お前聖女だったのかよォ(驚愕)
ステータスは変わるかもしれない。
「異世界召喚の儀式は失敗した。私は一人だけを召喚するつもりだった、あなた達の勇者か聖女といった力を持った誰か一人を除いて他の方々はこの世界で生き抜くのは難しいと言わざるを得ません。」
それを聞いた者たちは愕然とした顔を浮かべる。テンプレとも言える異世界召喚をして、強力な力であるチートを持っているはずだと思っていたからだ。しかしながら、眼前の男はそんな力が備わっているものは一人だけだと言うのだ。失望せざるを得ないだろう。
「ちょっと待ってくれ!!俺達の大多数には特別な力がないだろうってことなのか!!」
「その可能性が非常に高いという話だ。魔術師団長の私だが魔力総量でいえば中級程度でしかない。そんな私では異世界召喚では一人が精々、にも関わらず複数の異世界人が召喚された。召喚に何らかの干渉を受けて私が召喚した人物に巻き込まれたと私は考えている。」
それはもはやある種の処刑宣告のように聞こえた。異世界召喚された挙句、チートはこの中の一人だけだということだ。とは言えその可能性が高いというだけだしもしかしたら何かの間違いかもしれない。そう希望的観測をしたい。
「安心して欲しい、とは少し違うが、あなた方をこの世界に呼び寄せたのは私達ですので、生活の保証はします。」
「わ、私達がこの世界で暮していく面倒を見てくれるってことですか?特別なことができなくとも?」
「はい」
ひとまずの安全がどうやら確保される。このことは緊張感があった者たちを安堵させるには充分なことだった。
「失礼します。」
「む、いいタイミングで来たな。」
部屋に入ってきた兵士が押してきたのは、台座に直径三十センチほどの水晶が乗ったものが台車で運ばれたものだった。台座にはめ込まれている水晶は透明度の高い円形の水晶である意味で如何にもといった様相をかもしていた。
「そ、それって……。」
「この魔道具はあなた方の適正職を判別するものです。」
『…………。』
ある意味では残酷な運命を見せつけるともいえる所業だった。特別な力を持つのは一人だけだというのにそれを敢えて見つけ出し格差をつける行為なのだから。残酷な結果を知りたくはない自分が無能かもしれないといった恐怖、そして自身の可能性があるかも知れないという希望それらに挟まれ自らの適正職を知りたいというものはでなかった。
「ぼ、僕にやらせてください!!」
最初に声をあげたのは保梨奈 憂だった。彼はその顔を決意で染め上げた表情をし、そして水晶の台座の前に進んだ。
「よろしいのですか、先程申し上げた通り、あなた方は一人を除き大した適正職をもたない可能性が高い中で鑑定をすることになります。」
「わかっています。でも、僕にとっての大事な人を守る力があるかもしれないなら、僕はその可能性を知りたい、もし駄目だったとしても守る方法を探せばいいだけですから。」
「成程、素晴らしい決意だ。試すような真似をしてすまない。しかし君にそこまで言ってもらえる男は幸せ者だな、では台座の水晶に触れてくれ。」
その一言で憂はピタリと動きを止め、魔術師団長を睨み付け、透輝を含めたクラスメイト達は口を手でふさぎ笑いをこらえた。
「僕は、男です!」
そう告げ勢いよく水晶に触れた__!!
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保梨奈 憂 17歳 ランク:36
適正職:聖女
筋力:36
体力:70
敏捷:36
最大保持魔力:810
精神力:100
防御力:36
防魔力:100
<スキル>
聖魔法・支援魔法・魔力回復速度上昇・全属性耐性・言語理解
<称号>
男の娘
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「うわァ~、そらないわ。」
静まり返った空間に透輝の声はよく響いた。
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