ストワール王国:王女と女勇者2
麗菜の口調を変更
先に話を切り出したのは麗菜だ、彼女にとって王族にそれもヨヨムンド王女に聞きたいことはいくつもあった。本来ならば他の者がいる場などで聞いておきたかったが対外的には麗菜自身と霹靂神が転移者の頭目ということになっていたのでここで二人で話し合いを済ませるということも簡単な談話ということには他はとらえないだろう、何らかの政治的な深読みをされるかもしれなかった。
まあ、だからどうしたといえばそれまでなのだが___
「ヨヨムンド王女、聞かせて貰いたいのですが、どうして峯島を蘇らせることをできると教えてくれたのでしょうか貴女方に負担をかけるようなものでしょう?」
麗菜はそう言うが彼女とて透輝が復活の可能性があると聞いた時はヨヨムンド王女にひれ伏す勢いで感謝をしたいくらいだったが、その復活の方法を簡単に教えてくれたのは謎だった。……認めたくはない本心ではわかっているのだが。
「そうですね……召喚をした側として死人を出してしまったことへの非礼、トウキ様がこの国にもたらしてくれた利益に対する感謝_____表向きはそうゆうことになっていましたね?」
「本当の理由は違うと?」
麗菜の瞳が鋭くなり、ヨヨムンド王女を睨む。ヨヨムンドはそれに目を細めつつにこやかに笑いおかしそうに表情を緩める。
「ミツキ様も本当の理由にお気づきなのでは……?共通のはずですよ私達の胸中は。」
問うように試すかのように麗菜に語りかけるヨヨムンド王女は強い確信を抱いていることを察せるほど威厳があるものだった。麗菜は一瞬だが、その気迫に押されそうになるがヨヨムンド王女の言葉は聞き捨てならないものだ。
「同じ……?胸中……?」
「誤魔化さなくともよろしいのに」
察しの悪いふりをなぜ今更するのかとヨヨムンド王女は口に手を当て可愛らしく、くすくす笑い軽く麗菜を馬鹿にする。実際には麗菜とてヨヨムンド王女の表情、挑発的な態度からヨヨムンド王女の言いたいことは、察することが出来ていたが軽くそれを認めることができそうになかったのだ。
「あんな男のどこが良かったんですか?」
呆れたように肩をすくめてヨヨムンド王女のことを胡乱げに聞いてみる麗菜。元居た世界で透輝の親に事前に認めるように、透輝の従姉に協力を要請していた外堀を埋めようとしていた女だというのに酷い物言いである。
「それは……レイナ様にも言えることでは?」
「……確かに違いないね」
二人共、苦笑交じりに顔を見合わせて笑う、それをヨヨムンド王女の後ろからビュウメスは渋面でみていた。敬愛する主人が男の……透輝の話が気に食わなかったのだろう。
「だけど、貴女のソレは成就するのか?私たちのことは期間が過ぎれば元の世界に帰してくれるのでしょう?」
麗菜の言う通りだ、元々ストワール王国は生徒達を元の世界へと帰還を約束していた、もし仮に透輝が蘇ることになったとしても麗菜は皆と共に透輝も地球に帰還するものだと思っている。
「そうですね。ですから私も母方の作法にでも従って彼のことを引き留めようかと思いまして……。」
「なッ!?」
ストワール王国は代々王妃はサキュバスのことが多く、漏れなく現国王トルク国王の妃もサキュバスで更にいえばヨヨムンド王女の母は淫夢族を束ねるクィーンサキュバスの娘でもあった。それの作法とはつまり既成事実で一気に堕とすということだ。ちなみにトルク国王はそのタイプで籠絡されたくちだ。
「それは……卑怯じゃあ?」
「でしたら諦めてハタタガミ様にでも乗り換えられたら?」
「冗談でもよしてください、返事はわかっているでしょう?」
「ええ……。」
二人の恋路は牽制し合うものになりそうだった。そして、完全に死んだと結論づけた上での話し合いであった不憫である。
なお、その男が実は生きていてそのダンジョンの深層で別の女と知り合い恋仲に発展しているとは夢にも思うまい。更にはダンジョン生活を満喫して戻る気もサラサラなかったのだ。実際、その時の透輝は全裸でダンジョンを全力疾走している頃だった。
『ヒャッハー!』




