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第5話 冒険者ランクはZ?

お待たせしました、本編の続きです。

幕間が3話投稿されていますので、よろしければそちらもお読みください。


いよいよギルドに着いたのですが、思わぬことで副ギルド長に呼び出されます。


ヒノが凄く強くなるのは10話過ぎくらいにからですのでお楽しみに。


追記

11月21日サブタイトルに話数以外の言葉も付けました。

冒険者ギルドは思ったより大きく、大勢の人が居た。

大勢いるだけあって、アキラとシュリナのような、おじさんと少女のような組み合わせも結構いる。

親子か、恋人同士か、主従か、そのあたりは人それぞれの様だが。


二人はしばらく並んだ後、順番が回ってくる。


「冒険者登録をしたいのだが」

「はい、私エリスがお伺いいたします。パーティはお二人ですか?」


20歳過ぎくらいに見える受付嬢がにこやかに応対してくれる。

なかなかの美人であるため、ここではきっと人気者だろう。


「そうだ」

「それでは、ここに名前を記入してください」

「わかった」

前の世界では名前だけではなく職業や年齢なども書いたものだが、ここの世界ではそれは必要ない。


魔道具であるペンで名前を書くことで、自動的に冒険者証が作成されるのが、この世界での一般的な登録方法らしい。


ちなみに名前を書けない冒険者は、このギルドで無料で簡単な読み書きを学ぶことができるようになっている。


さっそくカードが出来上がる。

「はい、ランクは…あ」

受付のエリスが固まる。

「冒険者証の説明はこちらの冊子をごらんください。わからないことがあれば、こちらでお答えできますので」


そう言って渡された小冊子には、封筒が挟んであった。


アキラとシュリナは空いている席に移動し、封筒の中身を確かめる。


『このお手紙を受け取られた方にはお話ししておきたいことがございますので、窓口で「相談があるから副ギルド長を呼んでほしい」と言ってください』


「何じゃろうか??」

「わからないが、受付の様子から悪意とかは感じなかったから問題ないだろう」


そう言ってアキラは再び受付に行く。


「エリスさん、相談したい案件があるので、副ギルド長に合わせてほしい」

「はい、そこの七番の個室でお待ちください」


アキラたちは七と書かれた個室に移動し、待つ。



「お待たせいたしました」


入ってきたのは二十歳過ぎくらい。

サイドテールに髪をまとめたメガネの知的美人だった。

しかも胸が大きい。


「う」


思わずアキラのほうを向くシュリナ。

しかし、アキラの眼が胸はもちろん、顔にすら興味を持っていないかのような表情だったので安心する。



「わたくしは、ここで副ギルド長を務めております、シトリー・エウシュリアと申します」

「俺はアキラ。こっちはシュリナだ」

「よろしくなのじゃ」


そしてシトリーは目の前の席に着く。

それだけで、ふわっと良い香りが漂った。


「(な、なんだか女としてすごく負けておる気がするのじゃ)」


「初めてこちらに登録していただいたようですが、冒険者証にとんでもない表示が出たので、私が参りました」

「とんでもない表示?」


そういえば、まだ冒険者証を見ていない。


「冒険者ランクは通常Fから始まり、Aで一流。S以上はかなり数が少なく、SSSが最高で、大陸に一人いるかいないかでしょう。初めての登録でA以上の場合、どのような出自であるか聞き取りを行い、経験不足で強い方の場合は、依頼内容を制限したりすることがあります」


「まさか、わらわの真の実力が!」

シュリナがさっそく冒険者証を見ると

「…Fなのじゃ」


「俺のはZZZZと書いてあるな」

「眠そうなのじゃ…ってZじゃと?」

「Zは世界を救った英雄のことです」

「何じゃと?!」

「ごくたまに見えます。そのほとんどが異世界からみえられた方です。しかし、ZZまでは聞いたことがありますが、ZZZZなどとは、初めて見ます」

「どう違うのじゃ?」

「Zの数は、世界を救った回数です」

「!」


シュリナは驚いてアキラのほうを見るが、アキラは別にどうということはなさそうにしている。


「まあ、俺の居た世界はひどかったからな。3回か4回くらい世界を救ったことになっているのかもしれん」

「簡単に言ってくれるのじゃな」


「それでですね、とりあえず、冒険者証の表記は偽装がかけられますので、この町ではAにしておくのをお勧めします。それならある程度人数もいますし、目立ちません」

「わらわはどうすればAになれるのじゃ?」

「能力の向上と依頼の達成、ギルドへの貢献度によってランクは変わります。しかし、あなたからは威圧感のような強いオーラを感じるのに、どうしてFなのでしょうか?」

「まあ、いろいろあったのじゃ」

「なるほど、なんらかの理由で弱体化しているのですね。それで、本来は大人なのに、そこまで縮んでしまったと」

「弱くはなったが、断じて縮んではおらぬのじゃ!」


ぎゅっと無い胸を押さえてシュリナは怒る。


「これは失礼いたしました。それでは、これからしばらくは、お二人の場合はFより2つ上のDランクの依頼を受けられます。また、自己責任になりますが、シュリナさんがアキラさんの単独依頼についていくことは可能です」

「大丈夫だ。シュリナは俺が守る」

「まあ、なんてうらやましい。ふふっ」

シトリーはくすっと笑うと、一礼してその部屋を去って行った。



ギルドを出て。


「おぬし、すごい男だったのじゃな」

「まあ、目の前に来た問題を片づけていた結果だけどな」

「それで世界を四回も救えるのじゃからのう」

「シュリナもZを目指すか?」

「無理じゃ無理じゃ」


『ぼく、めざすー』


二人の頭の中にヒノの言葉が聞こえる。


「ヒノが目指すと言うのなら、わらわも目指すのじゃ!」

「よし、とりあえず、ステータスアップをするか」

「どうするのじゃ?」

「体の基礎づくりからだな」

「筋トレとかじゃの?」

「それもあるが、まず柔軟と体力作りだ」

「お手柔らかに頼むのじゃ」

「それから武器が無くても戦えるように武術を教える」

「そういえば、持てないのじゃった」



「防具は身に付けられるが、それで攻撃をしようとすると外れるから気を付けろよ」

「籠手は?」

「それも受けるのは許されるが殴ろうとするとはずれる」

「面倒なのじゃ!」

「誰のせいかな?」

「すまんのじゃ」



「だから素手で戦う手段を学ぶ。基本は攻撃を避けるか受け流す。慣れれば相手をコントロールして自滅させる」

「そんなことできるかの?」

「大丈夫だ。俺は武術の師範もしていたからな。あと、最終的には、ヒノで戦えるようにしたい」

「ヒノを『ひのきのぼう』に戻して戦うのじゃと?!反対なのじゃ!きっと壊れてしまうのじゃ!」

「ヒノは武器なんだぞ。使える場面で使わないでどうする?無理はさせないし、ヒノが嫌がるならやめておくが」


『ぼく、やるよー』


「おお、ヒノ。無理はいかんのじゃ」

「相手の攻撃をかわして受け流すことをマスターできれば、ヒノを傷つけずに相手を叩き伏せることもできる」

「それはすごいのじゃ!」

『すごいのじゃー!』

ヒノがシュリナの口調を真似るのが親子っぽく感じられて、アキラには好ましかった。


「それにヒノが成長すれば、武器としても強くなるからな」

「おお」

「あともう一つは、ヒノが実体になった時に鍛えて、ヒノ自身が別の武器を持てるようになる方法もある」

「ヒノは武器じゃろう?武器を持つことなんてできるのかの?」

「あの時、小さいながらもハンマーを使えたくらいじゃないか」

「そういえばそうじゃの」

『がんばるー』


「さっきから、ヒノの声はしておるのじゃが、姿が見えないとさびしいのう」

「じゃあ、宿屋を探すか。『ひのでや』ってところがいい宿らしいぞ」

「ヒノの名前と似ていて親しみが持てるのじゃ!さっそく行くのじゃ!」




「それで、宿に来たのは良いのじゃが…ベッドがひとつしかないのじゃがぁ」

「夫婦だって言ってしまったからな。でも心配するな。俺は床でも寝られる」

「こんな大きなベッド、一人ではさびし…わらわはヒノと寝たいから、寝ている時に手を繋いでほしいのじゃ」

「わかったよ」

「じゃあ、さっそく繋いで、ヒノを呼ぶのじゃ」


アキラとシュリナが手をつなぐと、ヒノが現れた。


『ぱあぱ、まあま、ヒノはがんばるよ』


「うん、いい子じゃ、いい子じゃ」

「ヒノのレベルが上がって、実体化できる時間が増えたら、冒険者証を作るからな」

「我が子の成長が楽しみなのじゃ」

『ヒノもたのしみー』


「ふああああ」

と、ふいにあくびが出るシュリナ。

「ちょっと時間が早いが、転移前から考えると、かなり長時間起きているからな」

「そういえばそうなのじゃ」

「もう寝るとしようか」

「おやすみなのじゃ」

『ぱあぱ、まあま、おやすみ』


アキラとシュリナが手をつなぎ、その間に抱かれるようにしてヒノが眠る。

それは幸せそうな親子の姿にしか見えなかった。

読んでいただきありがとうございました。

本編を早く進めたいので、しばらく連続更新します。


次回は10月20日日曜日昼の12時予定で、夜にも更新します。

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