれば酸素を運ぶ赤血球を作れますが、血液中の鉄が足りなくなると、それにより赤血球が作られなくなって貧血になりやすくなります。鉄欠乏性貧血と言います。貧血になると・・・。」
貧血の原因をわかりやすく伝えるとともに、生理が定期的にきているかを改めて確認したが、問題ないという。ダイエットのやりすぎなどはないようだ。
その後ひととおり、咽頭部と全身の診察をして異常がないことを確認した。そしてここからが今日の診察の本題だ。私は林田さんの目を見ながら伝える。
「林田さん、今日は実際に歌っているところを見せて下さい。」
「えっ?。ここで歌うんですか?。」
その林田さんの質問には、私ではなく田島さんが答えてくれた。
「クリニック内にスタジオがありますから、案内しますね。」
林田『ゆきの』さんはもともと、『ゆりの』にする予定だったので、誤字があるかもしれません。ご報告いただけたら幸いです。




