✟悔い改めて✟(更新しなかったこと)
いや、なんか遅れてすいませんでした。エタらないようにはしますし、待っていてくれた方々が満足できるような作品をめざします。いろいろ設定などは構想してるんで楽しみしていてください。
『ワン(迫真)ワン(迫真)ワン(迫真)』
『ワン(迫真)ワン(迫真)ワン(迫真)』
『ワン(迫真)ワン(迫真)ワン(迫真)』
犬のように吠えながら、ギュインギュイン音を鳴らして回転し追いかけてくる三人(?)から逃げるノブキ、斥候部隊隊長ダイアーが魔物により魔物と同じような状態になった後で他の団員も一人が魔物に襲われて感染(?)してダイアーと同じになってしまった。触れることすらできず、どうすることもできないノブキと斥候役は撤退せざるを得ない状況となり本隊と合流するために追いかけてくる者達を振り切ろうとするが全く振り払うことができずにいた。
「私達が、時間を稼ぎます!ノブキ殿はビュウメス様にこのことをお伝えください!」
斥候役達が暗器を構えて迎撃に備えながらノブキだけでも本隊に戻るように言う、ノブキは「でも……。」と言いかけるが自分ができるきことはないし、他の斥候役達はノブキより幾分も年上が上だ、大人に任せて行けという視線に言葉詰まりながら斥候役達に背を向けて本隊の方向に足を進めるノブキを見送って斥候役達は追いかけてくるであろう同僚達に刃を向ける決意を固めていた。
ちなみに、部隊は三分で全滅して『ワンワン』吠えるようになった。
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ノブキはこの非常事態を伝えるために走った、まさか斥候部隊隊長がダイアーだとは知らなかったが……思えば特殊な呼吸法をするとか雷属性だとか言っていた気がするが……。問題はあの魔物のことだった、生半可な攻撃は効果なく、ゾンビ映画のように感染する。もっとも、空中四つん這いで『ワン(迫真)ワン(迫真)』吠えるというものではあったが危険なのは間違いはない。
息を吸うのも吐くのも苦しくなるほど全力で走り、ようやく本隊がいる場所だろう位置に辿り着く間近の時、ノブキの背後から『ワン(迫真)ワン(迫真)』と吠えているのが聞こえた。囮となった斥候部隊が全員やられてしまったのだと理解ができてしまったが、その吠え声は本隊に聞こえたようでざわつきが広がっていたのがノブキの耳に聞こえた。本隊が近いことを知り、ノブキはあらん限りの声を出して伝える。
「敵襲だー!絶対に奴らに倒されるな!何故かはわからないが、奴らと同じような状態になっちまう!生半可な攻撃も効かない!……なんとか勝ってくれ___。」
最後の言葉は小声で、ノブキは声がなんとか本隊に届いていることを願う。既に吠え声がノブキのすぐ近くで聞こえる、自分もダイアーさんがなったように、あんなものに成り果ててしまうのだろうか……そう考えると怖気が走る思いだったが自分に抵抗ができるだろうかと考えてしまう、正直言って笑えない状況だ、いや、むしろ笑うしかない状況だろうか……友である峯島透輝のことを見つける筈が今や自分の方も行方知れずとなるかもしれないのだ。
『ワン!ワン!ワン!』
もう既に後ろには、吠える者達の姿が見える、いっそのことここで自害した方がいいのだろうかとノブキの脳裏に浮かんだ……自分があんな不思議野郎になるのかと思えば怖気が走る思いだった。結局、ノブキには自害するほどの度胸があるわけでもなく自身の持つ武器を逆刃に構え向かってくる者達を迎撃することを選んだ。
もっとも、その考えは甘いものだということなのだが……構えをとり、待ち構えていれば『ワン!ワン!』と姿を現す斥候部隊達は今では空中四つん這い高速回転の状態異常だ。先頭には部隊の隊長だったダイアーいた、目は虚ろなものでハイライトは消えていた。死んでもあんなのとは一緒になりたくはないと強くノブキは思う、その思いからかノブキは人に刃を向けているというのに何も臆することはなかった。
「おおおおォォオオッ!」
先程まで味方だった者たちに刃を向けること、そのことはノブキに多大な精神的ストレスを与えノブキは動きに繊細さを欠いていた。ノブキはそれでもよくやっていた、適正職『忍者』として壁や天井などを使うことで相手を翻弄して攪乱する。しかしながら、一人に対して相手は多勢、次第にノブキの動きは読まれ初めてくる。「ワンワン!」吠えながら回転タックルをしてくる相手に回避が難しくなってくる。
(このままだと、本当に殺す気で攻撃することになる……)
現状は頭のおかしいことだろう……元味方が四つん這いになりながら横に高速回転している者達に追い詰められているという状況だ、文面に起こしただけでも意味不明である。そんな中でノブキは現状をどうにかできないかとしていたが回避主体にしていただけではとうとう現状維持できなくなってきた。刃を向けることはできる……しかし殺害するという意識をもってソレを振り下ろすことはできていなかったのだ。
そしてその結果は、すぐにおとずれた……。
『ワン!ワンワン!』
「ッ___!」
おかしくなっている斥候部隊の一人がノブキの真後ろから体当たりを吠えながらしてくきたのを思いっ切りうけてしまったのだ。回転しながらの体当たりにかなりの威力があり、ノブキの体はダンジョンの壁に激しく叩き付けられた。苦悶の声が漏れるほどの激痛が走り意識が遠くなりそうだったノブキだったが、気力はまだ充分にあるノブキは立ち上がろうと自分の体に力を込めようとしたのだが……体を動かすことを何かに阻害されているかのように動かすことができなかった。そうしている間にも周りではクルクルと回転しながら迫ってくる敵がいるというのにだ。ノブキはその危機的な状況に思わず悲鳴をあげようとしたが出てきた声はノブキを驚愕させるものだった。
「わ……ワ……ワン!」
一瞬、なぜ、こんな事を口走ったのか理解ができなかったがノブキの口は『ワン』としか発声できなくなっていた。身体も思うように動かせないと思っていたが、いつの間にか自身が四つん這いになっていることに気づく……俺も目の前にいる彼等と同じになってしまうのか!?
『ワン(迫真)ワンゥウワン!(ふ、ふざけるな!)』
声を荒げようにも吠え声しかでないことに絶望を感じつつも必死にその変化を意思の力で抑えようとしているノブキだったが、それを嘲笑うかのように感染源たる者を中心とした回転する者達に悔しさを感じた。とはいえ、既にノブキは身体の制御を乗っ取られつつあり気力で抑えている状態で睨みつけることくらいしかできなかった。そのうち、ノブキが抵抗していることに駄目押しをしようとするためか感染者の一人が『ワン(迫真)ワン(迫真)』と吠えながらノブキに体当たりをするために近づいてきた。
その男はノブキに親し気に話してくれた男の一人で『俺、この任務が終わったらエスカルゴ農場にエスカルゴを買いに行ってエスカルゴパーティーするんだ』と言っていたがそんな彼も今ではノブキに敵意をぶつけてきていた。ノブキは無力感に苛まれてながらも、もう一度攻撃を受ければ完全に制御を奪われるだろうと他人事のように考えていた。
そして、今にも体当たりが当たる寸前、ノブキはその目を閉じた。
『ギャワンッ!』
「!?」
次にノブキが目を開いた時、目の前にいたのは麗菜と憂を両脇に抱えている霹靂神だった。




