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第8話 ヒノのパワーレベリング

本日3度目の更新です。

ご注意下さい。


追記

11月21日サブタイトルに話数以外の言葉も付けました。

さて、ヒノのパワーレベリングの開始である。

と言っても、実際はみんな同じレベルなのだが。


レベルのわりに戦闘力の高いアキラが中心となって敵を倒しまくり、ヒノのレベルを上げるという意味では、確かにパワーレベリングである。



「それで何を倒すのじゃ?」

「俺一人でも倒しやすい人型モンスターにしようと思う」

「わらわもやりたいのじゃ」

「私もお手伝いします」


カナデは支援魔法が得意で、特に防御魔法に秀でているらしい。


「シュリナはカナデと一緒にヒノを守っていてくれ。あと、余裕が有れば、魔法でフォローを頼む」

「わかったのじゃ」

「わかりました」



カナデがモンスターの出現率を調整して、人型モンスターを優先的に出す。


ゴブリン、オーク、オーガ、それらの少し上位の種。

アキラは片っ端からその首を折り、倒していく。


「強すぎるのじゃ。でも、この倒し方はちょっとどうかのう」


首を折るだけとか、ヒノの教育になんとなく悪そうである。


「武器が無いから、手早く終わらせるにはこうするしかなくてな」

『それならヒノをつかってほしいのー』


淡い光と共に、ヒノがひのきのぼうに戻る。


「わかった。それなら効率的な戦い方を見せてやる」

『はーい』

「ヒノを傷つけないようにするのじゃぞ」


アキラはひのきのぼうを構えると、相手の攻撃を最低限の動きでかわしざま、その喉元に突きを入れ、眉間を打ち、顎を打って脳を揺らし、様々な急所を痛打して仕留めた。


「一瞬で5撃じゃと?」

「いえ、8撃かと」

『ううん、10かいだよー』

「アキラもヒノもすごいのじゃ!」



ヒノが実体化できなくなるまでモンスター狩りを続け、実体化が切れたら再度実体化して狩りを繰り返す。



「レベルはどうなったのじゃ?」

シュリナはわくわくして、自分のステータスを開ける。

そしてヒノのステータスも確認する。


名前 シュリナ

レベル 6


名前 ヒノ

レベル 6


「もう3つも上がっておるのじゃ!」

『やったー』


「俺もレベル6だ」

「わたくしもレベル6になりました」

「カナデのレベルも同じじゃと?」

「はい、今はアキラ様のレベルが私のレベルの上限となっております」

『みんないっしょなのー』

うれしそうなヒノ。

その笑顔を見てアキラとシュリナはいっそうヒノのために頑張ろうと心に誓う。


「これで実体化の回数や時間が増えたんじゃないのか?」


名前 ヒノ

レベル 6

実体化 レベル4

1日4回 1回あたり20分。 あと4回使用可能。


「実体化のレベルが低いのじゃ」

「パワーレベリングしたからメインのレベルは上がっているが、実体化の使用回数が少ないから、そっちのレベルはあまり上がらなかったようだな」

「それでは意味ないのじゃ!」

「いや、残りの回数を見ろ」

「変身した回数が、無かったことになっているのじゃ」

「つまりレベルが上がると使用回数がリセットされる。だからもっと実体化できるぞ」

「それで実体化のレベルもあげられるわけじゃな!」

『さっそく、やるのー』


再びヒノをふるって戦い、レベルを上げている間に、何度も実体化を繰り返す。

レベルが上がりそうなときに実体化の使用可能回数が残っていた場合は、あえて実体化を解除して、再度実体化を行って経験を積んだ。



ヒノ

レベル 10

実体化 レベル10

1日10回まで。1度に1時間まで。


「これで十分ではないのかの?」

「そうだな」

「やりましたね、アキラ様」

『やったのー』



「ウゴアアアアアア!」


ふいに森の奥から叫び声がした。

見ると、木の向こうに巨人らしき頭がのぞいている。


「アキラ様!あれはマウンテンジャイアントです!」

「どういうモンスターだ?」

「岩でできた棍棒を持ち、強い力と固い皮膚を持っています」

「人型には違いないが、5メートル以上あるのじゃ。あんなものが出てくる設定だったかの?」

「あれはここに出るモンスターではなく、外から侵入してきたモンスターです」

「なるほど、それなら設定していなくても出くわすわけだな」

「とりあえず、話をしてみるのじゃ」


シュリナは知性のある魔物と会話が出来る。

そして話しかけてみたが…


「グフ、エサ、ウマソウ、ヤワラカソウ」

「アキラよ、こいつはダメじゃ。道具を使う知能はあるが、それだけじゃ」

「やるしかないな」

「ちょっと厳しそうじゃの」

「みんなレベル10になったからやれると思うぞ。シュリナとカナデは援護。俺はヒノと一緒に前衛をする」

「わかったのじゃ」


アキラはひのきのぼうを握りしめ、巨人に向かい、攻撃を大きくかわし、素早く踏み込んで鋭い突きを見舞い、一撃離脱をする。

しかし、巨人はびくともしない。


「体が大きいせいで、急所に当てにくいな」

「アキラよ、どうしてそんなに大きくよけているのじゃ?それでは急所を狙いにくかろう?」

「こういう攻撃力が大きくて技が雑な相手の攻撃を最小限の動きで避けようとすると、うっかり大きなダメージを受けてしまうからな」


事実、アキラがかわした所に岩の棍棒が振り下ろされ、小さなクレーターを作る。


「わかったのじゃ。安全第一なのじゃ」

「当たりそうなときは私が防御魔法で守ります」

「カナデ、頼む」

「わらわはどうしようかの?」

「そうだな、相手の動きを鈍らせてほしいが、目くらまし以外で頼む」

「どうしてじゃ?」

「見えなくして暴れられると、行動の予測がつかなくなって危ないからな。足首とかを傷つけたり、精神的に弱らせたりすることができないか?」

「考えてみるのじゃ」


シュリナは自分の使える闇魔法を頭の中に思い浮かべる。

実際、レベル10で使える闇魔法はかなり多い。

しかし実戦で使っていないととっさに打てなかったり、思ったような効果が出せなかったりする。それは魔法それぞれにもレベルがあるからだ。


レベルは「本人のレベル」>「スキルのレベル」>「スキルに付随する各魔法のレベル」という関係が成立している。

ヒノの呪いによってレベルダウンしたものは、本人のレベルアップに合わせて一緒にレベル上がるが、今まで使っていないものはもちろん低いままであり、新しく覚えた看破なども、使っていなければレベルは上がらない。


「相手の動きを鈍らせる闇魔法があったが、レベルがまだ3なのじゃ」

「奥様、やらないよりはマシではないでしょうか?」

「そうじゃな」

「それはどうやって命中させるタイプなのですか?」

「誘導型と発射型と接触型が選べて、その順に強くなっていくのじゃが」


誘導型と発射型の場合、速度はレベルに由来する。

誘導型は相手が魔法を防ぐ手段がない限り命中するが、威力が低い。

発射型はそれなりに威力はあるが、ファイアーボールのように直線的に飛ぶので、レベル3のスピードでは避けられるかもしれない。

接触型は威力が高く、さらにチャージをしてから接触発動すればより大きな効果を生める。

だが、触れに行く行為はあまりにも危険だ。


「ならば接触型で行きましょう!私の防御魔法で最も強いのが『ドラゴンシールド』といって、あの巨人の攻撃を防げるであろう楯が10秒間だけ使えます。チャンスは一度きりですが」

どうやら、古龍により生み出されたカナデは、ドラゴンに関係する魔法を使えるらしい。


「つまり、近寄りつつチャージして、シールドで守られている10秒間でさらに近づいて魔法を接触発動させて、すぐに逃げるのじゃな」

「それでも、棍棒を振り回されていては近づけません。アキラ様!奥様が敵に触れられるよう、攻撃を引き付けて下さい!」

「わかった!まかせろ!」


アキラは攻撃の方法を変える。

ひのきのぼうを持っていない手で、相手を叩き始めたのだ。


「ウガ?」


まったく痛くない攻撃に戸惑う巨人。

しかし、それは意味のない行為ではなかった。


「ふむ、よし、わかった」

そして再びひのきのぼうで攻撃を始める。


「お前の筋肉が教えてくれた。お前の激痛点をな!ふん!」

力を込めて鋭い突きを太ももの側面に見舞う。

「ギャ!」

そこは当たってもダメージは小さいが、かなり痛く感じる部分だ。

アキラは見つけた激痛点数カ所に次々と攻撃を与え、巨人は苦痛の叫びをあげ続ける。


「奴はアキラしか見えておらぬのじゃ。いまのうちじゃ」


シュリナは巨人の背後に回り込んで近づき、真後ろでチャージを始めた。

動きながらでもチャージはできるが、レベル3ではじっとしていた方がはるかに効率が良い。


「まだじゃ、まだじゃ」


激痛点への攻撃は相手の気をそらすには向いているが欠点がある。

それは長時間やり続けると、その痛みに対しての慣れが発生することだ。


「ウガ?」


痛みに慣れてきた巨人は真後ろにいるシュリナに気づいた。

そして、なにかまずいことをしていると感づいたようだ。


「ガアッ!」

振り向きざま棍棒を振り回し、シュリナにぶちあてようとする。


「『ドラゴンシールド』!」

ガインッ!!


しかし、その攻撃はシュリナの直前で見えない壁に阻まれた。

カナデの魔法『ドラゴンシールド』は巨人の重い攻撃を軽々と受け止められるほどに強力だった。


「チャージはできたが、触れるにはまだ距離があるのじゃ」

「俺に任せろ!カナデ!二人に音の耐性魔法を!」

「ありませんっ!」

「なら、耳をふさげ!」

「はい!」

「わかったのじゃ!」


シュリナとカナデは慌てて耳をふさぐ。

そしてアキラは大きく息を吸い込み、全身の筋肉を震わすような力を込めて、声を上げた。


「オオオオオオアアアアアアアアア!!!!!」

その雄叫びに一瞬硬直する巨人。

振り向くと、アキラの姿が身の丈180センチなどではなく、自分より大きいものに感じさせられた。


これこそがアキラの持つ筋肉奥義のひとつ、『筋肉咆哮マッスルロアー』。


全身の筋肉を最大限にまで緊張させ、咆哮ほうこうと共にアキラの筋肉の脅威を相手に叩きつける。

本来ならそれだけで相手を制圧することも可能な奥義である。


「ウガ?ウガ、ウガア!」

だがアキラのレベルが低いため、今回は巨人の怒りを買うだけにとどまった。

しかし、今回はそれで十分である。

シュリナが巨人に近づく隙ができたのだから。


「今じゃ、『鈍重の碇ダル・アンカー』」

シュリナの手から直接巨人の肌に魔法が吸い込まれていく。

しかしこの魔法は痛みを伴わない為、アキラに向けて武器を振り回している巨人はその事に気づかない。

シュリナは素早くその場を離れた。


「ウガガ、ガア?ガァ、があぁ?」

「よし、動きが鈍った!」


アキラは次々に急所に攻撃を当てていく。

しかし、元々防御力が高いためにひのきのぼうでは決定打にならない。


「これは、ハンマーみたいな打撃武器でとどめを刺すしかないか」

「なんじゃと?!」


シュリナの頭に浮かぶのは、妖しいオネエになってしまったヒノ。


『まあま、うふっ、ヒノよん』


「ヒノを変形させたら、絶対にだめなのじゃ!」

「違う!ヒノには俺の持っている打撃武器を使ってもらうだけだ」

「なんじゃ、びっくりしたのじゃ」


「よし、ヒノ。打撃武器の使い方で今から攻撃するから覚えろ」

『わかったの!』


アキラは両手でひのきのぼうを持ち、ハンマーを振り下ろすかのような体勢で、巨人の爪先に向けて力強く振り下ろした。

巨人の攻撃を避けては何度もそれを繰り返す。


『おぼえたの!』

「よし、狙いは頭のてっぺんだ!シュリナ、目眩ましを!」

「『ダークミスト』じゃ!」

巨人がの視界が闇に遮られた隙に、アキラはひのきのぼうを空高くに投げた。


『いいよー!』

ひのきのぼうは巨人のはるか頭上でヒノになる。


「ヒノ、受け取れ!」

アキラは異次元箱からハンマーを出現させた。

場所はヒノの頭の真上で、うまい具合に柄が下を向いている。


『まかせて!』


ヒノはハンマーの柄をつかむと、アキラが教えた通りの動きで、真下に攻撃を叩き込んだ。

そう、巨人の脳天に。


ズガーン!


ハンマーの重さと落下した高さと、ヒノの正確な打撃が合わさり、巨人の頭は陥没し、巨体がぐらりと傾く。



『ヒノ、ハンマーを捨てろ!』

ヒノはすぐにハンマーを手放し、アキラはそれを異次元箱に回収し、落ちてきたヒノを抱き止め、すぐにそこから移動した。

そこに大きな音を立てて巨人が倒れる。


『やったのー!』

「ああ、よくやったな」

なでなでなでなで


『ぱあぱになでられるの、はじめてなの。うれしいのー』

「そ、そうか?すまなかったな、これからはシュリナと一緒に撫でてやろう」

『うん』


「すごかったのじゃ」

「シュリナとカナデもありがとうな」

「あのくらいなら楽勝なのじゃ」


最後の戦いでレベルは上がらなかったが、経験値はかなり入ったことだろう。

恐らく、すぐレベル11になるに違いない。



「今日はもう遅いから、ギルドの報告は明日の朝にしよう。その時にヒノとカナデのの冒険者証も作るぞ。だから今から宿に着く前に実体化しておいて、カナデも一緒に四人で泊まる」

「部屋もベッドをツインにするのじゃ」

「奥様、わたくしが一緒の部屋でもよろしいのですか?」

「仲間だから当然なのじゃ」

「ありがとうございます。それでは、普段はメイドとしてお仕えいたします」


こうして、明日からはヒノの冒険が本格的に始まることとなった。

お読みいただきありがとうございました。


次回は10月21日18時に更新いたします。

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