勇者二人は月下に
麗菜のメインウェポンってなんだっけ←ボケてきた
そのことを聞いてから、麗菜としては真面目に話し合いができる雰囲気ではなくなってしまい今回はお開きとなった。まあ、目の前にいる王族がオネショタが親の出会いでした!なんて話を聞いた後に真面目な話をしていくことの方が難易度が高いだろう。
ヨヨムンド王女は話し合いが終わることを少し残念そうにしていたが、麗菜からすればあんな話をしておいて残念そうな顔ができるな……といったところだ。侍女姿のビュウメスは隠れて腕をグッとして姫様との時間が増えたということで喜んでいたが。
麗菜は自身にあてがわれた部屋に戻り、ヨヨムンド王女と話したことを反芻する。透輝がもし、死んでいたとしても復活の可能性があるし、ストワール王国も協力をしてくれるということなので復活の可能性は高いだろう。そこまでは問題ない……問題なのは間違いないが少なくとも目先の問題だ、その後のこと明確には恋のライバルということかヨヨムンド王女に自分は勝てるだろうか……ここが異世界なのが悔しかった地球なら既に外堀は埋めてきたというのに。裏で互いの両親のご挨拶のセッティングまで計画していたのに残念でならない……問題としてはヨヨムンド王女は麗菜から見ても美人ということそして、透輝は恐らく元居た世界の生活にあまり未練がないんじゃないかということだった。ある意味ではこの異世界は自由であふれているにだから。
「あの透輝君のことだからハーレムとか言い出さないだろうし……。」
透輝は常々、俺は一人でも伴侶がいたら尻にひかれてしまう……。と豪語しているのだ、もはや彼は自分が神にでもならない限りハーレムとか作ろうとか言いださなうだろうな……と麗菜は思う。しかし、彼のことについては生きている彼に出会ってからだと気を引き締める……ことによっては彼の死体をまずは見つけなければならないのだから。正直、ここまで楽観視しているのはある種の現実逃避だとは思っている荒むこともなく死んでいても蘇る保証があるということにすがっている自覚もあったがそうでもしないとたえられそうになかった。ヨヨムンド王女だってそうだろう今回の話し合いも裏の意味では互いを励ますという側面もあったのだから。本人たちでも自覚はしていないだろうが……。
麗菜はそんなことを考えて横になっていたのがだ、脳に血流が回り始めてしまったらしい、意識が冴えてしまい寝にくくなってしまった。
「はあ……。」
部屋をグルグルとブラついてもいいかもしれないが、どうせなら夜風にあたりたいと麗菜は思うので服装を整えて部屋を抜け出した。
月明りを頼りに歩いていたが、この世界の月光は地球に比べて明るいような気がした。普段の生活の場が照明に溢れたものだから麗菜もそのように思ったのかもしれない。ふと、訓練場を覗くと誰かが素振りをしているのが見えた……。
「こんな時間に誰か抜け出してる?」
麗菜は出来るだけ静かに気配を消して、月下のもと素振りをしているものを目でとらえようとする。なんとそれは霹靂神だった。素振りとは言ったが動きは激しくてその剣を含めてまるで舞をしているかのようだった。これが、剣舞というものだろうか……麗菜がそう感じているといつの間にかその剣舞は止まっていた。
「誰がいるんです?気配を消そうとしているんでしょうが……その隠蔽じゃあ隠している意味もありませんよ?」
現在の位置的には麗菜は霹靂神の真後ろにあたるのだが、霹靂神はちゃんと麗菜のことを探知しているらしい……。仕方がなく建物の影から月明かりの下にその身を麗菜は晒す。
「ああ、三月さんでしたか……。てっきりこの国のお目付け役でもいたのかと思いましたよ。」
霹靂神は麗菜のことを視界にとらえると肩をすくめてみせた。一見女性とれなくはない顔立ちだが透輝の友人である保梨奈 憂と比べるとどちらかというと凛々しく中性的に見える。額にできた汗をぬぐいつつ霹靂神は麗菜に近づく。それに後退りしそうになった麗菜だったがそれは余りにも失礼だろうことから踏みとどまった。
「少し寝つきが悪くて……散歩していたらたまたま誰かいることに気が付いたんですよ。お目付け役じゃないです、そもそもお目付け役なんているんですか?」
「そう構えないでほしいですが……どうでしょうね、たまに物陰に気配を感じるのは多分いるからだと思っていたので。」
宝物庫に飾られていた聖剣の一振りを杖代わりに体重をのせる霹靂神はそう言って笑顔をみせた。
「しかし、三月さんでしたか……てっきりあの時の返事かと思いました。」
あの時の返事とは第一回の遠征前夜の霹靂神の女にならないか、という話だろう。あの時の返事という言葉に嫌悪感を麗菜は覚えたがそれよりも……。
「ここでいつも、素振りとかしているの?もうビュウメスさんより強いですよね……?」
そう、霹靂神は既に剣術で騎士団長のビュウメスよりも上をいっている、確かにそれ以上を望むのなら自己鍛錬となるだろうが普通は鍛錬などせずに胡坐をかくものではないのか……?
「そうですけど、まだまだ足りていないんです……それに」
霹靂神は聖剣を胸まで掲げる、聖剣は鈍い輝きを見せていたがそこで麗菜は違和感を覚えた。
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