第16話 ぱあぱとまあまは、おにあいなのー
色々な世界を4回救ったアキラは様々な技や知識やアイテムを持っています。
急に変わったらことをやるかもしれませんが、幕間の過去編で明かしていきます。
追記
11月21日サブタイトルに話数以外の言葉も付けました。
「う、うーん?」
タイガーが目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
「ここは?」
見慣れない場所。
狭い部屋にはベッドが2つあり、隣に獣人の女が寝ている。
そして向こうのベッドには筋肉男とまな板女と、透き通った男の子が仲良く寝ていた。
「パパ、ママ…」
その様子を見て、自分の両親を思いだし感傷的になるが、すぐにこの4人が自分と戦った相手だと気づく。
「起きたか?」
アキラが体を起こしてタイガーの方を向く。
「ボ、ボクをこんなところに連れてきてどうするつもりだ!」
「それが本来の話し方か。変身アイテムは向こうの世界に置いてきたからもう魔法少女の姿には戻れないだろうけどな」
「そんな!あれがなければボクの居た世界は滅びてしまう!」
「それで永遠に他国を侵略し続けるのか?」
「強いものが弱いものを支配するのは当然だ!」
「そうか、それなら負けたお前は支配される側だな」
「もう一度戦ったら、絶対に負けない!」
「お前は今まで倒してきた相手に、再び戦うチャンスを与えてやったのか?」
「もちろんだ!」
タイガーはきっぱりととそう答えたが
「嘘だな」
アキラは即座に否定した。
思わず驚きが顔に出てしまうタイガー。
あれ以来、今まで自分の嘘を見抜かれたことなどなかったからだ。
「俺に嘘は通用しない」
「まさかスキルか?」
「違う。お前の筋肉が教えてくれている。嘘をついているとな」
「そんな馬鹿なっ?!」
「筋肉は嘘をつかない」
「そうか、わかったぞ。ボクの筋肉のわずかな動きを感知したんだな?嘘発見器みたいに!」
「そんなところだが、やはり嘘発見器なんてものがある世界から来ているのか」
アキラはうんうんと一人頷きながら朝の運動を始める。
「ともあれ、負けたお前は捕虜になった。それを俺があの世界を助けたお礼がわりに奴隷としていただいた」
「ボクが奴隷だって!」
「首をさわってみろ」
「これは…隷属の首輪?」
「そうだ。俺の家族とカナデに逆らおうとすると」
「死ぬのか」
「そんな物騒なものじゃない。ただ、凄く不快になるだけだ」
「なんだよそれ?!」
アキラは説明する。
今までどうしても屈服しないが殺すことができない相手が居たとき、奴隷紋を刻むか隷属の首輪を着けて対象を支配せざるを得なかったのだが、対象が逆らった時の効果に問題があった。
痛みや怪我を負わせ、体や精神を害し、最悪死なせてしまうのは、当初の目的を達成できない。
しかし効果が弱いもしくは単調では、それに慣れてしまい逆らわれる。
そこでアキラが作り出したのがこの『二十七式隷属の首輪』だ。
アキラが従えている九十九の式神のひとつを使った逸品で、装着者が裏切らないよう、常に見張ることができる。
元々二十七番目の式神はいたずら好きで、こういう仕事に向いていた。
「つまりだな、俺たちに逆らうと、死ぬほどくすぐったくなったり、死ぬほど臭くなったり、死ぬほどかゆくなったりする。ちなみにその首輪がお前の嫌がる罰を覚えたり、新しい罰を考えたりもするぞ」
「何だよそれ!いっそ、殺してくれ!」
「無理なことを命じるつもりはないから、反抗しなければいいだけだぞ」
「こんなもの着けてまで、ボクに何をさせたいんだ!言っておくが元の世界に戻っても、力を失ったボクに権力は無いからな!」
「魔法少女の力は失っても、元の世界で手に入れた力は失っていないだろう?」
あの、相手の力を吸収する触手のような能力があるはずだ。
タイガーはそういった能力を駆使して、何とか逃げ出せないか考えようとしたところだった。
「くそっ、嘘が通じないとかやっかい過ぎるじゃないかよ!」
「いや、そのうち通じるぞ」
「どうしてだ?」
「俺は信頼できる相手なら、無意識に嘘の探知をしないからな。そうでないと、良い嘘でも気づいてしまう」
「良い嘘ってなんだよ?」
「相手のためを思ってついた嘘だ。タイガー、お前はそういう嘘を言ったことはないのか?」
「ボクは…」
「パパ!ママ!死なないで!…を一人にしないで!」
「ごめんね、…ちゃんだけは、幸せになるのよ」
「嫌だ嫌だ嫌だ!一人は嫌だよ!」
「…、俺の力を受けとれ。そして、誰よりも強い人間になれ」
「私の知識も受け取りなさい。そして何にも折れない心を持ちなさい」
もうすぐ父と母は死ぬ。
それをはっきり感じとった彼女はこう言った。
「ボクはこの力で幸せになる!もう寂しくない、辛くない、だから大丈夫だよ!」
「そうか、よか っ た」
「しあ わ せに ね」
それが最後の言葉だった。
そして父と母は微笑んでいた。
自分の精一杯の強がりの嘘で、安らかに死んでいったのだ。
「パパとママがいないなら、もう、幸せになんかなれないのに…」
「ボクは良い嘘なんてついた事はないよ」
「そうか」
それが嘘か本当か、アキラは言及しなかった。
どちらであったにしろ、それは彼女がアキラを困らせるために言った事ではないからだ。
「先ほどの質問の答えだが、お前をミラクリーナに残しておくと間違いなく重罪になるだろうし、元の世界に返すと、魔法少女の力が無くなっているから、立場的に責任を取らされるだろうからな。だから罪を償わせるために奴隷にするからと言って引き取り、ここで人生をやり直してもらうことにした」
「そんな簡単にやり直せるものか」
「そうでもない。そこにいるシュリナは魔王で、俺はそれを退治しに行った勇者だった」
「ええっ?!」
「ヒノのおかげでこちらの世界に来ることができた。そして人生を一からやり直しているところだ」
「魔王だけでなく、勇者が一からやり直す必要なんてあるの?」
タイガーの質問に苦笑するアキラ。
「それはあいつに惚れた弱味という奴だな」
「(うっ)」
寝たふりをして聞き耳をたてていたシュリナは思わず吹き出しかけた。
「(アキラがわらわに惚れているじゃと?ヒノのために仕方なくでは無いじゃと…)」
シュリナの心臓の動悸が激しくなっていく。
きっと顔は真っ赤になっているだろう。
「(顔を毛布で隠していて良かったのじゃ)」
「そうか、やり直せるのか」
「そうだ」
「うん、、わかった」
タイガーはぎゅっとこぶしを握りしめる。
「(パパ、ママ、今度こそ本当に幸せになってみせるから)」
「よしタイガー、そろそろ隣で寝ているカナデを起こしてくれ」
「マーシャ」
「ん?」
「ボクの名前はマーシャだ。魔法少女フリルルタイガーはもういない」
その目にはさっきまでとは違う、強い意志が宿っていた。
「じゃあマーシャはカナデを起こしてくれ」
そしてアキラはシュリナとヒノに優しく声をかける。
「朝だぞ。起きろよ」
「(もうとっくに起きていたのじゃが…)ふあぁ。アキラ、おはよう」
『んー、おはようございますー』
「アキラ様、奥様、ヒノ様、おはようございます」
みんなが起きたようなので、アキラはマーシャについて説明する。
「それなら、首輪は無くても良いのではないかの?」
「いや、これは安全装置も兼ねているからな。ヒノみたいに危なくなったら姿を消すとかできないだろ?」
「その首輪が守ってくれるじゃと?」
「そうだ」
「それなら仕方ないのじゃ」
そして部屋で朝食を取りながら、ヒノの秘密を含めた情報共有をする。
「年齢も近いじゃろうから、仲良くしてやってほしいのじゃ」
「ボクは六歳だけど、ヒノはまだ生まれてないから0歳じゃないのか?」
『じゃあ、マーシャおねえたんだね』
「うっ」
上目遣いで見つめてくるヒノの可愛さは天下一品である。
「な、なでるぞ。おねえちゃんとして、かわいがるだけだからなっ」
『うん!』
天界にて。
「ヒノのお姉さんは私だけと思っていたのに。いえいえ、あのマーシャって子も、私の妹という考えもできるわね」
最高神代理の女神エリオスは自分にそう言い聞かせる。
しかし、ヒノが自分を頼ってくれなくなったらどうしよう?という不安が消えたわけではなかった。
『おはよーございまーす』
その不安をかき消す声が響いた。
「ヒノちゃーん!」
エリオスは入り口まで出迎えに行く。
『えへへ、また来ちゃった』
「何度でも来ていいわよ!むしろ毎日でも!」
『ありがとうなのー』
うずうず
「(ああ、いきなり撫でては、最高神としての尊厳が。でも、今すぐ撫でたいわっ!)」
『はい』
ヒノはエリオスに向かって頭を差し出す。
「え?」
『なでてほしいのー』
「ヒノちゃん、ズルいわっ!」
なでなでなでなで
なでなでなでなで
なでなでなでなで
なでなでなでなで
なでなでなでなで
「すみませーん」
誰かの声がする。
なでなでなでなで
なでなでなでなで
「すいませーん、すいませーん!」
必死に呼んでいるようだ。
なでなでなでなで
なでなでなでなで
なでなでなでなで
「ちょっと!誰もいないの?!」
さすがにキレたらしい。
「もう、誰よ?ヒノちゃん、お菓子食べて待っててね」
エリオスが呼ばれた方に行くと、そこに居たのは、なかなか可愛い顔立ちの少女。
見た目は15、6歳くらい、いや神だから全て正確にわかる。
15歳高校一年生。紀藤一子。
特技はソフトボール、3サイズは81-59-78。
そんなことに興味はないけど、なんとなく見てしまったわと思うエリオス。
自分が10歳くらいの体になって、つい相手の胸をうらやましく思っている訳じゃない。
「これ、異世界転生よね?タンクローリーに跳ねられたら違うってことないでしょうね?」
興奮状態の一子。
「そっか、最高神になっても、転生の手続きの順番は回ってくるんだわ」
「え?最高神様?こんなに幼いのに?もしかして私ってラッキー?」
一子は凄く嬉しそうだ。
「チートは何もらおう?何でも防げる力、ううん、何でも作れる力、いやいや、何でも倒せる力を」
「ダメです」
「え?」
「『何でも』っていうのは神の領分です」
「でも転生する話って、神のような強さの人いっぱい居るでしょう?」
「だから、禁止になったんです」
「そんなあ」
がっくりとする一子だったが、すぐに気を取り直す。
「じゃあじゃあ、行く世界で平均的な力になるとか、すごいポーション作れるようになるとか」
「諸事情でできません」
最高神代理として、最も許可してはならない系統のものだ。
「じゃあ、純粋に強く!できるだけね!」
「特徴的なチート能力じゃないとモブ化しますがよろしいか?」
「何それ?」
「平和に暮らせますが、表舞台には立てません」
平たく言うと出番が無くなるということだ。
「どうしろって言うのよ?」
エリオスは白い世界の一角を指差すと、そこに扉が現れた。
「あそこに個室を作りました。大量の書籍とネット環境があります」
「天界にネット環境あるの?!」
「そこで研究して、他とかぶらない能力を考えてみてはどうでしょう?」
「新しい能力を考えろっていうことなの?はいはい、わかったわよ」
「期間は1ヶ月。時間切れで選べなかったら適当な能力を付加しますので」
「適当って何よ?」
エリオスはにっこりとほほ笑みこう言った。
「神々が戯れに考えた面白チート能力です」
「ぜえーったい、いやーっ!!」
一子は個室に駆け込むと本を手に取り、椅子に腰かけ、ネットに接続。
「『にゃろう』で検索と。あった、あった」
慣れた手つきで『ラノベ作家ににゃろう』のサイトを開くと、ランキング順で自分が読んでいないものを片っ端から読み始めた。
『じゃあ、そろそろいくねー』
「また来てねー!」
エリオスに見送られてヒノはアキラとシュリナの元へ戻る。
今日は休みを取ることにしたため、今から町中へお出かけの予定なのだ。
『おでかけ、おでかけ、うれしーなっ』
「アキラよ、ヒノの服を買ってあげたいのじゃが、服を着た状態で実体化が解けたらどうなるんじゃ?」
「そういえば考えたことが無かったな。服だけそこに残るとか?いや、最初から服着ているよな?」
「とりあえず試すのじゃ」
「実体化の時間がもったいないからあとで試すことにしよう。そうだ、これをやろう」
アキラは異次元箱から小さなリュックを取り出してこねはじめた。
「その能力は便利じゃのう」
「それでも極端に大きさを変えるとか、繊細なデザインとかはできないけどな」
アキラは小さなリュックを『くまさんのぬいぐるみ型リュック』に変えた。
クマのぬいぐるみの背中に背負い紐がついており、クマを後ろ向きに背負っているように見えるようになっている。
『わあ、かわいいのー』
「これはいいのう。ちょっと待つのじゃ、リュックなのに物を入れるところが見当たらないのじゃ」
「これはだいたいこの部屋くらいの大きさのものが入るかな」
「ありえないのじゃ!まさか異次元箱かの?」
「そうだ。くまの手に触れさせて中に入れて、出すときは入っているものを言わないと出せない」
「中身を忘れたらどうなるのじゃ?」
「『入っている者全部出して』と言えば全部出てくるが、ひどい目にあったことがある」
「あまり聞きたくないのじゃ…」
『なにかいれたいのー』
「そういえば、ヒノ自身の持ち物ってまったくなかったのじゃ。可愛そうなのじゃ!今日は色々買ってあげるのじゃ!」
『わーい!』
商店の立ち並ぶ町の中心街に行く。
「まずは服なのじゃ!」
「そうだ、カナデとマーシャの服も買うぞ」
「私は無くても大丈夫です。このように」
カナデは人目が無いことを確認してから、衣装を素早く秘書風からメイド風に変化させた。
「好きな服装に変えられますので」
「うらやましいのじゃ」
「奥様、アキラ様から買ってもらえる方が嬉しくありませんか?」
「そうじゃな!わらわはそういう能力が無くてよかったのじゃ!」
「ボ、ボクは別に服なんか」
「換えの下着とかもってないのでしょう?いくら『清浄』の魔法できれいに出来ても、服や下着の替えを持つのは乙女の嗜みですわ」
カナデに説得され、マーシャも買うことに同意する。
『どうかなー?』
ヒノは可愛らしい服を着せられては、みんなにお披露目をする。
「おお、これも捨てがたいのじゃ!」
「先程よりこちらでしょうか?」
「ボクは別に何でもかまわないと思うけど…さ、さっきの方が好きだな」
そしてシュリナの服を試着する。
どうしてもサイズの加減で可愛らしいものが多くなってしまうが。
「アキラよ、ど、どうじゃ?」
「そうだな。こっちのほうが似合うな」
「そうじゃな!わらわもそう思っておったのじゃ!」
たっぷり時間をかけて、ヒノ、シュリナ、マーシャの服を購入。
中でもシュリナはヒノと自分の服が買えたことで一番の笑顔だった。
次に来たのは女性向けの化粧品やアクセサリーを売っている店である。
「化粧とかしたことないのじゃ」
「私は化粧も衣装の様に変えられますのでいりませんが、奥様は少しくらいされたらいかがです?」
「見た目は10歳なのじゃから、まだ早いのじゃ」
「失礼ですが」
そう言ってやってきたのはお店の女性店長。
「奥様、でよろしかったでしょうか?」
「そ、そうなのじゃ」
「ここでは、ハーフエルフの女性のための化粧品がございますので、よろしければ、試しにお化粧させていただきましょうか?」
「なんじゃと!?そんなものがあるのかの?」
「はい、成人なのに子供っぽくみられる種族の方のために、大人びた雰囲気になる化粧をお教えしています」
「するのじゃ!ぜひ教えてほしいのじゃ!」
「それではこちらに」
シュリナは化粧台に連れて行かれる。
「素晴らしい顔立ち、そしてきめ細かな肌。奥様はまるでお人形の様ですわ」
「そ、そうかの」
照れるシュリナ。
「ええ、ただ化粧をしていないせいで、幼く見えてしまうのです。これほど整った顔立ちであれば、こうやって目元を」
さっさっ
「おお?!」
「そして頬にこれを」
ささっ
「おおっ!」
「そしてくちびるに」
「んんっ!(しゃべれない)」
「そしてっ」
「アキラ様」
「ん?どうした、カナデ」
「あちらで奥様が待ってみえます」
「どうしたんだ?」
アキラはシュリナが待っているという場所に向かう。
「シュリナどうし…あ」
アキラの時が止まった。
そこに立っていたのは、背丈体型こそ子供だが、その顔は妖艶な少女といった雰囲気を醸し出していた。
そして服装は黒を基調とした和装に近い服。
涼やかな表情で流し目をしているシュリナは、年齢とかを超越した『美』を体現していた。
「シュリナ…」
「は、はいっ!」
アキラの真面目な声に思わず身構えるシュリナ。
アキラはしゅぱっと異次元箱から水晶玉付の杖を取り出した。
「撮影してもいいか?」
「アキラよ。先に言うことがあるのではないのかの?」
「駄目だ」
アキラは後ろを向いて、離れた位置に杖を設置しに行く。
「何がダメなのじゃ?」
「俺の語彙力では、今のお前を褒めきれる自信がない」
「ぬおっ!(ぼしゅっ!)」
それを聞いたシュリナの顔は化粧をしていても分かるくらいの真っ赤に染まった。
「というか、直視できん。撮影してあとでゆっくりと」
「しまうのじゃ」
「なに?」
「カメラというのじゃったな、それをしまうのじゃ」
「写したら駄目なのか?」
「アキラは、わらわより写し絵が好きかの?」
「あ…」
「化粧はここでしっかりと覚えていくのじゃ。化粧品もこの服も買っていくのじゃから」
すっと、シュリナはアキラの元に移動する。
「わらわは、おまえさまのためなら、いつでもこのようにしてやれるのじゃぞ」
その笑顔にアキラの心臓は撃ち抜かれた。
「な、何よ、あれ。恥ずかしくないのかしら」
つられて赤くなっているマーシャ。
「マーシャさん、お二人はとてもお似合いでしょう?」
にこにこと二人を見守っているカナデ。
『ぱあぱとまあまは、おにあいなのー』
何か分からないけど、二人が仲がよさそうでいいなーって感じのヒノ。
「ああいうの、バカップルって言うのよね」
「否定はしません」
『ぱあぱとまあまは、ばかっぷるなの?』
「こういうのはベストカップルって言うのですよ」
『べすとかっぷるなのー』
シュリナが時間をかけてしっかり化粧を教わり、高い化粧品と衣装を買わされたが、誰も文句を言うことは無かった。
それは先程の服を買った店以上にシュリナがご機嫌であることからもわかる。
「アキラよ、もう化粧は落としたのじゃから、もっと近くにきてもいいのじゃぞ」
「あ、ああ。そうだな」
「ぬふふ。今日はわらわの圧勝なのじゃ」
いつもアキラの言動で照れさせられているシュリナにとっては、今日は文句なしの勝ちであった。
お読みいただきありがとうございました。
3連休は連続更新します。
幕間のアキラ過去編も含んでおります。
次回は11月2日18時更新です。