表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

日曜日の手紙

【日曜日の手紙】


 パパへ、これは死んじゃったぼくからの手紙です。

 ぼくは一週間後、死のうと思います。

 ぼくが死んだあと、パパが悲しくないように、手紙を残しておこうと思います。

 きりがいいから一週間、書くね。

 毎日読んでくれたら嬉しいな。


 ママには内緒にして欲しいんだけど、おばあちゃんが死んだとき、ぼくはあまり悲しくありませんでした。

 ずっと意識がなかったし、意識がなくなる前もボケてたし、ぼくのこともパパのことも忘れてたよね。

 実の娘のママのことだって、最後には忘れてた。


 ぼく、嫌だなぁって、せめてママのことだけは覚えていてくれたっていいのに、と思いました。

 パパとママが、話し合って、これ以上の「延命」ってやつをやめたとき、ぼくもそれがいいと思ったよ。

 おばあちゃんだってきっとそうして欲しかった。

 だって、何もできないのに息だけしてるの、つまんないよね。苦しいよね。無駄だし、意味ないよね。

 お金だってきっといっぱいかかってるし、ご飯も食べられないのに、ぼくだったら嫌だ。

 ぜったい、ぜったい、ぜったいに嫌だ。


 脱線したけど、何が言いたいかって言うと。

 人って簡単に死ぬんだなーって。

 点滴の量を減らすだけで、心臓が大人しくなって。

 結局、一週間くらいで、止まって。

 ママは泣いてたけど、ぼくは泣けなかった。

 なーんだ、こんなもんか、ってね、思うよね。


 ということでぼくも死のうと思います。

 あんなに簡単なことだし、生きていても別にやりたいこともないし。

 だけどさ、ちゃんと分かってるんだよ、ぼくだってもう、中学生だから。

 ぼくが死んだら、パパやママが悲しむってこと。

 それよりも、世間? から色々言われそう、ってこと。


 この手紙で宣言しておくけど(誰かに何か言われたらちゃんと見せてね!)

 ぼくはいじめられてもないし、特に嫌なこともない。

 でも別に生きていたいわけでもないから、おわりにしようと思うだけです。

 死ぬのはその人の自由でしょ。

 ぼくの命は、ぼくのもの。


 パパはぼくの友だちみたいなもんだし、特別に手紙を残します。

 ママには悲しまないでって伝えて欲しい。

 夕夏もいるし、大丈夫だよって、言ってあげてください。


 日曜日の手紙、おわり。







一週間連続で更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ