失敗した異世界転移
遅れてごめんね
「………。」
沈黙が支配した空間透輝の一言により、この場は何とも言えない空気が支配していた。クラスメイト達は呆れて、異世界側はや〇いとはなんぞ?といった具合に。
「…あー、ゴホン!!異世界よりこの地へとようこそ、先程も名乗ったとは思うが改めてストワール王国の宰相をしているチャルドだ。あなた方を召喚したのは…「魔王討伐とかだろ!テンプレ的に!!」。」
クラスメイトの誰かがチャルドの発言を妨げるように叫ぶ。しかし、チャルドは首を横に振る。
「いいえ、違います。我が国には周期的に魔物の大量発生をするダンジョンがありまして、十数年に一度モンスターの氾濫が起こり、それを対処するためにあなた方を……。」
そこまで言って、チャルドはどこか言葉に詰まった様子をみせた。
「チャルドさん…私に言わせてください。」
「魔術師団長…。」
一体、何がどうなっているのか突然異世界へと転移したクラスメイト逹は訳が分からなかった。異世界の住人逹はこちらが転移直後は怒号をあげて、今現在は沈痛な雰囲気としたものになっている。
「まずは、異世界よりあなた方を招いたことを謝らせてもらう、元の世界と切り離すことになってしまい申し訳ない。」
魔術師団長と呼ばれた男はそういって透輝達のほうに頭を下げた。クラスメイト達は困惑し、魔術師団長の方に向けて理由を問うた。
「気にしないでくれ、とは言えないけど今の所は俺達はあんたらに悪感情は抱いていないんだ。むしろ、これからのことを考えて興奮してるくらいなんだ。」
クラスメイトの誰かがそう告げると、それを聞いた魔術師団長の男は悲痛な表情を浮かべ話を切り出し始めた。
「異世界召喚の儀式は失敗した。私は一人だけを召喚するつもりだった、あなた達の勇者か聖女といった力を持った誰か一人を除いて他の方々はこの世界で生き抜くのは難しいと言わざるを得ません。」
次話二月中旬を目指す