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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
蠢動(仮題
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光るチノコ

閑話に近いです

 目的とする場所の見当をつけた二人はその場所にどのくらいで到着できるか漠然と考えながら透輝が信じる勘に従って進んでいた。


 透輝は<三重之穢>により現段階でストワール王国で使用されている不浄魔法<トイレ設置>により生成されたトイレから栄養分、魔力を摂取しているため食事の必要がなく更にはアンデット化していたパトラに蟲毒と化した蟲も吸収しているので睡眠欲もない、これはパトラも同様である。


 獣道すらない森林を二人で歩き、時々パトラが珍しい薬草などを見つけるとパトラは駆け寄りそれを観察しながらパトラがドヤ顔で透輝に解説をしだす、そんなパトラを見ながら透輝は異世界の動植物を知り活用することもないだろう知識欲を満たしていた。


 もともと雑学などを好んで調べていた透輝にとっては例え使うことのない知識だろうとパトラから聞きかじるだけであっても有意義なものであった。もっとも、そのパトラの知識は『大賢者』に植え付けられたものだということを考えれば諸手をあげて喜ぶことは普通ならばしないだろうが透輝はそういったことに無関心であった。


『トウキって、この世界でやりたいことってなにかないの?』


 ゆったりとした雰囲気を滲む二人だったがパトラがふと不思議そうに問う、パトラと透輝が行動を共にしてからというものの透輝自身はこれといった目的意識を持っていないことが疑問だったのだ。


「やりたいことねえ……」


 苦笑交じりの顔にはどう答えたらいいだろうと透輝は悩む、人並みの欲求はある……はずだが満たしたい欲求というれて思い浮かんだものはなかった。


「あっ、軍鶏の獣人とかってこの世界にいるのかな?」

『軍鶏の獣人?……う~、知識としてはいるみたいだけど、どこにいるかまではわからないよ、それがどうかした?』

「そうか軍鶏の獣人がいるのか……」


 透輝はまさに『凶神』に相応しい程の禍々しい笑みをみせると、おぞましい計画を語りだした。


「先ずは、軍鶏の獣人を一人残らず奴隷として捕え軍鶏の獣人に『凶神なんて宇宙の悪魔さッ』などというようになるまで酷使し、最終的には目の前で故郷を吹っ飛ばす……というのをやってみたい!」

『それって意味があるの?』

「いや、ないが浪漫みたいなものだな分かる奴にだけわかるみたいな」


 透輝が他に浮ぶものといえば最近修得した<不浄魔法>『オンナノコになっちゃう』で世界中の男を女性の体に変えたら一体世界はどの様な変化を起こしたのちに衰退するだろうかという学術的?な興味はあったりするが『オンナノコになっちゃう』そのものを試したことがないのでなんとも言い難いものだった。



 日は陰り月が昇る夜、透輝が思い返せば異世界に来たことでクラスメイト達とはしゃいだのはこの世界に幾つ月があるのかということだった。残念ながらこの世界での昼夜というものは地球と違いはなかったが夜の星々というものは違っていた。月のようなモノがあるがそれ以上に星々の輝きが強かったし一等星などに更に倍ほどの輝きを持つものも多くあった。


 そんなことを思い出しながら透輝は星々の輝く夜の空を見上げる。


『あっトウキ見てあそこ』


 パトラが指さす方に目を透輝が向けるとそこが妙に明るいことに気が付いた。透輝は『小凶神』となった時から夜目もきくようになっていたが、それでも暗いなかで明かりを見つけるということはどこか安心感があった。


『あれって多分凄くレアなものがあるはずだよッ行ってみよ?』


 パトラが透輝を急かすような思念とともに背中を押す、そんな彼女の態度から眼前の光はいったいどれだけの珍しさがあるのだろうかと透輝は浮き足だった。足場の悪い急勾配(きゅうこうばい)を登り、その視線の先を下ろす。




()()()()()()()()()──。


 太く力強そうな一本筋の先端は笠が張り雄々しく手のひらサイズは確実に越える大振りなモノ♂──。


『凄いすごいよ!トウキあれってヒカリタケリタケだよッ!?』

「ええ……(困惑)」


 パトラは興奮していたが、透輝のテンションはこれ以上にない程に落ち込んだ。なぜ、わざわざ光り輝くナニを見せられねばならんのだと言いたくもなる。しかも、先程までは感じなかったが光り輝くアレの光を浴びているとなんだか肌がピリリとした。


『忘れてた、ヒカリタケリタケは瘴気や邪気を振り払うんだった……』


 ある程度まで近づいたパトラはある一定の距離までいくとそれ以上近寄ることはなかった。パトラにしてみれば知識の中だけとはいえ『大賢者』ですら見つけることが困難だったものが見つかりはしゃいでいたのだが、既にパトラの身体はアンデット化し瘴気をその身に宿していた。パトラにとっては毒に等しいヒカリタケリタケに近づくことはしなかった。


「パトラさ、もう進まない?ソレに関わりたくないんだけど」

『無念だなぁ……』


 げんなりした透輝に名残惜しそうなパトラ。いくらヒカリタケリタケが瘴気を払うといっても『凶神』たる透輝にはそんなものは効果はないが不快だったので早く遠くに行きたかった、それを察したパトラも透輝に従ってヒカリタケリタケから離れたのだった。






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