あか
「ろべると さんくちゅありあ」
夜の帳を、長くあしらったズボンをはいて
誰も居ない町を、僕は一人歩いていた
周りに人は居ないが、何を食べているのかまるまる太った縞模様の猫が、道の端端を、横切っている
僕が進んでいるのは、この町でもっとも広く
そしてさびれた大通りデラマルチ商店街であるが
アーケードもなくまばらに家々が離れて並び
そこに、魚屋や先週つぶれたアイス屋 肉屋などが並んでいる
「それでは行きますか」
僕は、近づくにつれて怖じ気付いていた心を
この町では滅多に、見れない地下にある店
ばばロバの店の上で唐突につぶやいて下に降りる
絵にも言えない、汚れた壁床壁天井が、ぐるりと階段を囲み僕はそこに、不気味なほど味気ない足音を響かせて降りていた
この町は昔 炭坑の町として賑わっていたが
有限の物質は何処でも尽きるらしく
この町は、僕の父親が産まれた頃には、もう大抵の人は、別の町に引っ越した
残った人間は、借金を作って家を建てた馬鹿と
あとはただの馬鹿だと隣のボケたジジイが、良く言っている
「僕は、大丈夫」
手の中に握られた$100札が、十枚
お年玉やらバイトやら
子供の頃から1セントも使わずに残して置いた金だ
この町は、何から何までクレイジーだ
雌鳥は明くる日には雄鳥に成っているくらいは普通であり先生さえ夏休みがあけているとゴリマッチョが日焼けしたダイナマイトになっていたりした
しかし、驚くべきは、そんな事じゃない
この町の人間は、どうしてか、この町を出たがらない
別に、慣れ親しんだ物を捨てようとしないことも別に
関係がない僕はこの町を出るのだ
しかし従兄弟叔父叔母親戚という親戚教師から市長警官 犬猫は関係ないけど この町の人間は それを拒んだ、しかし、中には、この町を、出ようとした馬鹿も居た友達のクレイに親戚の花嫁の子供チャーリ
皆悲劇的な事故に遭い
町に一軒ある精神かという名の豚小屋ハミル病院である
あの場所は深夜行くと、とても饒舌出来ないような
不幸な音を聞くことになる
じゃあ、食い物はどうなっているかと言えば、単純である、この町には、巨大なダムがあり
その整備をこの町は請け負っているおかげで
そのおこぼれで生きることになっている
もちろん金は、
外からは来ない、こんな閉鎖されたような場所でも
電話線からインターネットに繋がることが出来るから
金は電子からこの町の銀行が変金している
後は、住人の半分が作っている豚や鳥
野菜などが、この町を巡っていると言うわけだ
しかし問題は、それ以外の物資になる
毎月一回空から落とされる
その名目は救助物資となる
この町に圧倒的に足りないもの
それは、危機意識と安全性だ
病気になれば死に事件が起きても事故になる
死人が出れば肥料になり夢を見れば病院に入れられる
それでもこの町に微妙にルールがあるとすれば金だ
物々交換もあるが、半分くらいは金で回る
それはもう遊び程度
そう、この町で、金はトランプの札程度には面白い物と認識されているのだ
全く馬鹿げている
それでも、格好を付けた大人達は、札をヒラ付かせては、時には、燃やし 又あるときには鼻紙にする
その程度の価値しかない
しかしそれは、一番小さなお金だ
それが、たかが、ゼロが一つ増えただけで
全く扱いが変わるのだから馬鹿げている
「それで坊や、この町を出る勝負をこのおもちゃでやろうというのかい」
地下の扉を開くと、煙と酒と後何か分からない火薬のようなにおいが充満する部屋にはいるとカウンターに
ひじを突いた太った婦人がこちらに言う
僕はと言えば、「ああ」と小さく呟く
僕の手に握られた$1000紙幣
それを、部屋の真ん中で緑の布の張られた
ルーレット台が、あり
その周りに、乱雑に、せまっくるしい部屋にテーブルや椅子が置かれている
「僕は、あなたに、提案する
この町を出る代償として、僕は今夜、この紙で
あなた方の了承を得て出る事にする
しかし、この町で、物に価値はない
家は、自分で切り出せばいい
食い物は、銃と駕篭があればいい
その他の嗜好品を選ぶほどまともな奴は此処には居ない
しかし、ルールを作り
その紙で遊ぶなら、あなた方は、乗る
どうでしょうか $一万でこの町を出る権利を買えませんでしょうか キリンキー マッキンガーデン」
女が、テーブルを示す
そこには、三人の男
一人は帽子をかぶった初老の髭面
町長のナガサワ サムラだ
ほかの二人はデブと細いやせた背高のっぽ
肉屋のデイブと司書のガンだ
「やあキンリー」
町長は、無表情を笑わせたような不気味な顔で
僕をみる