せりあがるモノ
ユーザページのデザイン崩れがようやく直りました、なにが原因だったんだろ?文章少ないけど何となく投稿しちゃいます。
「……これは…しょうがないかなあ、後味も悪いし」
霹靂神は俯いているクラスメイト達を見ながら苦笑気味だった。そんな霹靂神は一人場の雰囲気から逸脱していて周りの者達に何を考えているのかが判別することができない。ただ、陰鬱としていた生徒達の中で明らかに他の生徒とは違い、現在の状況に対して相応しくないことは間違いはなく、それゆえに周囲の視線を集めることになっていた。
「皆さ、難しく考え過ぎなんだよ……。もっと自分に素直にならなきゃね?」
息を吐くことに混ぜるように霹靂神は言った。真意の掴めないその言葉に首をかしげる者が多く霹靂神の言葉の意味を把握できた者がいないことがよくわかる。
生徒逹を見渡しながら歩き、そして霹靂神は近くまで移動した麗菜、憂の腰を抱えた。
「えっ?」
「ふぇ?」
「悩むくらいなら、助けにいっちゃえば気分は楽だよ♪」
そう言うと霹靂神は二人を道連れにダンジョンの奥へと進んでいってしまった。
「憂ぅ~!?」
憂の彼女……涼香の叫ぶ声がダンジョンに響く……。霹靂神を追いかけそうになった彼女を引き留めるのは生徒達でも大変だったせいか涼香に『いや、麗菜のことはいいの?』と突っ込むものはいなかった。
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麗菜、憂を抱えて霹靂神はダンジョンの奥へと進む、もちろん憂と麗菜は霹靂神の拘束から逃れようとしていた……最初だけだが……。
というのも霹靂神の強さ(ランク)は生徒達の中でもトップであり、さらにそのステータスを十全に扱うことができていたのだが、つまるところ霹靂神の移動速度は生身にして自動車並みにあるわけで中途半端なジェットコースターなどよりスリリングなことになっていた。そんな状態になっている二人はというと顔をこわばらせ必死に霹靂神に抱きつき振り落とされまいとしていた。麗菜、憂も日本にいた頃に比べて人間離れした能力を獲得していたが、それを制御する感覚というのは変っていないため文句を言うどころではなかった、ついでに舌を噛みそうだから叫ぶこともできなかった。
「必死に私にしがみついてくれるのは私のことが好きだからかな?」
霹靂神がそんなことを微笑みながら抱えている二人に言うが、憂は男だし麗菜は霹靂神のことはどーにも好きそうにはなれないと思っていたので敵愾心を煽るだけだ。ふざけたことを言う霹靂神に怒りが有頂天に達した麗菜は様々な不満を込めて右手をなんとか動かして霹靂神の股間に思いっ切り振り下ろした。
が霹靂神はそれをずらして太ももに当たるようにしてたと同時に麗菜を抱える腕の力を強くしながら急停止し急激なGで被ダメージを最小限に抑えていた。
「ちょっ!?もしかしたら怒らせちゃったかな、でもそんなことを男の子にしたら嫌われるよ?」
軽薄さを感じさせながらそんなことを告げる霹靂神にどの口がそれを言うかと憤りたくなるような麗菜だったが霹靂神の移動は生身の人間が自動車並みの移動をしていたため揺れが激しく、それにより吐き気も催していた。憂はというと目をつぶってヒシッと霹靂神へと抱きついていた。反応としては憂は正解だったのではないだろうか? (男だが)
暫く霹靂神に揺られてダンジョンの奥へと進むと『ワン!ワン!ワン!』と犬のように吠えている男たちの声が聞こえてきた。正直言って麗菜や憂は何が起こって犬のように吠える男の声が聞こえてくるのかがさっぱりだったが霹靂神だけは深刻そうな顔を浮かべて『あ、やばいかも……』と呟いたが、その声音には深刻さは感じさせることはなかった。
吠える声の方向に向かうためか霹靂神の速度は更にあがり、麗菜と憂に上下左右の揺れをもたらして平衡感覚を狂わせていく。麗菜はせめての抵抗というべきか喉から『ウェッ』という声と胃からせりあがってくるものを涙すら流して堪え耐えていた。その時には憂はもう既に意識が堕ちて口から霊体が見えそうになっていた。
時間にして何十分だったろうか、目を開ける余裕さえなくし瞳を閉じて揺れに耐えた。一瞬の浮遊感と共に食道まで侵食されていたものが浮き上がる感覚に胸を悪くした時『ギャワンッ』と苦悶の声がした時、霹靂神の歩みが止まった。
せりあがるモノ(ゲ〇)




