表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不浄者は凶神になり斜めな成長する  作者: ジャック・レイ・パール
ダンジョン 
30/112

透輝人として死ぬ

「イヤァァァァアー!!チン〇ンがヒュンヒュンしゅるのォ!!」


 今、現時点でダンジョンの底へ、落下中の透輝のが思うことは上記の通りである。霹靂神への恨みとかそんなことより上記のことである(男の尊厳)。


「お、男の尊厳が、男の尊厳がァー!!悲鳴をあげるゥー!!」


 それは、男にはしょうがないことだった、逆らえるはずもないなのだ。内臓が持ち上がるかのような感覚にアレが縮こまるような感覚を前に透輝の頭にあるのは残してきた者や霹靂神への恨みでもない、男の尊厳がどうやったら救われるかである!


「オオォォオオ!そうか、いやしかし、人の尊厳が……ええいままよ!!」


 透輝の一瞬の閃きは男の尊厳のダメージが緩和されるが人の尊厳が失われるものだったが、彼は覚悟を決めた。どの道男の尊厳をヒュンヒュンさせて死ぬよりは人の尊厳を失っても生き残ることを選んだ、透輝は一人の人である前に雄なのだ……誰も彼がすることをとがめることはできはしないだろう。(まるで、エロ小説みたいな表現だな)


「オオォ、不浄魔法『トイレ設置』!!」


 そうして、出現したトイレはタンクフリータイプの最新式……透輝が初めて出現させたタイプと同型だったがサイズは桁違いだ。


 10mほどの巨大なトイレが現れ、()()()()()()()()便()()()()()()()()()()()


 つまりは、透輝の身体は便器の中に入った。


 『トイレ設置』により生成されたトイレは異世界仕様というべきか普通ではない、最たるものが上水道がなくとも水が出たり、流れてもどこに流れているのかわからなかったりと不思議なことはそれだけではない。他にも機能として水がこぼれないという機能がある、いや語弊だった正しくは水があるべき場所から移動しないゆすっても、逆さにしても水が揺れることすらない……つまり便器内では空間が固定されているのだ。


 それを利用し透輝は洋式便器の中に入り落下をやり過ごそうというわけだが蓋が閉まっているので外の様子は全くわからななくなった。まあ、みたところで落下の景色など恐怖体験でしかないだろうが。


「フ、フフフ、死んだ……俺の人としての尊厳は死んだのだ。」


 便器の中で虚ろな目をしつつ便器内の水で濡れた服の不快感に耐える透輝であった。










 憂や三月がいる本隊はその頃ようやくスケルトンの魔石、素材となる状態の良い骨などを回収し終えて休憩をしたところだった。


「いや、流石にこの量は予想外だったぜ、魔石っつてもそんなに大きいわけでもねえしよ……。」


「ああ、そうだなナイトには多少物足りない仕事だったが文句は言わないのが大人の醍醐味。」


「確かにね~峯島君を放って応援を頼んだのがわかるわー。」


「ありがとね、笠松くん、麻枝さん、墨瑛さん。動ける人も少ないから助かったよ。」


 そう、憂が三人に礼をしたが紛れもなく三人はそれだけの働きをした、というか殆どの生徒が何らかの事情で動けずにいて代わりに収集をしたというのが正しいのだろうが。


「憂~どこ~?」


「ん、涼香ちゃん?」


 憂を探していたのは憂の彼女の涼香だった、涼香は憂を見つけると駆け出し憂を抱きしめる。なお、憂と涼香では涼香のほうが身長がある為憂がすっぽりと涼香の胸に収まってしまう。


「ああ、憂を抱きしめてると嫌なこと忘れられるよ~♡ぎゅ~♡」


 憂は最初は少しバタついて恥ずかしがっていたが、10秒もすると大人しくなり、涼香の腰に手を回して抱きしめ返した。それがわかった涼香は顔を緩めてより憂を抱きしめる力を強める。


 なお、憂は格好が『聖女シリーズ』の純白のローブ姿(ブラ装着済)、涼香は青を基調とした鮮やかなローブを身につけておりそんな2人が抱きしめあう姿は……。


「キマシタワー」


「やめろ、墨瑛(ぼくひで)いくらそう思っても声に出していうもんじゃねえ……。」


 2人はそのまま3分ほど抱きしめあい、どちらともなく見られていることに気づくと互いに背を向けて顔を赤くして髪をイジリだしていた。


「あ、あの涼香ちゃん、三月さんはもう大丈夫なの?」


 まだ気恥ずかしいのだろう、憂は俯きがちにしかし上目遣いで涼香に尋ねる。そんな憂の姿に涼香はまた憂を抱きしめたくなったが自制した。


「ああ、麗菜はもう正気に戻ったけど……精神ダメージが大きかったみたいでね体育座りして落ち込んでる」


『ああ……。』


 魔力切れによるある種の酩酊状態に近かった麗菜は、酩酊状態だったがゆえに奇行をして尚且つそれが記憶が残るという恥をかくことになっていたので羞恥はひとしおだろう。


「まあ、後は時間が解決するだろう。今は一人の方がいいだろうしね……。」



 三月麗菜は羞恥心に悶えていた、魔力切れによる酩酊状態だったとはいえ支離滅裂なことを言葉に出し奇行をしていたのだ思春期の女子には辛いものだろう……。唯一の救いはそれを好意を持つ人に見られていないだけ、それでも話が伝わればからかわれるのは自分だ。なにせ彼をそういったネタでからかってきたのだもし弱みがあれば彼だって同じことをするだろう……。問題はそれも悪くないかもしれないと思っている自分に戸惑っていることだが。


「いやいや、何を考えているんだ私は、これは峯島君のせいだ……。あとで殴ろう」


 そんな彼女を嘲笑う影には気づいていなかった。



 それから暫くして、生徒達の全員が魔力切れによる症状などから回復し、魔石などの回収も完全に終え、帰還の準備をし終えたところで……。


「あ、やっべ峯島のこと忘れてたわ……。」


 勝俣は透輝のことを半ば忘れていた、なにせ目先のことが忙しかったし何より戦闘自体が圧勝であり怪我人も出ず透輝の出番などなかったのが原因だろう。もっとも透輝のことを忘れていたのは他にも何人かいたため責められることはないだろう。


 もっとも、透輝が無事でいればの話だ。


 ノブキ達に案内され、透輝がいる場所に案内された本隊一行がその場所に到着した時、そこに透輝はおらず、何者かが転げまわった跡が残されるのみでそこは無人だった。

ブックマーク結構増えたやったー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ