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第13話 ムキムキというパッシブ

魔法少女編はあと5話くらいです。


追記

11月21日サブタイトルに話数以外の言葉も付けました。

「いくわよ、フレイム!」

「ええ、サニー!」


2人はポーズを決めて腕を突き出す。


「「フリルル・プロミネンス・アロー!!」」


赤い竜のような炎のうねりが、敵の魔法少女たちを飲み込み、次々と倒していく。


「さすがサニーとフレイム。でもここまでよ」

「お前はフリルルミント!」

「裏切ったのか!」

「裏切ったのじゃないわ。これからのミラクリーナのために、タイガーに協力することにしただけだわ。ほら、変身能力も残っているでしょう?」

「くっ、変身能力制限の設定がこれほど甘いものだったとは」

「心配ないわよサニー。ミントはそんなに強くないもの」

「なんですって?!これでも強くないと言えるかしら?」


ミントがもう一つの魔法のステッキを取り出す。

「同じステッキよね?2つ目って?」

「知らなかったの?変身アイテムは重ねがけ・・・・できる」


そう言って、ミントは変身の文言を唱え、二段変身を行う。


「二段変身専用の変身アイテム以外でさらに変身するなんて!」

「なんて恐ろしいことを思いつくの!」


緑色の光が消え、ミントが姿を見せる。


「これが私の新しい姿よ!」


ミントは変身を終えたが、見た目にはあまり変わっていない。

それもそのはず、同じ魔法少女の服が2枚重ねになっただけなのだ。


「なによそれっ!」

「意味あるのっ!」

「う、うるさいわねっ!二段変身専用のアイテムはタイガーにもらえなかったのよ!だけど、これで戦闘力は2倍!」


ぼこすかばきぽか


「や、やめてっ!2倍なのよ!」

「2倍でもまだ弱いのよ」

「それなら、これで!」


5本の新しいステッキを取り出すミント。


「やめなさい!そんなことしたら、あなたの体が持たない!」

「ふふふ、絶望を味わうがいいわっ!!」


5連続の追加変身!


そしてそこに現れたのは、まん丸に着ぶくれした魔法少女だった。


「これで攻撃力は7倍!圧倒的に強いわ!」

「はいはい」


ころころ


「いやー、ころがさないでー」


ころころ


「やめてー」


ころころ


「やめろって言ってるのよ!フリルル・リーフ・カッター!」


しかし、腕が曲がらないので、あらぬ方向に飛んでいく。


「しかし、防御力も7倍!どんな攻撃も…」

「「えい」」

どぼーん


「池はだめっ!沈む、服がぬれて沈んじゃうっ!」

「魔法少女だから、水中呼吸くらいできるわよね?」

「がんばってー」

「いやーーーーーーーーー」





その頃、シュリナとヒノとカナデは双子の魔法少女と対峙していた。


「なかなかやりますわね」

「ええ、お姉さま。その通りですわ」


余裕の表情のフリルルムーンとフリルルスター。


「サニーと名前が似ているが、もしや知り合いかの?」

「サニー?ああ、私たちが倒した魔法少女たちの親友ね。私たちが使っている変身アイテムは、元ムーンと元スターのものよ」

「だが、使い慣れてはいないようなのじゃ」


シュリナは魔法少女としてだけでなく、魔法使いの能力も併用して戦っていた。

そしてカナデも同様であったため、状況は拮抗していた。


そしてヒノは。


『まあま、がんばれー!』

応援していた。


というのも、相手が2人なので2対2で戦うと言うことで、ヒノは攻撃されないと言う条件で戦っているのだ。

どうしてそんな条件を相手が飲んだかと言えば、


「ああ、ヒノちゃん、かわいいわあ」

「お姉さま、ヒノちゃんをお持ち帰りして、二人で着せ替えこっごをしましょう」


と、ヒノに惚れ込んでしまったからである。

ラノベ主人公ばりの、女殺しである。


「お前たちみたいな変態にはヒノは渡せぬのじゃ!」

シュリナは鋭い蹴りを放ち、スターがそれを受け止めてパンチを返す。

カナデとムーンも技の応酬をしている。

今のところは、ほぼ互角。


「でも、いつまでやれるかしら?」

「そろそろね」

「なんじゃと?これは?!」


シュリナの服が光り始めた。

カナデとヒノも同様にだ。


そして服がはじけるように消えて、三人は元の姿に戻っていた。


「なんじゃと?!」

「奥様、きっと時間切れです」

「30分経過、最低レベルの魔法少女はこれで1時間は変身できない」

「そうでなくても、お姉さまと私に勝てるわけがないのよ」


大ピンチである。

しかし、そこに駆けつけるのがヒーロー、いや、夫の責務である。


「待て!」


現れたのはアキラ。しかし、右腕の変身は30分経過した為、着いた瞬間に消えてしまった。


「何この変態魔法少女」

「腕だけ変身していたとか、ありえないわ」

「それでは、変身できるところを見せようか」

「馬鹿なの?変身できるわけないでしょう?」

「お姉さまの言う通りよ。30分変身したら、あと1時間は変身できないのよ」

「さっきの戦闘で変身アイテムのレベルが上がったと思うが?」

「そんなすぐには上がらないわよ!」

「無知な筋肉ね」

「なんだと?」


ぶるっと、筋肉を震わせるアキラ。

そこから放たれる闘気に一瞬ひるむ2人。


「俺の筋肉を無知というのか?それならどうして変身できないかわかっているのか?」


顔を見合すムーンとスター。


「どうして変身解除後に一時間変身できないのか。それは体に浸透していた変身魔法が不活性化して体に残っているためで、新たな変身魔法を浸透させることが出来なくなるからだ」

「なっ?」

「変身アイテムのレベルが上がれば浸透力が増してすぐに変身できるようになる。それを俺は変身を腕まででとどめる過程とその変身が解けたことで把握した。そして、腕しか変身しなかった場合」


アキラは右手の指輪をはずし、左手につける。


「変身していない部分はすぐに変身が可能となる!」


アキラの体が光り輝き、ひじから先の左腕だけの変身を遂げる。


「さすがアキラなのじゃ!」

「馬鹿な…」

「お姉さま、見かけだけです!倒してしまえばいいのですから!」

「そうね!ムーン・スパーク・アロー!」

「フォーリング・スター・アロー!」

「フリルル・デコピン!」


ビシ!バシ!


デコピンで弾き飛ばされる二人の飛び道具。


「どうしてそんな威力が?」

「お姉さま、もしかして変身する魔力を一ヶ所に集めたせいでは?」

「妹のほうが、頭が回るようだな」

「そんなことありません!お姉さまは何をしても一番です!」

「タイガーの下についているくせにか?」

「くっ、あいつは成り上がり者なのよ。下級貴族のくせに、公爵家の我らを差し置いて!」

「本来なら王家が滅びた後、お姉さまが新たな王になったはず!」

「今はタイガーの下についているが、いつか我らがそれを超えて王となってみせる!」

「残念だが、それは無理だ」

「なんだと?」

「なぜなら、タイガーはここで負けるからだ。そしてそれより先に、お前たちは負ける」

「戯言をっ!!」


怒りにまかせてムーンは飛び込んできてパンチやキックを繰り出してくる。

しかし、アキラはその全てを片腕で受ける。


「二人の攻撃を裁けるかしら?!」

「むしろ楽になるな」

アキラはスターの攻撃を魔法少女になっていない右手で受け流し、ムーンの攻撃とぶつかり合うように誘導する。


「なっ!」

「お姉さま!」


ドガシッ!


お互いのパンチがクロスカウンターのように互いのあごに命中させられた。


「アキラ様、なんて技術を」

「さすがわらわの夫なのじゃ!」

『ぱあぱ、すごいのー!』


「それにしてもその出力、強すぎるわ」

「だから言っただろう。変身アイテムのレベルが上がったと」

『そうだぜ。おいらレベル5だぜ』

「変身アイテムがしゃべった?!」

「指輪型は知性がないはず!」

『無いと思っているのは勝手だが、変身アイテムは全て意志があるんだぜ。ただ話すことができないだけだ』

「俺がこね回したせいで、性格とか性質が変わったんだな」

「何それ怖い」

「ここに来るまでに、俺が何人の魔法少女を葬ってきたと思う?」

「ま、まさか…」


死屍累々。アキラの通った跡に敵の魔法少女の屍しか残されていなかった(実際は気絶しているだけで生きている)。


戦いが再開されるが、アキラの元々の戦闘能力の高さに魔法少女の力が加わっているため、ムーンたちはまるで相手にならない。


「ううっ」

「くうっ」

「さて、時間が惜しい。決めさせてもらうぞ!フリルル・マシンガン!」

左手から無数の光の弾丸が発せられ、ムーンとスターに降り注ぐ。


「「きゃああああああ!!」」


ボロボロになっていくムーンとスター。


「とどめだ!」

「待って!もう、勝負はついたわ!」

「私たちの負けです」

「お前たち、魔法少女なのだろう?」

「「は?」」

「魔法少女は、必殺技でとどめをさされて決着というのがお約束ではないのか?」


そう言うと、アキラの左手に黒い稲妻のようなものが宿り、バリバリと音を立てている。


「これがフリルル・マッスル・ブラック・サンダー・ジェノサイドだ」

「ジェノサイドとか、必ず殺すほうの必殺技じゃないですかっ!」

「お姉さまっ!」

「どうやら終わったわね」

そう言ったムーンの表情は…負けを覚悟した者の顔ではなかった。


チューン!


遠くから音が聞こえ、アキラの体がぐらりと傾き、膝をつき、左手を地面について黒い稲妻が消えてしまう。


「アキラ?!」

「アキラ様!」

『ぱあぱ?!』


「はっはっは、甘かったわね!」

「まさか、二人だけだと思っていたの?」

「まさか狙撃?」

カナデがあたりを見回すが、どこにも人影が見えない。


「音が遅れて届くほどの遠くから撃ったのよ。まだ潜んでいるから、いつでも狙えるわ」


「やれやれやっと終わるかの」

「奥様、変身はまだ時間的に無理かと」

「大丈夫じゃ、こやつらの変身アイテムをもらうからの」

「何?何を言っている?」

「先程からアキラのステータスは常に『ムキムキ』だったのじゃ」

「何よ、それ?」

「『ムキムキ』は狙撃を察知するパッシブスキルなのじゃ」

「まさかっ!」

ムーンとスターが狙撃手の潜んでいる方向を見ると、そこから黒い稲妻が天に上った。


「馬鹿な…」

「さて、これで本当の終わりだ」

アキラが何もなかったかのように立ち上がる。


「地面に倒れたふりをして、地中に稲妻を打ち込み、狙撃の角度から正確な位置を把握して狙撃手を倒した」

「それでも、狙撃は受けたはず!」

「変身能力の時間を削れば、一時的に防御力を上げられる」

「どうしてそんなに詳しい?!」

「自分の体に浸透した力だ。俺の筋肉たちが、どんな力か教えてくれるのだ」

「筋肉すごすぎなのじゃ」


そしてアキラの変身が解ける。


「指輪を付け替える時間は与えないわ!スター!」

「はい、お姉さま!」

すかさずアキラに襲い掛かろうとする二人。


「いや、さっきの技はまだ終わっていない」

「何…だと、あああっ」

「きゃああああ!」


ムーンとスターの足元から黒い稲妻が天に向かって放たれ、二人は変身を解除されて気絶した。


「さあ、この変身アイテムをシュリナとカナデが使えばいい」

「そうじゃな。これで一気に強くなれるのじゃ」

「いきましょう、アキラ様、奥様」

『いくのー』


こうして4人はタイガーの待つ王城に向かって、


王城に向かって、


王城?


「シュリナ、タイガーはあの城に居るので間違いないのか?」

「あっちの城のほうが王城らしいのじゃ」

「でも、豪華さはあちらのほうでないかと」


そう、ミラクリーナには、大きな城が3つもあったのだ。


「情報を聞き出すしかないか」

「まさか、気絶しているこやつらを?」

「起こしている暇はなさそうだ。敵の気配を探して、見つけた奴に聞く」

「わかったのじゃ!」


こうして4人はタイガーを探しつつ、ミラクリーナの中を進んでいった。




次回(嘘)予告!


アキラはリングを変形させ、腰にはめた。

「変身!」

アキラにフリフリのスカートが装着された!


「「「ぎゃあああああ!!!」」」


敵味方全滅した。


『ぱあぱ、かわいいのー』

ヒノだけ喜んでいた。


(注:この予告は嘘です。たぶん嘘です。本当にならないことを祈ってください)。

お読みいただきありがとうございました。

次の更新は10月25日18時です。

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