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幕間 勇者と魔王が消えた世界で

アキラとシュリナとヒノがいなくなったあとの、魔王城でのやりとりです。

ヒノが消え、それにつられるように勇者アキラと魔王シュリナも姿を消した。


キャビナはそれを見届けてから、三人の気配はないことを確認して体を起こした。

アキラに折られた全身の骨はほぼ完治している。

このくらいの時間で治る程度に折られていたのだ。


「あの筋肉勇者め!レベル1で私に勝つとかふざけすぎだわ!」

キャビナは勝ち目がないと知り、気を失った振りをしていたのだが、こうなっては起きていた方が良かったかもしれないなどと言ってられない。

すぐに足元で気絶しているリリカを揺さぶる。


「リリカ!起きなさい!」

「…」

「『悪夢ナイトメア』」

「…きゃああああ!あれ?夢?」

「目が覚めたようね?」

「キャビナ?シュリナ様は?」


キャビナは起こったことをかくかくしかじかまるまるもりもりと説明する。


「おそらく異世界に行ったのだわ」

「すぐに追いかけましょう!キャビナなら、異世界転移のアイテムも作れるのでしょう?」

「結構時間がかかるわよ。じゃあ、作っている間に、あなたは後始末お願いね」


そう言ってキャビナは聖槌エクシードカリビアーンを手渡した。

「え?後始末?これで?」

「それはすでに、ヒノと同じようにしてあるのよ」

「まさか呪い?!」

ずざっと後ずさるリリカ。


「違いますっ!それが人化できるようにしたのよ。意思のある勇者の武器なら、人間の国と講和するのに役立つでしょう?」

「そ、そうね。きゃ!」


聖槌エクシードカリビアーンは光り始め、たくましい青年の姿になった。かなりのイケメンだ。

いや、服装と化粧からすると、イケメンというより、イケオネエと言った方がいいだろう。


「はじめまして。アタシがエクシードカリビアーンよ。エクシィと呼んでねえ。さあ、アキラのやったことを無駄にしないために、さっさと戦争を終わらせるわよ」

「あ、はい、え?ええっ?」

リリカがキャビナの方を振り向くと、すでにキャビナはそこにいなかった。


「キャビナ!私を置いて一人で異世界に行ったら許しませんからね!」


返事はない。

すでにキャビナは完全防音の研究室に籠っていたからだ。


「許さない」

キャビナはつぶやく。


「許さない、アキラ」

キャビナはつぶやく。


「許さない、アキラ。はあはぁ」

キャビナはつぶやく。

熱い吐息混じりに。


「ああ、私が奴を殺そうとしたら、また・・私の体中をあんなふうに、心地よい音・・・・・を立てて壊してくれるのだろうか?」

全身の骨を折られたときの感覚が蘇る。

それは人生初の屈辱であり、恥辱であり、苦痛であり、そして快感であった。


「アキラ、お前は逃がさない。どこまでも追いかけて、私のモノにしてやる」

「えーっ!」

「まあーっ!」

「え…?ええーっ?!」

キャビナが振り向くと、そこにはリリカとエクシードカリビアーンが居た。


「キャビナ、まさかアキラって奴をそこまで好きになっていたなんて」

「自分のご主人様とライバル?それとも、ハーレムでも許すのかしらぁ?ふふっ」

「エクシィ、シュリナ様が勇者と恋仲になると思っているの?」

「リリカ、あの二人は異世界に転移して、協力しあうようになって、吊り橋効果で恋仲になるわよん」

「そうかしら?」

「恋なんて簡単には始まるものなのよお」


その会話を聞きながらわなわなと震えるキャビナ。

「あなたたち!どうやってここに入ってきたのよ!」

「普通にドアからよ」

「ノックもしたわよぉ」

「鍵、掛け忘れてた…?それで、どこから聞いていたの?」

「『アキラ、お前は逃がさない。どこまでも追いかけて、私のモノにしてやる』ってところからよ」


ホッとするキャビナ。

どうやら、自分のマゾ的言動は聞かれていないようだった。


「それで、何の用なのよ?」

「やっぱりキャビナも来て!私一人なんて無理無理!」

「私は異世界へ転移するアイテムを作らなくてはいけないの」

「愛するアキラのためね?いいわあーん」

と気持ち悪い声をあげるエクシィ。


「愛してなどいない!どこまでも追いかけて殺してやると誓ったのよ!」

「はいはい、そういうことにしておいてあげるけど、とにかく講和の案件が先ね」

「がんばりましょうねぇ。愛するアキラのために」

「奴を愛してなどいないっ!殺すッ!殺してやるのよっ!」


ドゴッ!


轟音と共に研究室が揺れる。

エクシィが拳で壁を殴り付けたのだ。

その壁はハンマーで殴ったように大きく陥没している。


「キャビナちゃーん、ダメねえ。これから平和になるというのに、そんな考えでは。これは、お・し・お・きが必要ねぇ?」


「平和大好き!誰も殺したいなんて思わないわ!当然よね!、リリカ!」

「キャビナ、私まで巻き添えにしないでくれるかしら?」

ジト目であきれたようにキャビナを見るリリカ。


「さあ、まず戦争を止める命令を出す、魔王軍の代表を決めないと」

「リリカ、頼むわ」

「キャビナが適任よ」

「どっちでもいいわよぉ。代表じゃない人と一緒に講和の使者に行くからぁ」

「「私が代表をするわ!」」


講話への道のりは平坦ではないようだった。

本編はは10月19日土曜日22時更新です。

幕間はそれまでに更新するかもしれません。たぶんします。

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