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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
『彼』を失って
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亡骸を抱えて少女は決意するⅠ

昨日が過去最高の閲覧数だったので感謝を込めて更新

 突如としてダンジョンに響き渡る妙に陽気そうな男の声の『大賢者』を名乗る者の声に気を取られながらも蟲の相手をしていた一行だったが、突然蟲達が急に戸惑い始め右往左往しだした。それも生きているものからアンデット化しちぎれた破片までもだ。


「いったい、なにが起こってるの……」


 麗奈は武具を構えながらも緩慢な動きをしている蟲達を観察する。その後ろでは魔力切れに近く体調に変化が出始めている涼香の姿があった、全体的に見れば蟲達の動きが止まったことで一行は生きながらえているといってもいい。

 そこへ新たに『大賢者』の声が響く。


『それはね、それはね……。なんとなんとォ、ダンジョンの閉鎖で~す。』

『ッ!?』


 『大賢者』を名乗る男の声に皆が声に詰まった、ダンジョンが閉鎖になる……それがどの様な結果をもたらすのかまでは生徒達には頭が回らない、しかしこの現状が一体どうなってしまうのかという極限状態で残る思考で胸が燻るような不安感がでてくる。


『いやさ、もうこのダンジョンは必要性がなくなっちゃったんだよねえ、皆さんもこんな危ないものなんて必要ないでしょう?冒険者が必要とするって?知らんな……。』


 脱力感溢れるもの言いに一行は何とも言えない表情を見せる、ただでさえ先程まで蟲の大群と交戦し尚且つそれが未だに目の前にいる状況なのだ。とはいえ蟲達は現在はうなだれるようにして動かなくなってしまいこれをチャンスだと感じたビュウメスによって負傷者を抱えながらも蟲達の間を通り抜けて地上を目指そうとしていた。

 そんな中で麗奈は今回の探索で透輝のことを何とかして見つけ出すことはできないのかということを考えていたが、流石にノブキの救助に蟲の軍勢を相手にしたことで精神が摩耗しており、後ろ髪を引かれる思いではあったが透輝に会えた時に何もできなければ意味がないしそこまでして周りに危険を振りまくこともできなかった。


『本日までのダンジョンのご利用いただきありがとうございます、実験道具としてとても有意義な時間でしたが本日をもちまして当ダンジョンは閉鎖となります。つきましては、現在ダンジョンにいる方々はダンジョンの閉鎖に伴い生き埋めになってもらいますぅ。嘘ポーン!驚いた!?ねえねえ!?』


 人を嘲笑うかのように響く『大賢者』の声に神経を逆撫でされながらも、生き埋めという言葉に恐怖し、泣きそうになったところに噓だと馬鹿にしたように告げる。怒りか恐怖なのかごちゃ混ぜになったようなモノが大多数の者達の胸中をかけめぐった。「ふざけるな!」と怒りを表す者もいれば、蟲に囲まれていることを確認してどうにかして助かりたいと願う者もいる。一つ言えるのは『大賢者』によって感情が大きく揺さぶられているということだった。


「『大賢者』……やっぱり……」


 そんな中で霹靂神はぽつりと言葉を漏らしていた。


『現在ダンジョンにいる奴は強制転移だお、ついでに今までの死体とかも転移するお。大賢者さんってやっさし~、超すごい!大賢者は偉い偉い……ゆうてみ?』


『ッ──!?』


 『強制転移』という言葉に反応し「強制転移ってどうゆうことだ」とか「勝手に好き放題言いやがるんじゃねえッ」といった声があがる。

 しかし、その声に『大賢者』が反応することはなかった。


 麗菜は『大賢者』が言っていた、ダンジョン内の中にいる者を強制転移するということと今までの死体も転移させるという言葉に心拍数があがっていた。もし言葉通りなら行方不明になっている透輝のことを見つけ出すことができるはずだからだ。鼓動が早く脈打ち、息が荒くなる胸を抑えながら希望とそれに反する絶望への恐怖が胸中にあった。


『では、閉鎖の準備も整ったようだし、それでは皆様御機嫌よう!』


 その言葉と共にダンジョンの壁から光の玉が漏れ出し一人一人に纏わり着くと浮遊感とともに意識が薄れていった。









「ンンッ… マッ!アッ!」


 麗菜の朦朧としていた意識が回復し、辺りを見渡すと『大賢者のダンジョン』の入口近くに放り出されたようだった。麗菜の周りには同じく強制転移された生徒達や騎士達もおり「う~ん」とか「クゥ~ン」などとうなされて起きている者は少なかった。


 その中で麗菜は涼香と憂を見つけた、二人はお互いに固く手をつないで離れまいとしていたのがよく分かった。傍から見ると聖女と賢者(女)が手を繋いで眠っている光景なのだが……事情を知らなければまず百合に見えるだろう。


「二人共、起きてってば」

「ウ~ン……」

「ゆ~う~」


 暫く夢見心地だったが麗菜が根気よく起こそうとするとようやく二人は起き上がる。


「ここは……?」

「『大賢者のダンジョン』の入口……だったところかな?」


 涼香と憂を見つけるために移動した際に『大賢者のダンジョン』をみたのだが、『大賢者のダンジョン』は入口が半透明の膜に覆われていて侵入ができないようになっていた。

 この頃になると麗菜達以外にも起きてきた者達はおり、ビュウメスなどは安全確認の為に周囲の騎士団員を叩き起こし周囲の安全確認を行っていた。



 そうした現状把握に努めている者達が多い中で茫然自失となっている者達がいた……勝俣健司を筆頭とする異世界からの帰還を望む者達だ。彼等は『大賢者のダンジョン』内で採掘できる特殊な魔石を求めていた……しかし、現状ではその『大賢者のダンジョン』やら追い出された挙句にダンジョン入口に半透明な膜ができて侵入を妨げていた。つまりは帰還の為に必要な魔石を集めることができず、日本に……家族のもとに帰ることができないということだ。数少ない生徒達が茫然していたり、静かに涙していた。


 そんな彼等をみて麗菜達も心を痛めたが、麗菜はそれから目を逸らして涼香と憂をみる。


「二人共、ダンジョンの中で『大賢者』が言ってたこと覚えてる?」

「「?」」

「私達もこうしてダンジョンの外にいるから峯島君も生きていれば近くにいるはずだよね……。それに……『大賢者』が言ってたのは今までの死体とかも一緒に外に出すって──」


 そういって麗菜は懐から手のひらサイズの水晶を取り出した。





「──これで峯島君のことを見つけられるはずだよ」







本当は憂がブラが苦しくて脱ぐシーンを考えていたんですけど……次回にでもやりますかね?

要望があるなら──やっちゃうよ(→)やっちゃうよ(↑)

あ、ブックマークとか↓の評価あるとう”れ”じい”ってなりますんでおねがいしナス!

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