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エピローグ

後日談


令和2年1月21日

誤字と言い回しを修正

-後日-


下界に戻ったアキラは妊婦のシュリナと産まれてくるヒノの事を考えて大きな屋敷を購入することにした。


シュリナとヒノのためだけなら小さな家でも良かったのだが、妻が9人もいるのでそうせざるを得ない。


冒険者家業はしばらく休止になった。

というのも、


「わらわはまだ冒険者として働けるのじゃ!」


とシュリナが言うためであり、説得してシュリナを置いていったとしても、トラブルに巻き込まれやすいアキラは冒険に行ったまましばらく帰ってこないこともありえたからだ。


お金をどうやって稼ぐか。

その方法はすぐに見つかった。


以前に作った『熱男筋肉列車ネオマッスルトレイン』が筋肉ギルドの手で普及が始まり、量産体制に入ったからだ。


量産用の『熱男筋肉列車ネオマッスルトレイン』は異世界の武器は積んでおらず、アキラが技術を独占する意思もなかったことから、各国の筋肉ギルドを通じて広まっていった。


技術を提供したアキラはそれにより巨万の富と名声を得た。


しかしその名声など、多くの世界を救ってきたアキラにとって大した名声でもなかったが。




「さあ、帰るか」


今アキラは筋肉ギルドで、より良い筋肉をつける指導者(インストラクター)として働いている。


「うん」


同じ筋肉ギルドで窓口業務をしているマーシャも行き帰りはアキラと一緒だ。

そしてマーシャはいつもアキラと腕を組んで帰る。


「ふふっ。こうしていると本当の夫婦みたいだね。早く結婚式をあげたいな」

「ああ」

「だからボクのこと、いつまでも夜のローテーションからはずすのはやめてほしいな」

「中身はまだ6歳だろ」

「知識だけなら大人以上なんだけどな」

「精神の問題だ」

「言っておくけど、ボクは人間だから10年も待たれたら26歳になっちゃうからね」

「俺の世界なら26歳で結婚や妊娠は珍しくない」

「ボクの世界でもそうだったけど、この世界では遅いんだよ」

「マーシャ、後悔するぞ」

「しないもん」

「そうか」



その晩。


小さな悲鳴が上がった。


そして翌朝。


「あっ、アキラおはよう。あの、夕べはごめんなさい」

「こちらこそすまなかったな」

「だって、まさか、あんなにすご…その、うん。やっぱりボクにはまだ早かったよ。ボクと同じくらいの体格なのに魔族とか獣人はすごいなあ。でも、でもねっ!そのうちにねっ!」


そう言ってマーシャはささっと食堂に移動していった。


「アキラよ!」


ぱたぱたと向こうからおなかの大きなシュリナが走ってくる。


「おい、そのお腹で廊下を走るんじゃない」

「聞こえたのじゃ!」

「何がだ?」

「ヒノの声が聞こえたのじゃ!」



どうやらヒノは最高神から与えられたスキル『コミュ掌ハンドシグナル』という、手で触った相手と意思疎通をすることができる能力を持っているため、シュリナと会話をすることができるらしい。


自分でそういうことができるくらいに、おなかの中で育ったということだ。


「アキラよ。ヒノがのう、『ぱあぱ、まあま、ただいま。もうすこしまっててね』って言ってるのじゃ!」

「そうかそうか」

「ふふふ。そうかヒノよ。わらわもヒノのことが大好きなのじゃ!」

「俺も大好きだって伝えておいてくれ」

「もちろんじゃ!」





-12年後-


「ヒノくーん!学校行こう!」

「うん、待ってて!」


ヒノは慌てて服を着て家を飛び出そうとする。


「ヒノよ。襟が曲がっておるのじゃ」

「えへへっ。ありがとうお母さん」

「アキラよ。遅れるでないぞ」

「わかってる」


友達と登校するヒノのすぐ後ろから付いていくアキラとシュリナ。


別に過保護でも親バカでもなく、『呪い』のせいで一定距離以上離れられないのだ。


だから初等学校卒業間近なのに、一緒に登下校することになっている。


そのためアキラとシュリナの今の勤務先は学校だ。

もちろん教師をやっている。


アキラは武術だけでなく冒険における様々な知識があり、シュリナは魔術を中心に教えている。


そしてマーシャやカナデもここの教師をしていたが、今は産休中である。


ピシイ


「ん?この音と気配は…」

「アキラよ」

「ああ、わかっている。『時空震』か。異世界からの転移だな」


二人は注意深くあたりをうかがう。


どうやら何者かが時空を超えて転移してくるみたいだ。


アキラもシュリナもレベルはヒノと同じくわずか37。


初等学校卒業間近でレベル37は高いほうだが、アキラたちにとっては全然低い。


しかし、アキラたちは経験でその不足分を十分に補うことができた。

何者が現れても、決して遅れを取る気はなかった。


ピカッ!



ふいにヒノの目の前に魔法陣が現れ、その中に人の姿が現れる。


するとヒノは魔法陣に向けて駆け出した。


「ヒノ!離れろ!」

「ヒノ!離れるのじゃ!」

「ヒノくん!」


アキラとシュリナ、そして友達の声を聞いてもなお、ヒノは逃げようとはかった。


「ここは?」


魔法陣から現れた少女はヒノと同い年くらいだろうか?

そして目の前のヒノと目が合った。


「ようこそこの世界へ。一子、おにいちゃんは待っていたよ」

「ヒノ…おにいちゃんっ!」


少女はヒノにしがみついた。


彼女こそ、天界でヒノをさらった張本人であり、それを猛省して産まれてから研鑽を積み、ついには自力で異世界を渡るほどの実力を身に着けた一子だった。


「君が一子か」

「もしかして、ヒノのお父さんとお母さん?」

「そうだ」

「そうなのじゃ」

「ごめんなさいっ!わたし、わたし、すっごく迷惑をかけて!謝りたくて!それとヒノおにいちゃんにも会いたくてっ!でも、すぐ向こうに帰りますから!」

「向こうで家族が待っているのか?」

「ううん、向こうは今戦乱で…身内はもう誰もいないの」

「それなら、このまま学校までついてくるのじゃ?」

「え?」


ぽかんとする一子。


「編入の手続きをするのじゃ。ヒノと同い年ならすぐ卒業じゃがの」

「わ、わたしはその…」

「ヒノがクラスメイトに紹介するのじゃぞ」

「うん!ヒノの大切な妹ってね!」

「ううう…うわああああああんっ!」


崩れ落ちて号泣する一子。

その頭をやさしくなでるヒノ。


そしてもらい泣きするアキラ。

涙腺のもろい元勇者だ。



これから始まるのはヒノの冒険。

大切な妹と、離れられない両親を連れた、


ひのきのぼうやの冒険の物語。

今までお読みいただきありがとうございました。

また別の作品でお会いしましょう。

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