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不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
凶神発生
56/112

神格を……

 意識が覚醒する、重たい瞼をこじ開けて隣をみれば両腕を重ねている少女の姿が目に入った。気分的にいえば家庭教師をしていて教え子に手を出したような心境だといえば一番近いような気がするなあ……。透輝はそう感じながら隣にいる青髪のエルフ少女、パトラの髪を撫でようと……。


 ガッ!(腕を掴む音)


「痛だだだだだだだだだ!!!!」


『触るなら手を綺麗にした後にして……。』


「描写が生々しいなッ!」


 冷たくしているがパトラの顔と特徴的な耳をみれば真っ赤になっていることに気づいただろう。パトラもパトラで恥ずかしかったのだ。一方で透輝はパトラに思いっ切り掴まれた腕に爪痕が残っていたが<自動再生>によってみるみるうちに治っていくのを「おおー」と眺めていた。


 透輝に傷つけたことに気づいたパトラが申し訳なさそうな表情を見せる。


『ごめんなさい』


「気にすんな、人外らしい回復力だし。もっともこれが『凶神』になる前だったら重傷だったかもな?」


 そう言って透輝はパトラにひらひらと笑いながら手を振る。パトラにも透輝が気にしていないことが伝心し安堵の表情を浮かべた。そのパトラがかわいらしくて透輝は思わず頭をなでそうになるがさっき注意されたばかりなので泣く泣く自重した。


 現在透輝達がいるのは浴場ではなく大賢者居住区寝室。ブラックウーズを倒した後に透輝が目覚めた場所だった。初戦は浴場だったのだが透輝は<異種交配>のスキルに称号にこれまたすごいのをもっているのでほぼ無尽蔵……。パトラはスライムの側面があるので体力など無いに等しいので、もう描写的にノクターンよろしくできるほどだったのだが二回戦からは透輝が女の子なんだし雰囲気大事にしよう?というこで移動して現在に至るのだった。


「もう一度、風呂は面倒くさいな……。」


<粘魔生成>を発動してスライムを生み出して全身を這わせて洗浄する透輝にパトラは少し驚いていた、てっきり<新生>でもするかと思っていたのだ。


『<新生>じゃないんだ?』


 全身を洗浄し終わった透輝にパトラは問うた。


「まだ、神経は人間のつもりなんでねビックリ人間はごめんだ……。」


 自嘲気味に笑う、透輝に自分が精神的にも常人から逸脱し始めていることを分かっているのだ。だが、まともな神経では生きていけないだろうからそれを受け入れざるを得ないだけだ。そのうちに透輝は迷いなく<新生>を使う未来が訪れるのだろう。せめて倫理的な精神だけでも残っていればいいなあとは思うが難しいかもなと透輝は思う。


 パトラは俺の変質を望んでいるみたいだしな_____。


 人以下に墜ちることだけは避けないとなと心で笑いつつ、透輝はパトラの頭を撫でる。パトラはそれに目を閉じて任せていた。それにどうしようもない愛おしさを感じつつ透輝は暫くパトラのことを撫でていた。







 これが俗に言うピロートークなのだろうか?


~~~~~~~


 透輝はしばらくパトラのことを撫でながらこれからのことについて考えていた。正直言って<三重之穢>によって無水飲食で生きていけるし神格化した影響で寿命なんてないだろうから大賢者居住区でパトラと一緒に過ごしていくのも悪くないんじゃないだろうか……。元居た世界:地球に帰ろうなんて透輝には考えもなかった。この異世界にいれば食べ物や公共料金などのために働かなくてもいいし、煩わしいことは今の透輝にはなにもありはしないのだから……。


『トウキ……。』


 そんなことを考えているとパトラが恐る恐るといったように透輝に話しかける。


『私、トウキの神格を上げてほしい。』


「神格を上げる?どうしてだ現状に不満とかあるのか?」


 透輝は自身の神格に不満があるわけではない、元々神格が手に入ったこと自体がイレギュラーだ。まあ神格といっても『小凶神』なのだが。


『あの……その……ね……。今だと……こ……こど……。』


 顔を真っ赤にしてうつむき両手の人差し指をツンツンと合わせるパトラに透輝は慌てて。


「わかった!わかったよ神格を上げればいいんだな?今は理由は聞かんが惚れた奴の頼みだから聞いてやるから!!」


 見ている透輝が恥ずかしくなるくらいにオドオドしながら頼んでくるパトラにいじらしく感じて即決で頼みごとを請け負ってしまうのだった。正確にはパトラにあのまますべてを説明させたら男として最低だと感じただけだが……。


「でも、神格を高めるなら外に出る必要があるな……。多分、瘴気をもっと吸収すれば『凶神』だからなのか神格を高めることができると思うしな。パトラは地上への行き方は知ってるのか?」


『うん、コントロールルームから出られたはずだよ。』


「なんか、ここに来てから妙に先進的だよなあ。」


 化学はなく魔法による先進化だが、照明はまるで蛍光灯のようだったしコントロールルームなんてのもいかにも化学っぽいが魔法技術なのだろう。


「まあ、どちらが優れているかなんて誰かの主観でしかないんだよなあ。パトラじゃあ地上に戻る為にもそのコントロールルームに案内してくれや……。」


 まあ、パトラが神格を高めることを望んでいるのだったら世界をついでに楽しんでみよう。間違って滅ぼすことはないとは思うけど……。



『えっと、今からなの?』


「今からなの~♪」




 この時は簡単に考えていた旅立ちがまさか、あんな結果になろうとはこの時は思いもしなかった。透輝は後々この後に引き起こした自身の短慮を一生引きずることになる……。







次回「出産」お楽しみに!

まあ、そこまで進まないでしょうね。完結までに透輝の子供はでる予定ですけどね~(深刻なネタバレ)

続きが気になればブックマークとか↓の評価お願いするぜ!

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