表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積木君は詰んでいる  作者: とある農村の村人
12章 女友達、自宅に全員集合
72/147

☆72話 ハーフのブロンド美女幼馴染、優勝と罰ゲーム

※2022/6/26文末に北坂向日葵(制服姿)のイラストを追加しました!

※イラストが苦手な方はスルーで!

 その場にいる誰もが、ひーちゃんが家に入って来たのに気付かなかった。


 自身がただ者でないのを、皆に一瞬で理解させたひーちゃんは、静かに立ち上がった。

 白のセットアップと黒キャミソールの、クール系コーデがナイスなボディーにとてもマッチしている。


 で、すっかり注目の的になりながらも、その立ち姿は堂々としたものだった。


「ちわ。ワタシ、洋チンの許嫁の北坂向日葵、15歳だよん」


 自己紹介に全くもって相応しくない、爆弾発言を軽々しく投下。

 言ってやったりなドヤを決めてるけど、何故今言ってしまったんだろうか。


 言わずとも注目の的は僕に移り、それぞれが思いの丈を口々にした。


「アン……洋くーん……私、許嫁の件、初めて聞いたのだけど~?」

「お前マジなのか? 夢なら早く覚めた方がいいぞ」

「洋……幸せになるんだぞ……」

「良かったじゃありませんか。おめでとうございます」


 幼馴染事情を把握している愛実さん以外は、許嫁というパワーワードに夢中みたいだ。


 ただ、どう返せばいいか戸惑ってる僕に対し、ひーちゃんはマイペースに話し掛けてきた。


「なぁなぁ洋チン。これからゲームすんでしょ? ワタシも混ぜてけろ」

「け、けろ? あ、うん。いいけど……チーム戦はどうしようかな」

「ノープロブレムさ。ワタシは1人チームでオッケオッケ―。んじゃ、ワタシはキョッパ大統領~」


 当たり前のように、僕の懐に座って体を預けてきたひーちゃん。

 妖艶なフローラルな香りと、女の子の柔らかさが伝わり、思わずドキドキしてしまう。


「ほら、皆も早くコントローラー持ちなされ。せっかく洋チンが考えたレクリエーションを楽しまないとだよん」

「そ、そうだな! 皆、向日葵ちゃんの言う通り、今は楽しもう!」


 愛実さんの言葉に無言で頷く皆さんは、静かにコントローラーを持った。

 何とも言えない空気の中、パーティーゲームを再開。

 チーム戦ってのもあって、ミニゲームはタッグチームコレクションになった。


「そだそだ。こんな大人数だし罰ゲーム有りにすんぞ。とりま、最終結果がケツなチームって事でいいか?」


 どのくらいの罰ゲームかは不明だけれど、ただただゲームをするだけじゃ、パッとしないから丁度いいのかも。


「ナイスだよん、ロリ巨乳ちゃん」

「ロリ巨乳言うな。来亥六華だ。そんで呼び捨ての六華でいい」

「じゃあ間を取って、ロ六華だねん」

「……反論したところで敵わなそうだから、それでいい」


 なんてことだ、あの来亥さんが言葉負けしてしまった。

 僅か数回の会話だけで、このような結果になるとは、僕でさえ想像つかなかった。


 やはりひーちゃんを含んだ、僕の幼馴染達は普通ではない。

 異様な空気感が漂う中、愛実さんがビシッと綺麗な姿勢で、挙手をしていた。


「はい! 罰ゲームもあるなら優勝チームも開催者から何かご褒美があるといいと思います!」

「え。ちょ、ちょっと愛実さん?」


 確かに理屈は分からなくもないけど、開催者からのご褒美って事は僕からになる。

 ご褒美と言っても、一体何をあげたりすればいいか、全く見当もつかない。


 だからここは、他の皆さんの意見も聞き入れて、どうするかを決めた方が良さそうだ。


「洋からのご褒美か……ふふ、これはやりがいがありそうだな」

「洋くんと一緒のチームの私も、勿論ご褒美貰えるんだよね? わぁー楽しみ♪」

「まぁ、どうせ積木様ですので、いいのではないのでしょか」

「だな。って事で積木、金目のもの用意しとけ」

「流石にそれは嫌です」


 意見を取り入れるどころか、勝手に賛同されていた。

 ビリになれば罰ゲーム、優勝すれば僕からご褒美。

 レクリエーションのスパイスとしては、ある意味最適なのかもしれない。


♦♦♦♦♦


 まず始めのミニゲームは2人で協力し、山積みの材料から建造物を一から建て、制限時間内に多く建てたチームが勝利するゲームだ。

 持ちキャラの頭上にランダムに出る、四種のボタンを押すだけのシンプル操作。

 きっと峰子さん達もすぐに把握できる易しいミニゲームだ。


 で、ポイントになるのは素早い正確なボタン入力。

 押すボタンをミスれば軽くロスになり、挽回するのが中々に難しくなる。


 ただ、時折投げ込まれる栄養ドリンクを、瞬時にボタン入力でキャッチできれば、ボーナスとして今建てている途中の建造物を、一気に完成させられる。


 これらを踏まえた上で、一度デモプレイする事に。

 峰子さん達には操作に慣れて貰わないとだ。


「じゃあ始めますよ」

「あぁ頼む」


 デモプレイを開始し、多少ぎこちないも徐々に操作感に慣れ始めた、峰子さん達。

 呑み込みが早いのもあってか、デモプレイを終える事には、すっかり慣れ切っていた。


「なるほど……こんな感じなんだな。把握した」

「流石姉様! 凄しゅぎて……脳みそがとろけりゅ~」


 1人でびくびくと震える蘭華さんは、とりあえず放って置いて、これで本番は大丈夫そうだ。


 一方、CPUとチームを組んでいるひーちゃんは、デモプレイの結果がいまいちだった。

 本番で本気を出すのだろかと、若干気に掛けながら本番スタート。


「わぁー♪ 洋くんボタン押すの速―い♪」

「渚ちゃんも正確で上手だよ」

「ふふ♪ ありがと♪」


 従姉キャラ設定通りなのか、素で楽しんでいるのか。

 僕にはあまり区別はつかないけど、渚さんがとにかく楽しそうで良かった。


 で、他の皆もわいわいと会話しながら、楽しんでいるようだ。


「み、峰子師匠! ほんとにゲームと無縁だったのか?!」

「あぁ。やれたとしてもトランプとかのアナログゲームだけだ」

「ま、マジか……こっちが追いつくので必死なんだけど! ひぃー!」

「ふふ、頑張れ愛実」


 あの僅かな時間で立場が逆転してるけど、2人はプレイに夢中みたい。

 この調子なら他のミニゲームも、存分に楽しんでくれそうだ。


「おいおい。私の速度についてくるなんて、やるじゃねぇか蘭華」

「まだ手慣らし程度ですが、次のゲームにはマシになってる筈ですわ、六華様」

「ふっ、お前と峰子には素質がある。今度私の家に遊びに来て、ゲーム合宿すんぞ」


 あの毒舌性格の来亥さんが、自らお泊りに誘うなんて、意外過ぎて驚いた。

 ある意味2人の波長が合うのかと、これからも仲良くして欲しいなと思う。


「合宿ですか……はっ! つまり姉様と必然的に一緒の寝床でランデブーってことですね!」

「お、おぅ」

「是非とも参加させて頂きます! ん~! 今からとてもワクワクムラムラです!」


 本当に蘭華さんは峰子さんが関連すると、我を見失って自分の世界に行ってしまう。

 とりあえず操作自体は怠っていない様子だし、そのまま放って置く方がいいかな。


 そして最後に、ひーちゃんはというと、鼻歌を奏でながらコントローラを操作していた。


「ふにゃにゃにゃ~ふーにゃにゃ~♪」


 さっきのデモプレイは、いまいちな結果だったけど今はどうかな。


「……ん?」


 完成した建造物の数字を見て、一瞬見間違いかなと目を擦って再確認。

 けれど、異様な数字と無駄のないプレイは変わらなかった。


 あの来亥さんチームをかなりの数字で引き離し、今まで見たことのない速さで動くキャラクターに、僕は自然と嫌な予感がした。


 結果的にはひーちゃんが圧勝し、来亥さんも動揺していた。


「な、何だコイツ……化け物過ぎる……」

「ロ六華ちゃん、そいつは誉め言葉だぜ。へへ」


♦♦♦♦♦


 その後も全てのミニゲームで大差をつけ、優勝を飾ったひーちゃん。


 勿論、一勝も出来なかった僕らはビリ。

 つまり全員罰ゲームということになった。


「んじゃま、罰ゲームとして、洋チン以外には眠って貰うよん」


 そう言った直後、ひーちゃんが視界から消え、愛実さん達が次々に脱力していた。

 眠っているというより、気を失っている方が正しい。


 たった数秒で僕以外を気を失わせたひーちゃんに、込み上げる恐怖を覚え、体が竦んだ。

 未だに姿や気配がなく、自然と息が乱れる中、背後からギュッと抱き着かれた。


「ひゃ?!」

「これで10分間は2人きりだねん。スンスン……あー……体が熱くなる雄の香り……スンスンスン」

「ちょ、ちょっとひーちゃん!? か、嗅ぎ過ぎじゃない?」

「これがご褒美だから、洋チンは無抵抗でよろ」


 更に密着をして、匂いをずっと嗅いでいるひーちゃん。

 僕はそれよりも、とても大きな2つの柔らかなものが、背中に広がっていることに、意識が向いてそれどころじゃなかった。


 だから逸早く助けて貰えるよう、必死に皆さんに声を掛けて起こし続けた。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ